〜ひらパーに学ぶ、コト消費〜

昔は、そのモノを所有することがシグナリングとして強く働いていた。

クルマ、トケイ、バッグ。

しかし、現在はほとんどの人間がカメラを持ち歩き、わずかな手順で他者と共有できる時代だ。

素晴らしい体験や食事を端末に記録し、それをInstagramに載せることがゴールとなっている。

これはコト消費の亜種である「SNS承認」だが、「仲間内への挨拶の省略」という側面もある。もちろんビジネス化している人も。

コト消費、というのは先見性のあるマスターカードのキャッチコピー「モノより思い出」に全て表現されている。

更に、現代人は情報を食ってるなどとも言われる。

私の昼ごはんは、サラダチキンとヨーグルトor豆乳バナナ、たまにラーメン。

しかし、行列のできるお店は「世界一の朝食」「ニューヨークの朝食の女王」「ニンニク入れますか?」という巧みなキャッチコピーで客を呼ぶ。

そして、店内では「あの当たり年と言われた2006年に勝るとも劣らない出来」と言われたワインを飲む。

パンケーキは粉だ。ワインも私のようなタコには味はよくわからない。だからそこにストーリーが必要だ。伯爵はラフィットよりもこのカロンを愛した、カロンセギュールは愛のワイン…とか言われると弱い。

「何を言うかよりも、誰が言うか。」

とも、よく言われる。我々は情報を食べ、雰囲気に感銘を受ける。

そしてそれはSNSで加速した。

だから必要なのはわかりやすいストーリーや、簡単に人に伝えられるコピーだったりするのだ。

共有するために。

大阪に「ひらかたパーク(以下、ひらパー)」というテーマパークがある。

ここではイケメン俳優の岡田准一氏を広告に起用していることでも話題になった。

「海賊と呼ばれた男」という岡田准一主演映画のパロディで「結局やらされた男」というポスターを作られて貼られる。

この広告も、SNSで拡散されたりすることを確実に意識している。

そして、肝心の園内だが、関西圏では最強のライバルがいる。

皆さんご存知、長島スパーランド(以下、長パン)…ではなく、ユニバーサルスタジオジャパンだ。

圧倒的なコンテンツ力とアトラクションの豪華さ、正に横綱とえる日本最大級のテーマパークだ。

一方のひらパーは、決して資金面でもアトラクション面でも充実してるとは言えない。

だが、変わりダネで勝負をしている。トリッキーなのは広告だけではない。

例えば、希望者には景色が小さくなるメガネを配って、既存のジェットコースターに乗ってもらう。スリルは何倍にもなるという。

他にもスースーライドという、ジェットコースターの前に首に清涼剤を塗って、風を感じてもらうサービスもある。

ちょっとした工夫で、大きく世界を変えられるし、私もこうして共有したくなっている。

個人的に好きなのは、ロシアン観覧車だ。

観覧車の布がかけてあるハズレ観覧車があり、並んだ位置によっては全く外の見えない観覧車が当たることになる。

しかし、客にとってそんな美味しい話はなく「面白不幸話」としてSNSにスピーディに共有されることだろう。

並んでる時も「当たったらどうしようー」と話題にも事欠かないし、カップルの男は「当たれ!」と下半身に血流を巡らせるかもしれない。

人生は平凡だ。

しかし、誰もが自分を平凡だとは思いたくない。

自分が特別だ、と。

もちろん、ある程度の成熟を経て、虚栄心などはたち消えてしまうこともあるだろうが、それでも面白いことや話題性のあることは共有したくなるのが人の心だ。

誰かの特別を作ってあげる。

これは素晴らしいサービスとして、飲食店やホテルなどを中心に行われてきたが、フランクになった昨今はふざけた方向に舵を切るのも大アリだ。

ネタを提供することを主眼においたサービスが増える、例えば見た目だけがいいパンケーキとかはどんどん淘汰されて、味が伴ってくる。

ひらパーはいつまでゲリラ戦で生き残るのか、今後の戦略に注目したい。

次はポケモンとコラボして、観覧車でポケモンを捕まえるイベントをやるようですが、果たして。

さぁ、最後まで残るサービスって一体なんなんでしょう。

One clap, two clap, three clap, forty?

By clapping more or less, you can signal to us which stories really stand out.