2017年12月現在としては、インド人CEOのサティア・ナデラによるMicrosoftの復活が話題にはなっている。けど、一般的に先進的企業として経営や制度、内部の研修に至るまであらゆる面でGoogle(Alphabet)がモデル、というか話題になっているように思う。
例えばこれ。
とか、これも
もちろん、有用な知見ではあるけど、自分の持論では参考にすべき会社としてMicrosoftを挙げたい。理由は以下。
理由1: 成功している大企業でありながら、チャレンジが目立つ
これはナデラによる改革がうまく行く前から、アジャイルを取り入れたり、ハードに手を出してみたり、と時代にあわせたチャレンジを実は数多くやっていた。そして、大半のチャレンジは実を結んでいるように見える。具体的な内容は次の記事で書くが、そのチャレンジの多くはすでにある市場に対して自社の強みを生かして創意工夫を繰り返して攻略する、という堅実なもの。対してGoogleは後発になってしまうと大抵パッとしない。
理由2: 世代交代を実現できている(創業者依存を脱却できている)
ナデラの登場で自信を持って言えるのだけど、その前からビル・ゲイツの役割が小さくなっていきながら経営を回していたように思う。それでいて、色々なチャレンジをやっていた。つまり、自ら改革するシステムがビルドインされていた、ということだと思う。創業者という天才に依存しないで、内部の優秀な凡才たちで戦って行くことができている。逆に今のAppleはジョブズに遺産に寄りかかっているだけだし、Googleも検索連動広告っていう創業時のアイデアの次が見えないように思う。
それでいながら、CEOは2代続けて生え抜きみたいな人。これは内部の人材育成・プロモーションのシステムが機能していることを示している。これは日本企業が目指している姿なのではないか。
理由3: 時々大失敗をやらかすが、リカバリする
これもジョブズのような天才がいない故、そしてチャレンジをしているからと思うけど、Windows Vista、Windows 8みたいな大失敗を時々やらかす。そのあと、ユーザの声に対応して、次のバージョンを手早くリリースした。単に切り戻した訳でなく、学習した上で改善している。
ユーザーからクレームが殺到するような大失敗、そしてそれを糧にするっていうのは、日本企業が苦手な施策なんじゃなかろうか。そして、個人的にはそれが凡人の集まりであるほとんどの企業にとってイノベーティブであり続けるために必須の態度なのではないか、と思う。
理由4: 先行者がいる市場に挑戦し、ある程度の成果を何度も収めている
MSは当然個人向けパソコンの世界から打って出たのだけど、市場にイノベーションをもたらしたというより先行者がいる市場に攻め入ってしっかりと成果を出してきている。
・WindowsNTにはじまるMSの商用サーバ製品 は、おっさんエンジニアは知っているけどそれはそれはひどいものだった。端末管理のために仕方なく使うレベル。でもWindowsServer2003あたりから安定しだして、今ではAPサーバとして普通に使われている。SQLServerとかもそうだろう。商用UNIXがLinuxにとって代わられている現在、WindowsServerは独自の地位を得ている。
言語もそう。VBは開発者には人気がなかったけど、Javaを改良したC#は人気の言語。IDEのVisualStudioも素晴らしい出来。
検索エンジンのBeingはナデラの仕事らしいけどそこそこうまくいっている。
また、タブレットによってPCが駆逐されそうなときにWindows8やsurfaceみたいな実験を繰り返して、タブレット/ノート両用っていうビジネスユーザーにとってベストの解にたどり着いた。これはAppleがいまだにできてないこと。
こうしたことは経過をみれば、物笑いの種になるようなひどい製品のリリースを経て成し遂げてきていることが多い。金があった/明確な強みがあったみたいなところはあるけど多くの企業が研究し、参考にすべきことだと思う。
ちなみに、個人的にはMS製品は好きではないです。ただ、使わざるを得ない。。。