ブロックチェーンコミュニティを半年運営した僕が思う、2018年コミュニティが実現してきたこと、2019年からしないといけないこと

Mayato Hattori
9 min readJan 2, 2019

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要約

2018年はブロックチェーンのコミュニティ元年、多くのコミュニティや情報ソースが生まれ、情報発信や人材の交流が活発になりました。

一方、情報やイベントが多くあり過ぎてインプットの時間多く、BuidlやStartupのアウトプットがあまり生まれなかったと言う側面もあり。

ブロックチェーンが社会で実装されるためには、コミュニティによるフリーのリソース提供だけではなく、持続的に収益性のある事業を作るという観点も重要。

なので、2019年は、ブロックチェーン業界でのBUIDL、起業、投資、マネタイズを促進するようなコミュニティ活動を行なっていきたいと思います。

本文

2018年は様々なブロックチェーンのコミュニティが勃興したコミュニティ元年とも言えます。(*若干、2017年後半からも含みます)

  • NeutrinoやHashHubのようなコワーキングスペース
  • ビジネス系のCryptoBowlやイーサリアムのHi-EtherやBlockchain Tokyoなどの技術者コミュニティ
  • 書ききれませんがオフチェーンアカデミー、Plasman、techain、CryptoAge、Bitbears、CryptoMorning等々、その他にも有志コミュニティもいっぱいあります
  • そして0x、Kyber、Etheremon、EOS、Loom、Kadena、NEO、Polkadotなど色々な海外のプロジェクトのコミュニティやそれを支援するWeChain、LongHashなど
  • Microsoft、Gamewithなどの大手企業もコミュニティ活動を行なっていました
  • さらには、Hi-Con、Node Tokyo、Blockchain Business Summitなど大規模なカンファレンスも行われました

こういったコミュニティが様々なミートアップ やイベントなどを開催したことにより

  1. ブロックチェーン業界の有名人やプロジェクトが身近な存在になった
  2. ブロックチェーンを学ぶための情報交換が活発になった、情報発信するハードルが下がった
  3. エンジニアやビジネスや専門家などが出会う機会が増えた

などのポジティブな効果が業界にもたらされたのではないかと思います。

方や、毎日のように行われるイベントに対して、イベントの数が多すぎる、カンファレンスの登壇者は大体いつも一緒との声もありました。

また、日々変化していく、ブロックチェーン業界では情報がとても重要ですが、2018年は情報ソースも爆発的に増えたと感じます。

  • D10nLab、Coffeetimesさん、Indivさん、東さん等のブロックチェーンのサロン
  • コインテレグラフ、あたらしい経済、Coinpost、Alis、Coinchoice、仮想通貨Watch、Ginco、イーサリアム研究所などのメディア
  • LayerX、CryptoEconomicsLab、Chiantope、Crypto MorningなどのScrapbox
  • CryptoAge創太君、Meikaさん、うどんさん、Niwatakoさんなどによるブログ
  • Connpass、Speakerdeck上でのイベント資料の共有など

挙げればきりがありませんが、多くの有益なブロックチェーンの情報は無償かつオープンに提供されました。

おかげさまで、ブロックチェーンの情報を探すのに困ることはなくなりました。(ソース自体を選択することが大変かも知れませんが)

しかし、逆説的に考えると、たくさん情報のソースやイベントの機会がありすぎる故に、インプットに時間を取られすぎて、考えて仮説を立て、何かアクションを起こすことがし辛くなったのかも知れません。

また、ブロックチェーン人材の流動性と言う観点でも大きな動きがありました。

HashHubのエンジニア講座、BlockchainJobsのCryptocamp、FLOC、Tech Boost、PoLなどのブロックチェーンのスクールが勃興したおかげで他業界からのブロックチェーン業界への参入障壁が下がり、withB、BlockchainJobs、CryptoBowlなどブロックチェーン特化のHR会社のキャリアイベントや活動により多くの人材が流れたのではないでしょうか。

しかし、ここまでコミュニティが盛り上がったことと裏腹に、ブロックチェーンでの起業やスタートアップへの投資やExit、ましてやビジネスでマネタイズが上手くいっている企業が圧倒的に増えたわけではありません。

もちろん、LayerX、BUIDL、Blockbase、CryptoeconomicsLabなどブロックチェーンのコンサル、技術開発、実装支援をする企業やAndGo、Catabira、double jump Tokyo, Gaudiyなどプロダクトを開発しているスタートアップなどが出来たり、メルカリ、DMM、DeNA、Gunocy、GL3などのIT企業がブロックチェーン事業に参入したことは事実としてあります。

しかし、アメリカなどと比較をした場合、肌感覚ですが、コミュニティの盛り上がりに対してのブロックチェーンのプロジェクトの起業や投資が少ないような気がします。

支援をする人やリサーチャーが多いことで、勉強する機会(インプット)が増え、開発や起業をする(アウトプット)に至らないと言うのは海外に見られない日本の業界特有の現象なのかも知れません。

コミュニティのアクティビティはもろ刃の剣です。何故かというと、コミュニティ活動の多くが無償でのリソース提供または、収益性の低い事業として運営されていることで、短期間で外からの参加を促したり、ブロックチェーンの普及に寄与する一方、マネタイズが上手くいかなければ長期的にそういった活動を継続することは難しいからです。

少なからず、コミュニティに関わっている人は、ブロックチェーンという技術・コンセプトに惹かれ、世の中でブロックチェーンが実装されることを望んでいると思います。

おそらくそれは、信頼が可視化された社会であったり、様々な権利や資産が容易に譲渡できたり売買できたりする社会かも知れません。

しかし、そういった社会が実現されるためには、既存のコミュニティ活動だけでは不十分だと思います。

何故かと言うと、現在のブロックチェーンが好きな人が集まるコミュニティは社会ではマイノリティであり、

本当の意味でのブロックチェーンの社会実装がなされるためには、需要が喚起され、ブロックチェーンに興味のないマスの消費者や事業者が参入し、収益性かつ持続性のある経済圏が生まれる必要があるからです。

2018年は、業界にとっての下地作りの時期だったと思います。

様々な媒体を通じて、テクノロジー、各業界のビジネスユースケース、規制、海外事例などを学ぶことができ、コミュニティを通じてビジネス、エンジニア、専門家の人などが出会うことができました。

2019年は、選択と集中、インプットからアウトプットの年になっていって欲しいです。

ブロックチェーンでのBUIDL、起業、投資、マネタイズが増えれば、社会実装に向けて大きな飛躍の年になります。コミュニティの役割としては、そういった活動を促進することが重要になるでしょう。

なので、2019年は、

  1. 網羅的に情報収拾することをやめ、本気でコミットしたい分野を見定め、そのドメインにフォーカスしよう
  2. 残りの時間で、今ある情報や人脈をもとに事業の仮説を立て、BUIDL、そして起業をしよう
  3. ブロックチェーンビジネスでのマネタイズを意識し、投資を喚起しよう

勿論、イーサリアムを含め、既存の技術は未熟であり、まだまだエンドユーザーのニーズを満たせるほどのプロダクト・サービスは提供できないという意見もあると思います。

しかし、技術の問題は時間が経てば、コアのリサーチャーたちによって解決されるはずです。重要なことは、潜在的な市場、未来の世界観から逆算した上で、事業を立ち上げることです。

現在、事業として成り立たないけれど、将来的に一攫千金を狙える、世の中の常識を変革できるからこそ、VCは投資をし、スタートアップは黒字化するまで走り抜けることができます。

なので、技術が成熟したと言う仮定のもと、「ブロックチェーンでしか解決できない課題、消費者がお金を払ってでも使いたくなるようなサービスやプロダクトは何か?」という点から考えるのも重要だと思います。

今のブロックチェーン業界のプロダクトやサービスの多くは、プロダクトアウト、ブロックチェーンでできることベースのものが多く、本当に消費者が解決して欲しい課題なのか、強いニーズがあるのかどいう視点が欠けていると感じます。(勿論、将来的な事業計画をもとに、マネタイズをしっかり意識をしている企業も多くあるのは事実です。)

ただ、どのプロトコルがメインストリームになるのかわからない、また、事業計画を立てる上で、技術が成熟するまでの時間軸が読めないというリスクファクターがあることは否めないです。

だからこそ、コミュニティの力を通して、群衆の知恵を集め、本質的なことを議論していく場を作っていくように努めたいと思います。

私個人の2019年のアクションとしては、

  1. ブロックチェーンでのExit戦略やマネタイズの上手くいっているビジネスモデルのリサーチ
  2. 効率的に自分のフォーカスエリアの情報を収拾できるようなwiki的なまとめの作成
  3. プロトコル技術や業界ごとのドメイン知識を有識者同士でディスカッションする機会の創出

をしていくところから始めようと思います。

長文になりましたが、ここまで読んでくださった方はありがとうございます。色々な意見があると思いますが、皆さんのご意見も聞かせていただければと思います。

あとがき

いちコミュニティ運営者の立場で、このブログを公開するのは、大変勇気がいりました。批判のコメントや炎上することもあるのではないかとも思いました。しかし、勝手ながら、このブログが何かしらの形でコミュニティに一石を投じ、議論の火付け役になればと思い、公開に至りました。

これだけ優秀かつユニークなタレントが集積し、ブロックチェーンという共通の趣味があり、アカデミアや大手企業などの政治などが介入しない、自発的なコミュニティは、他の業界にはないような気がします。僕も、そんなコミュニティにいる人達や考えが好きだから、誠心誠意、日々業界に貢献していけるように邁進していきたいと思います。

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