中国の経済発展は持続可能か

急激な発展とその歪み

上海に初めて訪れたのは2010年。上海万博の直前だった。

あの頃の上海はまさに発展途上。

美しい高層ビルの中に安っぽいショッピングモールが連なり、店員に笑顔はない。少し道を外れれば路上の石の上で料理をしている現地の人がいたし、タクシーが道を逆走し始めた時にはここで私の人生は終わるのかと本気で思った。

上海は発展にもがいていた。

そんな上海への旅から10年もたたないうちに、街はすっかり変わってしまった。

外灘からの眺め

外灘に立てば、その発展は一目瞭然だ。

川沿いに並ぶ高層ビル?

そんなものは前からあった。
遊覧船だってあった。

でもだ、こんなにみんな豊かそうだったか?
こんなに幸せそうだったのか?
こんなに笑顔を見せていたか?

「日本から来たの?一緒に写真撮って!」

なんて、現地の人から言われたことがあったか?

経済発展は人を幸せにすると心の底から信じられる世界がある。
単なる訪問客の私ですらそれを実感した。

上海の美しいショッピングモール

羨ましさを覚える。

直前に訪れた東京で見た、下を向き歩く背広の群れや制服のように均一で安っぽいファッションに身を包む人々を思い出す。

強制撤去される “村”

そんな羨望の目を上海に向ける私に、中国人の友人が興味深いことを教えてくれた。中国には「Inner-City Village」と呼ばれる地区があるらしい。

彼女が指さす先には古い、というかぼろぼろの汚いビル。

いや、これはビルなのか?

なぜだか分からないが、言われるまで気がつかなかった。まるで街の煌びやかな発展がその一帯を覆い隠していたかのように。

彼女曰く、これから2年の間にビルの住民は強制退去させられ新しいビルが建つだろうとのこと。

中国では、個人の所有権はいまだ著しく制限されている。

ニューヨーク大学上海校でお会いしたWu教授によると、上海は「100年後の中国のモデル都市」として設計されているそうだ。たとえ人権を侵害しようとも、上海から”Village”は徹底的に排除されないといけないのだ。

その発展は持続可能か?

中国は発展の著しい中国東海岸エリアから、貧しい西部に投資を移す段階に入りつつある。中国の、少なくとも上海の発展は本物だ。GDP成長率が10%台をきったとはいえ、現地で体感する成長スピードとバブルに沸く街全体の高揚感は数字以上だ。

だが、それは持続可能なのか?

この問いへの答えを探すために、中国での私の時間は使われた。

中国でお会いした専門家の意見は真っ二つにわかれた。実際は、楽観的観測9割、悲観的観測1割だろうか。言論統制が厳しい中国において批判的意見は10倍にして聞かないといけないと思う私の中で、結果は真っ二つ。

私の現時点での結論を先にお伝えしておくと、エネルギー・環境問題からくる持続可能性については、湾岸エリアは想像以上のピッチで環境改善されるだろう。一方、内陸部は苦難の時期が続くはず。ただそれが中国全体の経済発展に与える影響は少ない。

経済発展そのものの持続可能性は高いだろう。ただし、政治的リスクはどうか?中国の経済は他国以上に政治的安定性と直結している。中国経済は政治次第だし、政治は経済次第だ。

以降、現地でふれた情報をもとに、中国の持続可能性にかかわる要素について紹介していく。

Mari.S

Twitter: @mari_saita