ブロックチェーン時代(Web3.0)の夜明け~アプリからプロトコルへ~

Coinbase創業メンバーの Fred Ehrsamによる最近のポストが話題になっていたので、まずはこちらについて。

2014年当時coinbaseにて議論した結果、decentralized applications(dApp:中央集権ではなく自律分散型アプリケーション)がもっと生まれてきて良いはずなのに現実にはそうなってない。Scalable computation、File Storage、External data、Monetization、Paymentsの技術要素が整ってないからではないか、との仮説に。
2014年は20%しか整備されていなかった為に当時dAppを作れなかったが、現在は70%整備されているのでスケーラブルなdAppが2018年までには作れるのではないか。

(個人的に興味深かったのは、いま日本でも騒がれ始めているICOはあくまでMonetizationの一つであって、これから巻き起こるであろうブロックチェーンエコノミーの断片に過ぎないのではないかという事)

この記事を見て、いよいブロックチェーンのアプリケーション開発が本格化するかと思ったが、以下USVのJoel Monegro氏のポスト「富むプロトコル、貧するアプリケーション」を見てハッとした。

トークンの価値(価格)が高騰すると、早期のスペキュレーター、デベロッパー、起業家の関心を集めます。彼らはプロトコル自体のステークホルダーとなり、その成功に賭けて金銭的な投資を行います。そして、ローンチ時点で(おそらくは)いくらかの利益を得たアーリーアダプターの一部は、プロトコルの成功がさらにトークンの価値を高めることを認識しているため、その上にさまざまな製品やサービスを開発していきます。

現時点はトークン価値の高騰やICOの注目などによって注目が高まり、上記技術要素の成熟も相まってこれからdAppsの開発が進むだろう。そして"トークンフィードバックループ"が始まるのである(詳細はポストご参照)。しかし、ここで注目すべきは以下の点である。

このダイナミクスが重要なのは、このような価値スタックの分配方法に影響を及ぼすからです。アプリケーション層の成功が、プロトコル層をより一層ドライブするため、プロトコルの時価総額はプロトコルの上に作られるアプリケーションの価値の合計よりも常に早く成長します。さらに、プロトコル層の価値が上昇すると、アプリケーション層の競争を激化させます。参入障壁を劇的に下げる共有データ層と共に、最終的には活気に満ちた、競争力のあるアプリケーションのエコシステムを形成し、広範なステークホルダーに価値が分配されます。すなわちこれが、トークン化されたプロトコルが厚みを増し(富み)、そのアプリケーションが薄くなる(貧する)ということです。

つまり、今後ブロックチェーンのアプリ側への投資が進むことは予測されるが、なんとプロトコル側が更に早く成長することになり結果としてプロトコルが儲かりアプリケーションが儲からなくなるというのだ!これは従前のwebサービスの構造とは真逆の構造で驚くべきことである。それに対してJoelはこう言っている。

共有データ層とインセンティブシステムを組み合わせることで、「winner take all」のマーケット構造は変化し、アプリケーション層ではなく、プロトコル層において現在とは根本的に異なるビジネスモデルを持つまったく新しいカテゴリの企業が生まれます。

Web2.0時代には起業家は既存のプロコトル上でアプリケーションを開発し、それに対してVCは投資を行い、GoogleやFacebook、Amazon等のwinner take allの構造が出来上がっていた。その構造に日本の大手企業・スタートアップも太刀打ちできなかった訳である。しかし、Web3.0時代(ブロックチェーン時代)にはプロコトル層での起業・投資というこれまでと異なるアプローチが求められることになる。

上記FredとJoelの推察が正しいとすると、これからdAppsが生まれてくる前にプロトコル層を抑えたほうがこれからのブロックチェーンエコノミーの覇者になれる可能性があるということではないだろうか。それを見据えて日本のVCもプロトコル層に今のうちに投資すべきではないだろうか。

最後に、彼のこの言葉で締めたいと思う。

"Web is boring. Blockchain is interesting" by Joel Monegro