加熱するICO投資家への警告

ブロックチェーン業界を主要投資領域として定め、活発に投資を行っているUSVのFred Wilsonより、現在のICO投資家への警告("Buyer Beware")がポストされていたので現状含めて簡単にまとめてみた。

まず、現状のICO市場を見てみると、①ごく一部のプロジェクトに対して莫大なお金が流れており、②数十から数百の大口投資家が市場(トークン)の大半を握っている為、未成熟な市場であり恣意的に操作されてしまう可能性があると理解している。

Token Summit2017資料より抜粋

①についてはToken Summit2017の資料に因ると、ICO調達金額のうち半分以上が上位10%のICO案件由来である。これに対して、メガ調達案件にばかり注目が集まっており、本来重要なプロジェクトが軽視されているとの批判の声も上がっている。

CoinDesk Q1 2017 State of BlockChain より抜粋

②についてはCoinDeskが最近発表したQ1 2017 State of BlockChainの資料に因ると、一部の大口投資家が市場(トークン)の大半を握っていることが分かる。この為、ICO市場が不当に操作されてしまうことへの懸念がある。

翻って、本題であるFred WilsonからICO投資家への警告をざっくり意訳すると以下の通り。VCにも当てはまることなので自戒の意味も込めて。

(1)ICOの調達額を見極めなさい。ICOもスタートアップも調達額が大きければ成功し易いという訳ではない。スタートアップにおける過去の経験では、調達額を見極め適切な金額を調達した方が成功している。
(2)ICOのプロジェクトが何をしていて、なぜ投資するのか理解しなさい。今のICOバブルは、無秩序にスタートアップに投資する1990年代後半のインターネットバブルに似ている。
(3)バリュエーション(投資リターン)を見極めなさい。納得できるバリュエーションで投資し、今後5年間で10倍になる仮説(モデル)を持つべき。(現状はバリュエーションが有って無いようなものなので、ICOのバリュエーソンのモデリングを試みている人たちもいる)
(4)テクノロジーと人を見極めなさい。仮想通貨のように未成熟な市場においては詐欺(スキャム)が多く発生する。意図的であっても仮に偶然であっても、投資家にとっては詐欺は詐欺である。(個人的には、大きな物議を醸し出したテック系スタートアップのTherasoに投資していたTim Draperが最近ではFactomを牽引している現状を見て、意識しているのではと・・・)
(5)テクノロジーの仕様が決まっており、実際に使用可能なプロジェクトに投資すべし。USVからの投資も80%以上は既にプロダクトができており、実際に使用可能なサービスを提供しているスタートアップに投資している。まだwhite paperなサービスへの投資は、既に動いているサービスへの投資に比べて圧倒的にリスクである。
(6)他の人々がグリーディーな今こそ慎重になりなさい(つまり一つのICOに張らずに分散投資しなさい)。Vitalikもブログでthe answer is simple: start moving to mechanisms other than single round salesと述べている。

USVはブロックチェーン市場のこれからの繁栄を期待しているからこそ、現在の状況を憂慮していることがうかがえる。


(4)について、個人的な見解だが、ICOで詐欺まがいのことが発生してしまっている主要因の一つは、プロジェクト運営側のトークン保有割合の平均が20%と低すぎることなんだろうと最近感じている(スタートアップの場合、最初の資金調達後の起業家側の株の保有割合は80%と、ICOの場合と逆)。

Fred Ehrsam "How to Raise Money on a Blockchain with a Token"より抜粋

それに対して、今後はICO前の投資ラウンド(SAFT:Simple Agreement for Future Tokens)の拡充や、Argon GroupのようにIPOの主幹事証券の機能をICOにて担うもの、CoilListのようにファンドレイズの為のプラットフォーム提供者、などスクリーニング・牽制機能がうまく働いてICO市場は今後成熟していくのだろうか。(個人的には、今後1–2年でYCバッチ卒業生の一部はYCによって得られる信頼を基に、リアルマネーとICOとのハイブリッドで資金調達すると予想しているが当たるかな)

このようにICOが課題を抱えているということを認識した上で、どうICOを活用できるのか、専門家をお呼びして勉強会を開催予定なので、興味あるスタートアップの方はご連絡くださいませー

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