B2B Startup Blog: データで読み解くユニコーン企業(後編)

CNN Moneyより

前回は、ユニコーン企業の全体像を評価額やセグメント、地域を軸に全体の動向を調べてみた。今回は、私の所属するGVも注力しているB2B、特にその中核をなすSaaSセグメントで、日本ではあまり知られていないユニコーン企業を深掘りした。


B2Bユニコーン企業の全体像とは?

前回にも少し触れたが、まず現状のB2Bのユニコーン企業の全体像は以下の通りである。

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この90社を出身地域で見てみると、

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予想通り、USが全体の65社(72%)と他地域を圧倒している。中国、イギリスも合わせた上位3か国で、社数ベースで88%、資金調達額ベースで92%を占めており、残りは1か国で1-2社程度に分散している。
少数の国々を見ると、インドを除き、日本より市場も小さい先進国(韓国やEU諸国)も多く、海外展開によって評価額を上げてきたと考えられる。日本のB2Bスタートアップも、積極的にグローバル視点で展開する視座を持って、大胆に挑戦するスタートアップが出ることを期待したい。

続いて、セグメント別で見てみると、

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Slackの様な、SaaSが全体の3分の1を占め、続いてIaaS/PaaS、ヘルスケアがトップ3を占めている。
俯瞰的に見てみると、先進国全体が抱えている課題解決に挑むセグメントが多いように思う。SaaSやIaaS/PaaS、HR Techは、労働人口が増えない中いかに労働生産性を上げるか、という課題にリーチするし、ヘルスケアは医療の効率化や高齢化による医療費低減に資するサービスが多い。


B2B SaaSユニコーンのトップ企業はどんな会社?

B2Bユニコーン企業の中枢をなす、SaaS系。その中でも有力なユニコーン企業を理解するために、Top 10企業は以下の通りである。

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1位:Palantir(パランティア)
Paypalマフィアのドン Peter Thiel氏創業。ビッグデータ分析をコアの強みに置き、分析ツールからコンサルティングサービスまで提供している。金融や製薬のR&Dまで業種問わず幅広い業種の顧客層を持ち、FBIやCIA等の国家機関も顧客になっている。SeedラウンドではCIAの投資部門であるIn-Q-Telが出資。一説ではビンラディンの探索サポートを行ったとの噂もあり、秘密の多い企業でもある。

2位:Infor(インフォア)
元オラクル社長のCharles Phillips氏が創業し、経営陣もオラクルの主要メンバーが名前を連ねる。企業会計、企業のアセット管理、SCM、プロダクトライフサイクル管理等、エンタープライズが必要な全てのソリューションを提供している。現在、164か国、7万社以上での導入実績がある。

3位: Slack(スラック)
Yahooに売却した、オンラインの写真共有サービスFlickrの創業者であるSteward Butterfield氏が創業。Flickr売却後にオンラインゲーム会社をやっていた際に、内部のチームコミュニケーションツールとして開発したのがきっかけ。上記のPalantirやFacebookから強力な幹部人材が名前を連ねる。「史上最速で成長したSaaS企業」としても知られ、現在16年10月時点で有料課金アクティブユーザーが125万人を超えるなど、モンスター級のSaaS企業である。

以下、注目株として、比較的創業の新しいUptake(2014)、DOMO Technologies(2010)の2社がどんな企業か、深掘りする。


Uptake社(評価額 2,300億円)

Uptake社HPより

Uptakeはどういう会社?
・Slack, Uberを抑え、2015年Forbesが選ぶ「最もホットなスタートアップ」の1社に選ばれた、Industrial IoT向けのビッグデータ解析・予測プラットフォームを提供するスタートアップ

・GEのジェフ・イメルトCEOが「全て機械メーカーはソフトウェア企業にならないと生き残れない」と言う通り、USでは”Industrial Internet”化が進む一方、建築、鉄道、採鉱現場等、機械が使われる現場では、そのデータは価値を生み出す形で活用されていない

・ Uptakeは、機械のセンサーデータと企業内データを収集・分析し、企業がコスト効率良く、行動をすることができる予測情報を提供する。例えば、建機や鉄道では、故障タイミングを予測して、事前にメンテナンスを施すことで、機械のダウンタイムを圧倒的に低減に寄与する

・Uptakeは分野別エキスパートに加え、300人以上のエンジニア/データサイエンティストを抱え、業界特化のプロダクトを最速で提供している

Uptake社HPより

どういう企業が顧客か?
建機最大手のCaterpillar社(投資家でもある)や 「世界一の投資家」として有名なウォーレン・バフェット率いるBerkshire Hathaway Enegy社他、鉄道、航空、農業、小売、ヘルスケア関連の業界トップの大手企業が顧客

Uptake社HPより

どんなチームなのか?
創業者兼CEOのBrad Keywell氏は、Grouponの創業者であり、10社以上を起業したスーパーシリアルアントレ。メディア、金融、ヘルスケアまで幅広い領域で起業しており、Uptakeが幅広い産業にリーチ出来ている所以。CPOのGregg Goff氏は、NielsenやMorningstarのようなUSトップの情報解析サービス畑での豊富な経験を持っている。

CrunhbaseよりGV独自作成

#5 DOMO Technologies社(評価額 2,300億円)

DOMO HPより

DOMO Technologiesはどういう会社?
企業の経営者や意思決定者向けに、会社の全ての情報をリアルタイムで収集して見える化する、いわゆるBIツールを提供するスタートアップ

・DOMOは、Salesforceの様なCRMや経費精算のConcurから、FacebookのようなSNS等、300以上のソースから企業の情報を全て集約できる

・創業者のJosh JamesのOmniture CEO時代に「大企業になると、社長に必要な情報が自分の手にすぐ手に入らない」経験がきっかけ

・創業から5年間ステルスで活動し、その間に1,000社以上の導入を実現

DOMO HPより

どういう企業が顧客か?
・メインターゲットは、売上50~1,000億円程度の中堅~大企業が多く、eBayや飲料大手のSABMillerや物流大手のDHL等が含まれる
主な使用者は経営陣の他、営業系の意思決定者が多い

DOMOの主な顧客(DOMO HPより)

どんなチームなのか?
DOMOは、創業者のJosh James氏がAdobeに売却したOmniture社の経営メンバーを中心に構成されている。

DOMO HPよりGV独自作成

Uptakeにしろ、DOMOにしろ、B2B SaaSで急成長しているスタートアップが、大企業をコアのターゲットにして、急成長しているのは非常に面白い

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