感動するきんぴらごぼうに出会ったので、ちょっと解説してみる
料理というのは非常にロジカルなものなので、感動する料理には必ずわけがあります。
ということで、普段はあんまりこういうことを書かないのですが、感動するきんぴらごぼうに出会ったので、ちょっと解説してみます。

作ってくれたおかみさんは「きんぴらに鶏ひき入れるとおいしいのよね」とおっしゃってました。
たしかに鶏のうまみが野菜に染みていて、ごぼうも皮までしっかり使っているので、しっかりとごぼうそのものの味を味わうことができます。
でもね。
これは表のわざ。
きんぴらごぼうという料理の名前が示すとおりに、この料理の主役はごぼう。
そのごぼうをセンターに立たせるための食感の設計が完璧なんですよ、このきんぴらごぼうは。

写真をアップにしたのでわかると思うのですが、ごぼうを邪魔しないように他の材料は存在を消すための工夫がされているんです。
にんじん:ごぼうと違い皮を残していない。さらにごぼうよりも余計に火を通してくたっとさせている
ごま:淡泊になりがちなきんぴらごぼうには必須。ただしごまのサイズは変えられない
鶏のひき肉:二度挽きして口の中に運んだ時のサイズをごまに揃えてある。ごまと同じサイズになることで、さらに料理の中では背景に消えていく
尊敬する陳健一先生の言葉で「素材のサイズを揃えるんじゃない、食感のサイズを揃えるんだ」というものがあります(出典覚えてない)。
つまり、ごまと鶏ひきのサイズを揃えることで、味としてはこくを出しているのに食感としてはわき役に回っているんです。
だから、皮を残したことで存在感を出したごぼうの食感をさらに際立たせることに成功しているんです。
これが食感の設計がパーフェクトということの正体。
もちろん、私が勝手に解説しているだけなので、実際にそうなのかは知りませんが、読み込むことができる料理に出会えるというのは、人生そうそうあるものではありません。
ありがとうございました。この謎を確認するために、他のみなさんの3倍は食べてしまいました。