新しい本のアイデア

公開ブレスト

本江 正茂 / Masashige MOTOE
4 min readOct 28, 2013

いくつか、書きたい本がある。

自分で暖めているだけだとなかなか形にならないので、この新しい(大丈夫かとも思いつつ)とても好感のもてる Mediumという場所で、アイデアを公開して、ブレストができればよいなと思って書いてみる。原稿の仕事があるたびに、新しいエディタを物色せずにはいられない私には、Mediumの登場はとても楽しい機会になりそうだ。飽きないうちにやらないと。

『建築と情報』

大学院で持っている講義「建築ITコミュニケーションデザイン論」の講義録。我ながら恐ろしい大それたタイトルの講義を担当しているものだと思うけれど、もう10年以上やっていて、内容もアップデートし続けているので、構造がくちゃくちゃしてきている。なので、ここらで一端まとめて、切るところと育てるところを分けておきたい。

半期の講義なので全15回なのだが、もっと小さい単位に分けて、30から50くらいのトピックに分割されることになるだろう。それが全部載ってる一冊にする必要もなくて、テーマを立てて束ね方を考えることになるんだろう。

『情報のインスタレーション』

時空間ポエマーとか災害のデータスケープとかMEGAHOUSEとか、私がデザインに関与してきたプロジェクトは情報の空間的展示に関わるものが多い。オフィスのデザインへの関心もこれに近いし、SSDのコミュニケーション軸での仕事の多くもこれに関わる。以前、空気調和=いわゆる空調= air conditioning に倣って、空間への情報のちょうどいい持ち込み方について 情報調和= information conditioning が必要になると書いてみたこともあるんだが全然ヒットしなかった。これをちゃんと価値づけたい。

『環境に はたらきかける人のふるまい』

大学の研究室で岡村製作所とやっている共同研究のまとめ。いくつか論文にはしている。まず被験者たちにグループワークをしてもらう。最初はテーブルとかホワイトボードとかパーティションとか、以上に大きいとか狭いとか、わざと使いにくくなっている。作業をしつつ、環境についても考えてもらい、自分たちでちょうどいいと思う環境をつくってもらう。ちょうどいいテーブル、ちょうどいいホワイトボード、ちょうどいいパーティション。で、また作業してもらって、どのくらいよくなったと感じるか聞く。同時に作業の様子を全部動画で撮影しておいて、どう変化があったかを調べる。感想と行動にはズレがある。

人は環境にはたらきかけて、みずからちょうど良い環境に変化させることができる。人は皆デザイナーである。

『生まれたての施設』

まだ世の中にでてきたばかりの「施設」を調べるのも研究室のテーマのひとつ。Airbnb、大学のキャリアセンター、ものづくり共同利用施設(いわゆるFabLab的なもの)、シェアオフィス、震災復興活動支援拠点など、施設計画論が確立する前の、危うい状態の弱くて緩い「施設」の芽生えをとらえ、実物をつぶさに観察して、つくった人の話を聞いて、どうもこういうことがおきているらしいと考えるシリーズ。サードプレイスですらない、第4、第5 の場所。

『創造都市 仙台』

仙台に来てからこっち、ずっと地元の「クリエイティブ産業の育成」に関わってきた。成果があがっているかどうかはまだわからないが、せんだいクリエイティブクラスターコンソーシアム、クリエイティブシェアオフィスTRUNK、せんだいスクール・オブ・デザイン、あきんどでざいん塾、などの設立に関わってきた。これらの活動と、その中で出会った仙台の凄い人たちを紹介する。

地方都市論でもある。東北と東京の間にある仙台という場所の微妙な立ち位置なんかも考えつつ、八戸や青森や秋田、金沢や広島などで、絶妙な創造的活動を展開する人たちも紹介したい。あとフランスのモンペリエのFAVの話もしたい。

全体として通底しているのは、人間と環境の系の意味の変容について、すなわち場所のデザインについての話ということになるだろう。

共著のほうがいいものも多い。それぞれの仲間と相談しながらすすめたい。

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本江 正茂 / Masashige MOTOE

仙台市にて3.11地震にあって後、震災復興中。情報技術が拓く都市と建築の新しい使い方をデザインし、人々が持てる力を存分に発揮しあえる環境をつくりだすべく研究中。東北大学 都市・建築学専攻、フィールドデザインセンター、災害科学国際研究所。宮城大学 兼務。