会社でOKRと1on1ミーティングを導入した結果、劇的な成長を遂げた話

Masahiro Horie
7 min readApr 22, 2017

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(この記事は 2017/7/15 に加筆・修正が加えられています)

最近のHR系の記事で、1on1ミーティングや、OKRという単語をちらほら見かけるようになった。かつての就業先の会社では、いずれの取り組みも1年半ほど前から導入しているため、従業員目線での感想や効果をまとめてみた。

本題に入る前に、OKRや1on1ミーティングについて聞きなれない人のために、軽くそれぞれのフレームについてまとめておく。

OKR、1on1ミーティングとは

OKR
OKRは数々の急成長ベンチャーが採用する、メンバーの成果を無駄なく企業の成長に結びつけるための、目標達成のベスト・プラクティス。インテル出身のベンチャーキャピタリストが、創業期のGoogleに移植してから、今日までのGoogleの成長を支えてきた秀逸な目標達成のメソッド。

(OKR についてより詳細な内容知りたい方は、Google Ventures、Rick Klauのプレゼンテーションをご参照ください。)

特徴は3つ
・会社の目標と達成に必要なメンバーの目標とのつながりが見える
・見える化されると、共通の目標に向かうメンバー間での方向性のズレを解消しやすくなる
・短期スパンで重要事項を整理できるため、無駄なく業務が進行できる

このことで、従来の目標管理にあった、
・納得感のなさ
・他のメンバーと優先事項が合わず、業務が成果になりきらない
・目標が陳腐化して、本当に重要な事がおざなりになる
などが解決される。

運用としては、たとえば以下のように、
Objective (目標やビジョン)と、その目標やビジョンを達成するためのカギとなるKey Result(主要な成果、結果)を各部門、チームで設定し、上位からメンバーまでのOKRを関連付けていく。(図中右参照。会社KR1と会社KR2が各部門OKRに関連付けられ、これがメンバーまで続いていく)

通常の目標管理と、OKRによる目標設定の結果の違い

通常目標では数値がそのまま現場やチームに落ちていくだけだが、OKRでは、Objective を設定することで会社の “意図” が明確になる。また、チーム毎にも Objective(ビジョンや戦略)を立てることで、上位との戦略が整合するだけでなく、横の部門の成果と矛盾しない目標設定が可能になる。(図中の例では、通常目標の場合、卸先を整理することで、大きな売上が失われてしまう懸念がある)

1on1ミーティング
一方、1on1ミーティングは、部下と直属の上長との1対1のミーティングの場のことだ。詳しい解説は避けるが、要するに従業員のエンゲージメントと自律的な内省を高めるため、1〜2週に1度、部下と直属の上長とで30分〜1時間程度コミュニケーションをするものだ。

話題は、目の前の業務での困り事を相談し、組織や仕組みでの解決策を考えてみたり、今後のキャリア開発に向けて、今自分ができるようにならなければならないことなどを話し合ったりと、多岐にわたるようで、個人の成長促進のために行われる。

OKRと1on1ミーティングでどう変わったか

結論から言うと、OKR で全員の目標が見えるようになり、かつ先輩と1on1を行うことで、”今、事業に求められること” や ”プロダクトが事業をリードするにはどんなコンセプトの機能を持つ必要があるか” など、プロダクトマネジャーとして必要な見識の広げ方、また、企画を通してリリースする推進力が飛躍的に伸びた。自他共に認めてもらえる程度には業務が成立し、事業に価値のあるプロダクト開発企画立案、企画推進ができるようになった。

OKR、1on1 によって遂げた変貌を明らかにするため、簡単に before / After の姿をまとめたい。

下手なプロダクトマネージャー

3年間の法人営業から突如としてプロダクトマネージャーに転身し、右も左もわからぬまま、ただただ先輩プロダクトマネジャーの仕事を横で見ながら、目の前にある業務や問題事項を解決するというような日々を過ごしていた。
プロダクトマネジメントのお作法もわからず、プロダクト開発のメンバーとの共通言語をもたないまま、一方的なユーザ像なる “自分” というペルソナを押し付けて開発メンバーから煙たがられていたりもした。

当然、従業員としては会社に貢献したいし、活躍し、誰からも価値があるメンバーであると認められたいため、悔しかったし、成長したかった。

プロダクトマネジメントに関して勉強もしたし、先輩を真似て難しい顔をしながら UI/UX のレビューや、指摘事項の洗い出し、まとめ、優先順位づけなどもしていく。が、自分の中で何か腑に落ちないことがあった。

そう、プロダクトマネージャーは、市場を牽引し、事業を飛躍させるための製品コンセプトを定義し、どういった順番で誰をターゲットとし、何をリリースするかを判断できなければならないのだ。

その判断力は一体どうやって身につけるのだろう。

1on1、OKR導入後

そんな中、会社でOKRが導入され、全社としてなすべきことが明らかになった。自分の役割と事業の繋がりが明確になり、かつ上位目標に関連する他の部門のゴールも理解できた。他部門がなすべきことの意図をきちんと把握するには直接コミュニケーションをしなければならないが、市場を牽引するプロダクトをつくる、この一心で、惜しみなく時間をつかって、他部門や事業が求める、今、必要なことをまとめていく。

そのさなか、大小色々なプロダクト企画をつくり、1on1で先輩に相談をしながら、鼻息荒く仕事に邁進をする。マーケティング部やカスタマーサクセス部に企画を持っていくと、「それより、前に決まっていた○○の機能リリースはどうなってますか?」「顧客ニーズの訴求メッセージとしては弱いので、優先度高くないです」など、散々の結果だった。打ちひしがれる。

このような結果も1on1で相談していくうちに、目標というものが、どのように事業成長に貢献してもらいたいか、という期待値をこめたメッセージであるということを知った。

目標は、単に人事評価のためだけにあるのではない、と当たり前ではあるが結構な衝撃をうけた記憶がある。

それを理解してから、他部門の目標設定の背景と、市場のトレンドをきちんと把握し、1on1 では他部門とのコミュニケーションや筋の通し方などを相談しながら、価値あるプロダクト企画を進めていくことができるようになった。

目標というものを切り口にして、何をどのように、いつの段階で実施するかという点が相当に明確になり、社内外様々な関係者とのコミュニケーションの濃度が高まった。その結果、より精緻に企画を磨き込み、能動的に企画の価値を高めていくことができるようになった。

評価は正直意識していなかったが、これらの過程を通して、社内での評価も高まった。

まとめ

OKR と 1on1 の組み合わせて、会社のメンバーとしての成果を出す力と、プロダクトチームをリードしていくマネジメントとしての力量をつけることができた。今求められることを把握し、社内外と連携して成果を出す。変化の激しい環境においても、常にリソースを無駄にせず、重要事項に向き合うことができるチームを牽引できるようになった。

1on1 はいわば、成長の足場となる仮説検証の場となり、それが結局成果を高める成長を加速させてくれた。

OKRも1on1ミーティングも、Googleやテック企業が実践しているものだから、きっとプロダクト開発プロセスによくはまるフレームワークなのだと思うが、営業部門等、フロント部門でのOKRの運用、1on1ミーティングについてもいずれまとめてみたい。

こちらもどうぞ
https://www.resily.com/blog

参考文献

Google Ventures Startup Lab (2013/5/14 公開)「Startup Lab workshop: How Google sets goals: OKRs」, https://www.youtube.com/watch?v=mJB83EZtAjc

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