Is VC Still a Thing?(VCはオワコンか?)by Mark Suster/Upfront Ventures

Masahiro Sameshima
8 min readFeb 12, 2019

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Softbank Vision Fundが引き金となってVCが巨大化(Sequoia、NEA等)。それにより未上場でのベンチャーの調達も大型化しテックバブルではないかとの声が上がっているシリコンバレーにおいて先日SNSでも話題になっていた、”VCはオワコンなのか?”についての議論。VCを擁護する論調であるものの、USのスタートアップ事情がよくまとまっている資料なのでオススメ(インターンでお手伝いしてもらってる 江原ニーナさん @nina_2ndsaga 、ご協力ありがとう!)

先日のKPCBの資料でも同様にUSではプレシード/シード期が膨張しており、プレシード/シード段階でのFiltering(選別)が必要なのではとの議論がありました。個人的な肌感覚では日本において、シードからシリーズAの案件はここ数年で急速に増加しましたが、シリーズB以降の案件はそこまで増加していないので、そこに大きな谷があり、どうシリーズBまで繋げられるかが課題なのかなと感じてます。

以下、Upfrontのプレゼン概要になります。

議論の背景

  • 「ICOはVCを取って代わるか?」
  • 「SoftbankやSequoiaやソブリン・ウェルス・ファンドがVCのパイを食い尽くすのではないか?」

→VCはオワコン?という議論が散見されるように。

➡︎結論:オワコンではない!

概観

  • スタートアップの調達額は急上昇。(2018年、131B)
  • VCのファンド総額も上がっている。(2018年、55B)

プレシード、シードラウンドの急増

  • プレシード(VCから1M以下の出資を受けるラウンド)の件数は、2006年から2014年の間に6倍に成長。しかし、2015年以降の過去3年間では、3割程度減少している。(※アメリカのVCが出資している数)
  • シードラウンド(調達額$1–5M)も同様で、2006年から2014年の間に件数は3+倍に増加した一方、2015年以降は2割程度減少している。

シリーズA/シリーズBの資金調達ペースは横ばい

  • $100M以下のマイクロファンドの数にも同様の傾向がある。(近年3割程度減少)
  • シリーズA/シリーズBにおいては、資金調達ペースは横ばい

シードの長期化、膨張が発生

  • シード・エクステンション(シード期間が従来に比べ長期化)が起こっている。
  • マーケットにおいて、シリーズAとBが占める割合は、15年前からあまり変わっていない。ただし、プレシード〜シードの数は3倍になっている。

バリュエーションの上昇だけではなくVC出資比率を高めている為にVCからの投資金額が上昇

  • シリーズAとBのラウンドでバリュエーションは上昇している
  • ファンドサイズの増加の目的の一つとして、ownership levelの維持が挙げられる。

メガラウンドに資金が流入

  • スタートアップへの投資額は急速に拡大している。(過去5年で3倍に)しかし、増加した投資額の行き先は主にメガラウンドである。

➡︎$61Bが$100M超えのラウンドに、$81Bが$50M超えのラウンドに出資された。

  • $50–100Mを調達したラウンドに$20B
  • $100M-1Bを調達したラウンドに$40B
  • $1B+を調達したラウンドに$21B

IPOまでの年数の長期化

  • 従来は、業績の良い企業であれば創業から6–7年でIPOしたが、現在では、IPOまでに2倍の期間がかかるようになり、ベンチャー企業にとっては、会社のOwnershipや付帯する権利を長く持てるため、大きなチャンスとなっている。
  • (従来型)ebay・amazon 3年、salesforce 5年、Google 6年
  • (現在)uber 9年、airbnb・slack 10年、lyft・dropbox 10年、eventbrite 12年など。
  • もしアマゾン、グーグル、セールスフォースが12年間IPOしなかったとしたら、IPO前に$197Bの企業価値価創出が行われた計算になる。

“プライベートIPO”と呼ぶべきメガラウンドの出現

  • プライベートIPOともいうべきメガラウンドが2014年頃から増加。
  • 2018年に資金調達を行った企業のうち、時価総額が$1Bを突破したのは54社。
  • ほんの5年前までは、$100Mを超えるラウンドは全体の13%だったのに対し、2018年には47%にまで上昇しており、100M以上のグロースステージでの資金ニーズが高まっている。

VCの多様化

その結果、VCは多様化が進み、以下の3つのカテゴリーに分けられる。

①シードキャピタル(プレシード/シード期)

②(伝統的)ベンチャーキャピタル(シード/シリーズA,B,C)

③グロースキャピタル(プライベートIPO)

インターネットの普及等を考慮するとVCはオワコンではない

  • 1999年、インターネット人口増加の黎明期であり、アメリカでのVCの調達額は$53B程度であった。
  • 現在、アメリカ人口の77%、世界の56%の人口はインターネットを利用する。VCの調達額は$55Bと、1999年頃とほぼ変わらず、まだまだ増加余地がある

まとめ

  • シードや従来型のVCの価値はかつてなく高い。(競争が激化)
  • 価値がPublic(上場)からPrivate(未上場)にシフトしてきているが、VCのスキルとグロースステージでの(PEっぽい)スキルは異なる
  • 今日のわれわれは、高速なインターネット回線を持ち、流動性が高く、社会的で、購買は1タップで済むような世界を生きている。
  • 技術やネットワークの発展は今後も新たな機会を作り続けるだろう。

最後に、もっと気になる方は本人の解説記事も合わせてどうぞ

普段は本郷のインキュベーション施設(#NestHongo)で暇してます。起業相談や、大企業からの転職相談、とかあればお気軽にDMくだされー

(VCがグロースステージ時にどこまで価値を発揮できるのか、また、これまでグロースを得意としてきたPEがVCの投資フェーズまで降りてきた時にVCはどう差別化して生き残るのか等、若手PEの方々からもご意見お伺いしてみたいので、DM頂けますと!)

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Masahiro Sameshima

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