ポケモンGOについての5つの観点

2016年7月5日に米国でリリース、2016年7月22日に日本にて配信開始されたポケモンGO、ようやく一巡して落ち着いた感じになってきた。ポケモンGOをプレイしながら思っていたことについて、下記の5つの観点からまとめてみることにしました。

  1. 社会現象として
  2. ビジネスとしての観点
  3. データ資本主義
  4. ジョン・ハンケ氏とは
  5. シンクロニティ

1. 社会現象として

リリース後、アクアノートの休日、巨人のドシン、ディシプリンなど、作家性の高いのゲーム制作で知られる飯田和敏氏は上記のようなツィートをしました。

ゲーム上で最強キャラと言われる、カイリュウに進化させるのに必要なミニリュウの巣があった(現在はカイリュウの巣はなくなっています、要請を受けてなくなったのか、もともと巣は移動する仕様なのは不明)世田谷公園を中心に、様々な物議を呼んでいます。

さらに面白いことに、ゲーム的には世田谷公園に行く理由は、ミニリュウを捕まえるのが中心おくはずが、世田谷公園にはそういったことを理解せずに、とりあえず集まろう的な人も多くいたように思えます。

周囲を見てみても、列車のアナウンスが追加されたり、政治家さんの発言に引用されたり、SNSではあえてやらないてきな発言がされたり、ディアで各種ニュースになったりしています。

こうした社会現象化した理由は、スマホでポケモンGOをしていることが周囲にわかりやすいこと、またその姿が奇妙に見えること、など幾つかあると思います。こうした理由についても、今後、社会学者などが発言をしていくと思います。

個人的な観点としては、やはりアラブの春のようにデジタルテクノロジーがヒットした時に、社会に与えるインパクトの大きさを再認識するととともに、最初の飯田和敏氏の発言の通り、事物の螺旋的発展のよう思えました。

2. ビジネスとしての観点

2つ目の観点としては、やはりビジネスの大きさです。一部の投資家などは任天堂のスマホ戦略、今回の件が任天堂に与える経済的影響について、誤解をしているように思えましたが、売上規模としては下記のようなニュースが出ています。

米国では公開から4日で売上14億

アップルが『ポケモンGO』を賞賛するのは、今後1〜2年で同社に30億ドル(約3200億円)の利益をもたらすという予測からも自然なこと。

Appleの課金手数料は30%であり、これに加えてAndroidもあると加えると予測ではあるもの、上場企業の時価総額を考えると、京セラ、コマツ、伊藤忠などを買える額の売上を叩き出したことになります。

また、ポケモンGOを制作したNiaticの正式な社員数は調べてもわかりませんでしたが、おそらくそんなに多くないかと思います。

小さなチームで、しかもリリースから短期間でこれほどまでの成長をしたビジネスがあることが、グローバルに展開するインターネットビジネスの凄さであるなと思いました。

補足:ソーシャルゲームで爆発したパズドラやモンストは年間1000億〜2000億程度です。

3. データ資本主義

そこまでビジネス上のインパクトがあれば、またネットビジネスは投資が少なくて始められるでしょう?このチャンスを逃すわけにはいかないと、血気盛んな事業家は少なくないでしょう。

事実、クラウドソーシングのランサーズに早速上がってきているようです。

しかしながら、ポケモンGOのようなゲームを作るのは普通企業には不可能です。

批評家でもあり、ゲンロンカフェの代表でもある東浩紀氏は下記のようなツィートをしています。

このゲームを作り上げたジョン・ハンケ氏は利益のみを考える人ではないと思う(次の項目を参照)のですが、このデータがある企業がどんどん強くなっていく現象は、もっと考えられてい問題です。

こうした位置情報を集めるだけにとどまらず、人工知能といった機械学習が、より実用化されていくにつれ、GoogleやAmazonやAppleやFacebookなどのデータがあり、それを独占している企業がより強力な存在になっていくことは無視できません。

ある意味、新しくインターネットでスタートアップをしようとした際に、格差・不平等が生じるのは資本力(人工知能分野ではサーバー費用もかなり重要だが)ではなく、データがある企業と、そうでない企業なのかもしれない。

4. ジョン・ハンケ氏とは

ポケモンGOを開発したNianticの創業者はジョン・ハンケ氏です。この人の経歴は非常に面白いです。

ざっくりとまとめると、下記の通り。

・Google Earthの元になる会社を作ってGoogleに売却

・Googleの中でGoogle MapやGoogle Street Viewを開発

・こうしたサービスを作ったことによって人が外に出なくなることを問題と感じるようになる

・位置情報を使ったゲームIngressを作る

・Googleから独立

・ポケモンGoをつくる

けれどその根底にあるのは、やはり「ユーザーが外にでるためのものを、さまざまな人が作っていけたら」というアドベンチャー精神だ。

こうしてみるとジョン・ハンケ氏はインターネット起業家としても、ゲームクリエーターとしても異色な存在であるように思う。

5. シンクロニティ、岩田聡氏、田尻智氏

最後に、シンクロニティ(奇妙な偶然に一致)について。

ポケモンGOがリリースされてから、急逝した任天堂の元代表取締役社長の岩田聡氏の記事が幾つか出きました。

要するに、任天堂は山内溥氏の時代から、それを受け継いだゲーマー岩田聡氏が一貫して取り組んできたゲーマー人口の増大というテーマと、ポケモンGOは一致しているということです。

僕は、ジョン・ハンケ氏の経歴を見て、ジョン・ハンケ氏とその開発メンバーが岩田氏の意思を元にポケモンGOを作ったわけではないと思っていますが、そこには奇妙な方向性の一致があります。

またポケットモンスターというゲームについて。ポケットモンスターというゲームはゲームクリエーターの田尻智氏が中心になって作られました。

田尻氏については下記のインタビューが面白い。

抜粋して紹介したい。

田尻氏:
 あの頃は、「都内のどのゲームセンターに行けば、新しい試作品が遊べるか」みたいな情報がゲーマー同士で共有されていたんですよ。千代田区のゲームセンターなんて、セガの新作ゲームが置かれていることで有名で、よく足を運んだものです。

もう一つ抜粋。

遠藤氏:
 そりゃ、死に絶える寸前に『ポケモン』が出たからだよ。しかも、あのゲームはメディアの力じゃなくて、子どもたちの口コミでじわじわと広がっていったんだよ。その熱気から生み出された流れが、ポケットやライトやカラーなどの機種を生み出して、ついには携帯ゲーム機の市場を作ってしまったんです。

これらのインタビィーからわかるように、ポケットモンスターというゲームが、ゲーマの口コミをベースにつくられていたアーケードという文脈の上に開発されいたと僕は思っています。

この口コミュというコミュニティを組み込んで設計されたポケットモンスターというゲームと、ジョン・ハンケ氏が作ったIngress、ポケモンGOについても奇妙な偶然の一致があるよう思えます。