英語学習をハックする

MatsuNori
17 min readDec 9, 2018

こんにちは

NewsPicks Advent Calendar 2018の10日目を担当させていただきます、NewsPicksエンジニアの松本と申します。

もともとは、デリバティブを中心とした金融のトレーディング・リスク管理システムを開発しておりましたが、 ちょうど1年前にNewsPicksに入社しました。

NewsPicksは、2018年7月にアメリカの経済メディアQuartzを買収し本格的にグローバル展開を進めています。それに伴い、社内でも英語に対する意識が変わり始めているように感じます。

今回は、社内でも今年流行った英語学習に関して以下の順番でお話しようかと思います。

1. 自身の英語経歴
2. 英語を学習する上で重要なこと
3. 音の学習とはどういうものなのか?
4. 実務で英語を使用する際に意識すべき事
5. さいごに

エンジニアでない方も、効率的に学習したい方にとっては知っていただきたい内容なので、是非読んでみてくださいね!

1. 自身の英語経歴

学生時代

・高校で英語に挫折・英語の勉強を放棄し、数学と物理で大学受験と戦う
・大学入学後はTOEIC 340点
・大学4年生で英語にはまる
・大学院卒業前TOEIC 930点 / 技術通訳サポートのアルバイト

社会人時代

・UCLAでの金融工学研修 (英語授業)
・英語を用いての要件定義・設計・お客様とのやりとり (海外案件)
・英語を用いての開発作業 (海外出身のエンジニアとのやりとり)

少し赤裸々に書きましたが、私はもともと英語力のカケラもない人間です。ですので、英語が苦手な人の気持ちがとても分かります。

そんな私が苦手な英語を乗り越える際に、重要だと感じたことをシェアしたいと思います。

2. 英語を学習する上で重要なこと

少し学生時代の話になりますが、もともと英語が苦手だった私は何をして良いのか分からずTOEICを受け続けていました。

点数は伸びず悩みは増すばかり、、

しかし、この低迷期のおかげで英語学習において重要な気づきを得ました。

それは「音」です! Phonics

リスニングに出てくる文章を読むと理解出来るのに、聞くと全く聞き取れなかったのです。おそらく私と同じような経験をしている人は特に日本人に多いと思います。

それは英語の音は日本語の音に比べて多く、我々は英語の音を知らないのです。知らない音を聞いても認識できないのは自然な事だと思います。

例えば、ピアノで「ド」とか鳴っても「ド」って認識できないのと同じで、まず「ド」とはどのような音なのかを認識しないといけない。
絶対音感などを持っている方は、小さい時にピアノなどで、その音自体を認識するトレーニングを積んでいた方が多いのではないでしょうか。

英語の音は日本語の音の3倍くらい多いらしいです。

つまり正しい音を発音できないと、仮に完璧な文章を英語で話しても、1/3しか音の精度が出ずにネイティブに伝わりません。

旅行中スターバックスで注文しても違うのが出てきたり、何言ってるか分からん的な顔をされるのはこれのせいでしょう。

1/3の音の精度とは、日本語に置き換えると「またね」と言いたい時に「おかね」と言ってしまうようなものです。

つまり、

・正しく音を把握出来れば、リスニングを向上させることが可能です。

・正しく発音ができれば正確に相手に伝えたかった内容を伝えることが可能になります。

英語の音を学習することは、さらにアドバンテージがあります。
それは、英語学習の全てが効率化される事です。

・英語の音を学ぶとは、英語の音を認識することです。

・音を認識できている状態とは、その音を正しく発音できることです。

・音を正しく発音できることとは、自分の発音が自分のリスニング力を向上させます。

すなわちスピーキング力とリスニング力を1人完結で向上させることが出来ます。もちろん正しく発音出来るようになっていることが条件です。

その他にも、音を学習の軸にする事で様々な利点が得られます。

例えば、これまで単語を覚えるために単語を書いていたかもしれません。書く代わりに発音すれば良いのです。
10回書く間に30回は発音できます。サイクル数が増える上に、発音をすることで発音練習にもなります。見てわかる単語の意味ではなく、聞いてわかる単語として覚える事で運用力が向上します。
さらに、自身の発音によりリスニング力も向上させることが可能です。

すなわち、音の学習は正しく発音できる(スピーキング)、 聞いて分かる(リスニング)、単語暗記など英語学習全ての学習効率を引き上げます。
限られた時間の中で学習していくためには効率を上げるのはとても効果的な事です。

Kill more than three birds with one stone.
一石3鳥以上

3. 音の学習とは実際にどういうものなのか?

ズバリPhonicsです!

Phonicsとは英語圏で子供達に英語をどうやって読むかを教えるのに広く使われている教育方法です。海外では教育にphonicsが組み込まれている国が数多く存在します。

興味を持っていただいた方は是非Phonicsなど調べてみるのも良いかと思います。せっかくなので、英語の音学習において自身が行ったことを紹介させていただきます。Phonicsをベースにした学習法です。

英語の音を学習することを以下のように分類し学習します。

  1. 英語の音単体を覚える
  2. 英語の音のlinking, reduction, flappingを知る
  3. 英語のspelling patternsを覚える
  4. 英語の例外的な発音を覚える
  5. 上記1~4を行なった上でやるべき事

3–1. 英語の音単体を覚える

これは、英語の全音を1つ1つ覚えていくことです。
例えば、 th, f, v などの発音記号として存在しているものを順に覚えていくことです。ここでの覚えるとは、自身で発音できる状態になっている事です。

これに関しては、数が多いため今回は省略しますが、英語の音学習!実践編前に(母音Vowels)英語は音で学習しよう!実践編① Hard A Soft A に1パターンだけサンプルを記載しました。後で時間があれば軽くみていただければと思います。

( 興味があれば音から始める英語学習で音の説明を行なっています。目次を見てみて下さい)

3–2. 英語の音のlinking, reduction, flappingを知る

linkingとは単語と単語の音のつながりを意味します

What a lot of people !
(なんて人多いんだ)

上の文章はlinkingすると以下のように聞こえます。

American: Wha da lodov people!

文字の最後の子音と、その後の母音がリンクされ上記の様な発音のされ方になります。

British : wha a lo of people!

BritishアクセントではAmericanのようにTをリンクさせずに、Tの音を遮断する発音のされ方がよくされます
イメージは「whaッ aッ loッ of people」のような感じです。
これはGlottal stopという発音の仕方で、Tの音に良く適応されます。

reductionとは発音しないようなものです.

I make him do his job.

これはreductionさせると

I makim dowis job.

のように聞こえますhim のhを発音しないようなものです。

flappingとはtがdのような音に発音されることです。

American:
better -> beder
water -> wader

Britishの場合は、上記で説明したGlottal stopが適応され「T」が「ッ」のように発音されることが多いです。
Harry Potter だと 「ハリー ポッ アー」のような感じです。

上記のようなものにはルールがあり数に限りがあります。
これを知ることは音を認識する上で非常に重要になります。 知っていれば認識出来るが、知らなければ聞き取れないと思います。
そもそも期待している音と違うのだから、、

3–3. 英語のspelling patternsを覚える

単語を見た際に、発音の仕方が分からないなんて事よくあるかと思います。本当にどのように発音するのか分からないのでしょうか?

それは違います。

特定のスペルだと大体このように発音するというのが実は決まっています。しかもそれほど多くないので覚えられます。

これを覚えるとなんか良いことあるの?と思うかもしれません。

The answer is YES !!!

例えば英語を聞いていて分らない単語が出てきた時に、知らない単語であったとしても大体こんなスペルかな!みたいなことができるので、後から調べられたりします。結構便利!

このSpelling patternsも今回は省略しますが、イメージ出来るように以下に1パターンだけ紹介します。

発音記号の(ei)という音を見てみましょう

この音が入っている単語は以下のような単語です

bake, date, gait/gate, hate, hail, Kate, came, jail, same, lame,
laidbay, day, gay hey/hay, kay, jay, say, obey, lay, may

ここでのSpelling pattersとは

子音+ a + 子音 + e

bakedateなど ( 子音+ a + 子音 + e )のパターンになっています。
このパターンに当てはまる時は、beɪkdeɪt の様にほぼ(ei)という発音になります。

その他にも(子音 + ay)のパターンもあります。
bay, day, say, lay, may などこのパターンになっているので、
beɪ, dei, sei,lei, meiのように発音されます。

この他にもパターンは色々とありますが、パターンには規則性があるので比較的簡単に覚えられます。

*ただし、語源が違う国からきた単語など、Spelling pattersに当てはまらないwordも存在します。

3–4. 英語の例外的な発音を覚える

リスニングしている時に、何回聞いても本当にこれ発音してる?なんてことないでしょうか?そんな時は、これに当てはまる時が多々あります。

(例1)
I want to (全発音)

I wanna

上記の様に複数の単語が合わさって予測できない発音のされ方になるパターンです。
音を表現するのに日本語は使用したくありませんが、分かりやすくするために、以下の例2をカタカナで音を表現してみます。

(例2)
I would’ve been there

I ウッド ハブ ビーン ゼァ // 全発音
I ウダブ ビーン ゼァ // linkingされるとこうなる
I ウダ ビーン ゼァ // もはや全て発音してない (今回のパターン)

この他にもWhat did you eat? はWhat ジュ(ジァ)イー?などのように発音されたりします。例外的なパターンも数に限りがあるので、発見した際にコツコツと覚えていくのが良いかと思います! 映画、海外You tuber, などを見て例外パターンを認識していくのがオススメです。

3–5. 音の学習を一通り終えた上でやるべき事

以下の音学習を終えた後は、どのように英語学習を継続すれば良いのか。

・音単体
・linking, reduction, flapping
・spelling patters
・英語の例外的な発音

まず初めに言っておくべき事は、人それぞれ色々なやり方が存在することです。それは今のレベルに応じたものかもしれません、モチベーション維持のためのやり方かもしれません。
ただし、それぞれが今行なっている学習の中に、この英語の音学習で学べる事を少しでも組み込んで学習する事をお勧めします。そうする事で、学習効率を引き上げる事が出来るからです。

一例として自身がやった事を次に記載します。

3–5–1. 過去一番英語力が伸びたと感じた時にやったこと

この時にやっていた事は、

  1. 映画/ 海外ドラマ/ Sitcom のシャドーイング
  2. 発音して単語を覚える

たったこれだけです。
シャドーイングする時は音学習で学んだことを意識します。(linkingやreduction・・などなど)

学習期間と時間は1日3時間 50日間無休です。

配分は2時間シャードーイング/1時間単語の音読

1日3時間すると喉が辛くなるので、これが限界です。

お気づきかと思いますが、この学習は日本で、しかも1人完結で出来る学習です。

自己認識できた効果としては:

  1. 映画シャドーイング効果
    ・ 映画聞き取りでリスニング力向上
    ・シャドーイングで発音力アップ
    ・自身の発音でリスニング力アップ
    ・自身の音読で英語のまま理解するための脳トレ効果
    ・実際に使える表現が得られる
    ・シャドーイングしている表現がそのまま普段使えたりする
  2. 発音して単語を覚えることの効果
    ・聞いて分かる単語になる
    ・発音出来る単語になる(会話で使える)

他者からの評価:
海外の方とお話する時は、Your english is good. とか言われる事はあったのですが、この学習を終えた直後にお話したネイティブの方に、
Where did you grow up? と聞かれた事で自身の成長を感じる事ができました。一瞬でも会話の中から、純粋な日本人だと思われなかったからです。
まぁ会話が進むとすぐバレるんですが(笑)

シャドーイングコンテンツ選びのポイント

ポイント1: 何回みても飽きなさそうなもの/ 楽しめるもの
・ やはりモチベーションが重要なので、自分が楽しめるものを選びましょう。

ポイント2: 自分が求めている英語表現がつまってそうなもの
・金融関連の表現力を得たい時は、金融関連の映画ばかりみていました。
・仲が良くなった知り合いに対して使えそうな表現を得たい時は、海外ドラマをみていました。シリーズが長いので、人間関係が出来上がった上でしか使わないような表現が得られるからです。
・技術用語の表現を得たい時は、Big bang theory のようなテック関連のSitcomをみていました。

発音して単語を覚える時のポイント

ポイント1: 単語は音で覚える
・暗記するべきものは、意味と音です。 音さえ分かれば、spelling pattersでの学習内容でスペルおこしができます。何より、音を覚えないとリスニングができません。

ポイント2: 単語は文に埋め込み、表現として覚える
・単語だけ覚えても、どのような時にその単語を使用するのか分かりません。 文章ごと音読して覚えましょう。

つぶやき

効率的な学習方法などを紹介してみましたが、成功の鍵は決意を固めて、モチベーションを持続させる事にあるかと思います。

英語を習得している人を見ていると、楽しんでいる人がほとんどだと感じました。結構しんどそうな学習内容も遊び感覚で、あんまり負荷になっていないように思えます。

英語は言語なので、必ず誰でも習得出来るものだと思います。

イメージしてみてください!
自分がまるでネイティブかのようにコミュニケーションが取れている姿を!

それは実際に実現出来る姿です!

英語には以下のようなことわざがあります。

It’s never too late to be who you might have been.
(なりたかった自分になるのに遅すぎることはない)

英語はまさに、これだと思います!

決意を決めて、楽しみながら習得しましょう!

ねだるな、勝ちとれ、さすれば与えらん by エウレカセブン

4. 実務で英語を使用する際に意識すべき事

英語学習も良いけど、もう既に実務で必要という方々も多いかと思います。ここでは、私が実務で英語を使用してきた際に役立ったマインドをシェアしたいと思います。

1. 自分および相手の発音は気にしない
2. Broken Englishでも内容さえ理解し合えればOK
3. 伝えるためにもっとも良い方法で英語を使用する

1. 自分および相手の発音は気にしない

先ほどは学習方法に音が重要という話をしましたが、
実際に仕事などで使用する場合は、学習法で気にすべき事(音)は全て無視します。

世界で英語を話す人口の8割近くは非ネイティブの方々です。
間違った発音などを気にする人などいないのが現状、むしろ普通の事です。語学はあくまでも相手に情報を伝えるためのツールなので、伝わりさえすれば何も問題はありません。
(学習する時はとにかく音を気にして、業務ではとにかく気にしない)

2. Broken Englishでも内容さえ理解し合えればOK

業務においては、伝え方よりも伝わった内容(コンテンツ)を優先するという考え方です。(ごく当たり前の事ですが)

過去に一緒に仕事をした先輩社員は業務知識がとにかく深い人でした。
彼は英語があまり得意ではありませんでしたが、お客さんが発した1単語だけ聞き取ると内容を推測し、1単語で返し相互に理解し合っていました。

まさに、神業!

そもそも、どんなやり方でも相互理解さえ出来れば英語なんて必要ないのかもしれません。
プログラマーならコードで理解し合えたり、ジェスチャー、専門用語のみでやりとりなどしている方も素敵だと思います。

3. 伝えるためにもっとも良い方法で英語を使用する

これは2と重複するところもありますが、自身の体験例を記載します。

過去にインドの方々と電話越しで仕様確認作業をする事が多かったのですが、最初はアクセントに慣れず聞き取りに苦労しました。
しかし、確認内容は正確でなければなりません。そこで使用したのが二分探索です。
イエス・ノー Questionを繰り返し、自分が欲しい情報を得る方法です。
Did you mean that ***? や Is my understanding correct? のような聞き方です。これは返答としてYesかNoが返ってくるので余裕で聞き取れます。
相手が説明してくれた内容を自分なりに解釈・推測し説明します。そして、その理解が正しいかをYes No Questionで聞き返すようなやり方です。

それ以外にも複雑な内容はビジュアライズして資料を見せながら説明などよくしていました。

その時々に応じて、もっとも良い英語の使用法があるかと思いますので、是非意識してみてください!

最後に

NewsPicksは5年後、世界で最も影響力のある経済メディアになるという目標を掲げ、普段一緒に仕事をするメンバーも自らをアップデートしています。中には普段の業務に加え、1日3時間英語学習に取り組む強者がエンジニアにもいますし、非エンジニアにもいます。
自己を高めようとするメンバーと働く事は、本当に楽しいですね!

そんな私達、あるいは、NewsPicks Advent Calendar 2018 、NewsPicksの事業領域、社風、カルチャー、より具体的な英語音学習の方法、などに興味をお持ちいただいた方はぜひご連絡ください。

また、音から始める英語学習は実際に1つ1つ音習得に向けた内容になっているので是非見てみてください。

AdventCalendarの明日(12/11)の担当はNewsPicks 紳士のKumogoshiさんです。「NewsPicksのエンジニアが困っている人をめちゃくちゃ助けてた話」 を書いてくれる予定です。お楽しみに!

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