成功しているB2Bスタートアップの5つの成長の秘密

Masayuki Minato
5 min readJan 21, 2017

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グリーベンチャーズ インベストメントマネージャーの湊です。

私の所属するGVも注力しており、日本でも起業数が増えてきているB2B領域(主にSaaS)の販売戦略のキモについて、私の前職でもあるボストン・コンサルティング・グループがまとめた良記事をご紹介します。

原文はこちら

本稿では、成功するB2B系ネットプレーヤーの成功の秘密は、以下の5つだと説いています。

  1. カスタマージャーニーから始めよう
  2. カスタマージャーニーを全方位のデジタル情報から把握しよう
  3. コールドコールをやめよう
  4. インサイドセールスを見直そう
  5. カスタマーサクセスで徹底的に事業成長させよう

B2B系のスタートアップの企業の方からすると、当然の内容とも思われますが、一方で全て実践をできている企業というのも少ないのでは、とも思います。当然、プロダクトフィットに集中している、~earlyステージあたりのスタートアップにおいては、数少ない顧客に徹底的に向き合うべきなので、当てはまらない部分もありますが、将来の営業体制を考える上では知っておくべき内容だと思います。

B2B系スタートアップを起業している方やB2B系で働かれている方は、ご一読をお勧めします。

【記事の概要】

Amazon Web ServicesやSalesforce.com等のインターネット系B2Bプレーヤーは、既存のB2Bプレーヤーに比べて、圧倒的にセールスサイクルを早く回しており、結果、高成長と高利益体質を実現している。成功する企業約10社の販売モデルを分析した結果、その裏には、5つの秘密(以下)がある。

  1. カスタマージャーニーから始めよう(Start with the customer journey)

B2Bサービスの顧客の多くは、マーケティング、セールス、アフターセールスの活動が連携していないことに大きな苦痛を感じている。成功しているプレーヤーは、各ステップごとに顧客にどういう体験をさせたいのか、マーケティング、セールス等異なる活動で生じる”摩擦”をいかに低減させるのか、を非常に綿密に設計している

2. カスタマージャーニーを全方位のデジタル情報から把握しよう(Track the journey from cookie to customer)

多くのB2Bプレーヤーは、顧客のオンライン上での”興味のサイン”(例. cookieデータ等から)を見逃しており、効率的に営業、販促ができていない。成功しているプレーヤーは、顧客の初めてのサイト訪問から、「いつ、どこで顧客が”興味のサイン”を発したか?」をデータから見逃さないようにしている。ある成功するテクノロジー企業は、顧客のオンライン上でのカスタマージャーニーをデータ化して、どこが売上アップを阻害しているのか、を徹底的に見える化し、結果、3か月で売上を2倍に増やすことに成功していた

3. コールドコールをやめよう(Stop cold calling)

一般にB2Bサービスの営業は、リストアップした顧客にひたすらコールドコールを掛けることに業務のほとんどを費やしている(テレマのアウトソースやパートナー活用含む)。成功しているプレーヤーは、SEO、SNS活用、e-mailマーケやブログ等を活用して、顧客のインバウンド情報を獲得して、上記のコスト半分で顧客獲得に成功している。上のチャートは、成功するプレイヤーが、いかにインバウンドでの顧客獲得に成功し、高いROIを叩き出しているか、を表しています。

4. インサイドセールスを見直そう(Rethink inside sales)

一般に、B2Bの営業は、比較的スキルが低く、(賃金を抑えた)インサイドセールス組織を作り、人海戦術での対面営業が基本になっている。

これは、ヒト・モノ・カネ全てを浪費する上、スケールするには大量の資金が必要となる。成功しているプレーヤーは、スキルの高いインサイドセールスを少人数雇い、オンライン/電話等を活用し、質の高いセールス活動を実施している。その上で前出の顧客データを活用しつつ、同じ時間で、営業の量 ×質共に10倍近い効果を出している。(例えば、HubSpotは、1セールスあたり~数十社の顧客にアプローチできている。)

ここでキモになるのが、優秀なインサイドセールスを雇うこと。具体的には、しっかりとしたキャリアパスの設計、業界標準以上の報酬、良い労働環境等を提供し、優秀なインサイドセールスのエンゲージメントを高めることが重要。

5. カスタマーサクセスで徹底的に事業成長させよう(Grow through customer success)

通常のB2Bプレーヤーは、初回の商品納入時にアップフロントで立てた売上が中心になっている。一方、成功するB2Bプレーヤーは、upsellでの売上が中心になっている。

それを実現しているのが、顧客へのサービス導入支援やupsellを主業務とする、カスタマーサクセスの存在。カスタマーサクセスを成功させるカギは、いかにリアルタイムの顧客情報をつかみ、顧客に最も価値がある情報を即時判断し提供しているかにかかっている。

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Masayuki Minato

Venture capitalist@Salesforce Ventures. Focus on investing and empowering B2B startups. Worked for GREE Ventures, BCG and BASF. Carnegie Mellon MBA