ボストンスタートアップ最前線<ピッチイベントレポート> + MIT式起業家の仲間探し術(おまけ)

8月12日にBoston New Technologyというミートアップグループが毎月主催しているベンチャーのピッチイベントに参加してきました。

Boston New Technologyと聞くと、研究開発型の技術系ベンチャーを対象としているのかと思われるかもしれませんが、今回のピッチベントは、どちらかというとtoCのウェブ系ベンチャーが多く見受けられました。

Boston New Technology開会の様子

当日のアジェンダは以下のような感じでした。

  • ネットワーキング/デモブース 6:00–7:00 PM
  • ピッチセッション 7:00–8:30 PM
  • さらなるネットワーキング 8:30–9:00 PM

今回は、様々な分野からベンチャー7社がピッチをして、5分間のピッチタイム、5分間のオーディエンスからの質疑応答がありました。以下、ベンチャーのピッチ内容になります。

TweleveJobs : 独自のアルゴリズムと評価基準を用い、企業と求職者をつなぐマッチングプラットフォーム

TweleveJobsは、男性と女性の共同創業者によって立ち上げられた、珍しい組み合わせのスタートアップと言えます。彼らは、採用におけるバイアスを排除する最適な求人マッチングプラットフォームを提供しています。従来の採用活動では、採用担当者が求職者の性別や名前や写真などによって、バイアスがかかったまま、企業は人材の採用をしてしまい、後からミスマッチが起こるといった課題がありました。

そこで彼らは、採用活動に本当に必要な50の要素をまとめた独自の求職者評価シートを作成し、求職者のインプットと企業のニーズに基づいて、自社開発のアルゴリズムを使った、マッチングプラットフォームを作成しました。求職者は、勤務希望地、仕事の条件、勤務時間、キャリアサポート、勤務経験、能力・資格など採用に必要な10のカテゴリーに関する質問をフォームに記入します。一見、50個も質問があれば離脱率が高そうですが、エントリーページのデザインがわかりやすく設計されているため、記入の段階での離脱率は5%もないみたいです。企業は、自社の求人希望条件にマッチした求職者が見つかれば、匿名でその人の属性をまとめた視覚的なシートを受け取ることができます。

企業が受け取る属性シートのサンプル

Mini-Mole Robotic Floor Sweeper:小型のロボットクリーナー

こちらの企業は、リーズナブルな価格帯の高度なセンサーと人工知能を搭載した、コンパクトなロボットクリーナーmini-moleを開発しています。ロボットクリーナーと聞くと、irobotのルンバや東芝の製品をイメージするかもしれませんが、どのロボットクリーナーにも共通しているのは、デバイスの大きさと手がでにくい価格帯の二点です。Mini-moleが開発しているのは、なんとルンバの大体約3分の1ほどの大きさで、かつ、3分の1ほどの価格帯(市場価格$199)で購入できる、小型のロボットクリーナーです。なぜ、そこまで小さくできるかというと、吸引式のクリーナーである他社製品と異なり、mini-moleは取り替え式のワイパーシートで掃除をするので、バキュームとゴミを格納する容積を必要としないからです。実際、僕も現物を見たのですが、かなりコンパクトでした。

百聞は一見にしかずかと思われますので、mini-moleがどのように動くのか知りたい方は、こちらからデモムービーをご参照ください。https://www.youtube.com/watch?v=UyxP4FBica0&feature=youtu.be

デモブースの様子

RealPlay Baseball:野球業界における人材マッチングと育成支援ツールを備えたソーシャルメディア

RealPlayは高校・大学やアマチュアの野球チームのコーチや選手、スカウト向けの野球ソーシャルメディアプラットフォームを運営しています。こちらのプラットフォームは主に二つの使われ方をします、一つ目は野球チームのコーチによる選手の育成のためのサポートツールとして、もうひとつは選手のマッチングプラットフォームとしてです。

RealPlayは、高機能の定点動画撮影カメラ(3台)とその撮影した動画を簡単にアップロード・編集できるソフトウェアをチームに提供することで、チームは選手の動画のプレイを撮影し、詳細な情報(生年月日や体重や試合での記録)と共に、クローズドのソーシャルメディアにデータをアップロードすることができます。そして、コーチがそれらのデータを選手育成のための分析などに活用したり、スカウトは幅広い選手のデータの中から、球団の希望にあった人材を効率的に発掘することができるのです。

Kroud :レストラン・カフェ・ジムの待ち時間がすぐにわかるアプリ

Kroudはレストラン、カフェ、ジムなどの待ち時間や残席数がわかるアプリを提供しています。ユーザーは自分が行きたいレストランやカフェが今どれだけ混んでいるのかがわかり、空席ができるとアプリが通知をしてくれます。また、自分の周りにあるレストランやカフェの待ち時間を地図形式で視覚的に表示してくれる機能もあり、近くの混んでいないお店を検索できます。Googleも推定の待ち時間を表示をするサービスを提供していますが、Kroudの独自調査によれば、精度は約70%らしいです。それに対して、Kroudは独自開発の人感センサーを用いて、95%の精度の待ち時間表示を可能にしました。

待ち時間表示・マップ機能

Kroudのアプリは今後、Skip The Lineというユーザーがアプリ上で事前注文ができて、お店に着いたらお持ち帰りできるという機能を実装する予定だそうです。そうすることで、普段から行列ができているようなレストランもより多くの潜在顧客の獲得につなげることができます。私は、某大手銀行でチェックインをして1時間後に来てと言われて、実際サービスを受けるまで3時間待った経験もあり、ぜひ、レストランやジムだけではなく、銀行や病院などにも広げて欲しいと創業者に伝えたところ、ジャンルの拡大も今後していくとのことでした。

FriendsUp:複数のSNSアカウントの登録や共有を瞬時にできるアプリ

FriendsUpはNorthEastern大学の学生起業家二人によってできたスタートアップです。彼らが、提供しているのは、FacebookやInstagramなど複数のSNSアカウントを新しくできた友達に共有する際に、一つ一つ登録する煩わしさを解決するアプリです。ユーザーはFriendsUpというアプリに自分のSNSアカウントのログイン情報を入力することで、複数のアカウントへの登録を可能にするQRコードを発行します。そのQRコードを友達にスキャンしてもらうと、自動的にフレンドリクエストが送られるというものです。

もちろん、すべてのアカウントを共有するのが嫌だという人もいるので、FriendsUpのアプリは、シェアしたいSNSアカウントのみをタップすることで、それ専用のQRコードを瞬時に作成できます。プライバシー情報の流出を懸念する、オーディエンスからの質問がありましたが、FriendsUpはログインしたSNSの情報を収集しておらず、純粋にアカウント情報の付与したQRコードが作成できるアプリを提供しているだけみたいです。

最近は個人の利用だけではなく、法人がちらしやプレゼン資料の中でアカウント登録をしてもらう際にも活用する事例も増えてきているみたいです。もしご利用を検討されている方は、日本のアップルストアには置いていないので、アメリカのアップルストアに新規登録してFriendsUpと検索してダウンロードしてみてください!

Ristcallは病院内での患者が看護師とコミュニケーションを円滑にさせるプラットフォームを通じて、患者の体験の向上と看護師の仕事環境の改善に取り組んでいます。従来の、ナースコールのスイッチでは、患者は具体的なニーズを伝えられない、看護師が駆けつけるのが遅い、看護師は他の患者についていて、緊急性の高いナースコールに対処できないといった課題がありました。 アメリカでは、病院での看護師の数が不足しているらしく、ひどいときには患者は下手したらナースコールをしてから、30分ほど待つこともあるみたいようなので、大きな課題といえると思います。

そういった課題を解決するために、Ristcallは、患者のトイレや薬や食事などといったニーズとコールの緊急性を簡単に伝えることのできるアプリと専属のウェアラブルデバイスを開発し、患者と看護師に提供することで、患者は適切なニーズを近くにいる看護師に伝えることができ、看護師は到着するまでの時間を伝えることができ、お互いのコミュニーケションを円滑にします。また、アプリは看護師の日々の動きをトラッキングしているので、看護師長はダッシュボードをもとに、運営体制の改善や最適なオペレーションの開発をすることができます。

Ristcallのプロダクトイメージ

本当に、高齢者などがこのサービスを使いこなせるのかという懸念がオーディエンスから上がりましたが、Ristcallは高齢者へのユーザーテストを行い、実際にユーザーが使いやすいとの意見をもらったというビデオを見せることで、説得していました。

Point Motion :小児の患者などを対象にした、モーションコントロールソフトウェア

PointMotionはセラピストが、小児患者などの日々の動きなどの観察記録や測定などを行うことのできるソフトウェアを開発しています。PointMotionのソフトウェアはタブレット端末やノートパソコンなどのインターフェイス上で、子供たちが音楽やゲームで遊ぶことを通じて、子供たちの反応や動きなどを観察し、記録し、分析することを通じて、治療や研究などに活用出来るデータを提供しています。

従来の専門の医師やエージェントによる小児患者の記録の観察では、子供達にとっては不審者にあたる人たちが、特殊な環境下で調査を行うことになり、スケーラービリティがないだけではなく、莫大なコストがかかり、子供達を怖がらせてしまうといった難点がありました。PointMotionのソフトウェアであれば、特別なデバイスは必要なく、子供たちが怖がることなく、安価にデータを継続的に記録することができます。

最後に、こちらのピッチイベントですが、なんとYoutubeでの動画配信もしているらしく、今後以下のURLにアップロードされると思いますので、気になる方は是非、以下をご覧ください。

Boston New Technology Youtubeチャネル https://www.youtube.com/channel/UCQBkBruo7F6SJxShU00wi0g

【おまけ】 MIT式-起業家の仲間探し

ピッチ関連として、MITで行われた起業家仲間を募るピッチイベントもご紹介します。

MIT EntrepreneurshipのMartin Trustセンターでは、毎年、Pitch 2 Matchと呼ばれる、起業仲間に出会うピッチイベントを行っています。こちらでは、これから起業を検討している人やシード・アーリーステージのスタートアップやスタートアップに参画したい人が各々に集まって、1分間で「自己紹介と事業アイデアとどういった人を探しているか」をオーディエンスの前でピッチをして、新しい仲間を募ります。

ピッチの様子

ピッチをする人が大変多く、効率的に進められるように、大教室でプログラマーとビジデブとデザイナーの三つのグループに分けられました。(今回は、デザイナーのグループはありませんでしたが…)私は、ビジデブの教室にいました、ビジデブのルームには、ビジデブを探している起業家とスタートアップに参画したいビジデブの人たちが仲間探しのために情熱的なピッチをしていました。写真でもわかるように、ピッチした人は自分の名前をピッチしたあとに張り出された紙に書いているので、観客は、その人と話すために、そのあとの交流会で声をかけるか、または連絡先を見て連絡することができます。

参加者の属性は、ほとんどが学生で、MITが全体の80%くらい、そして、バブソン大学やノースイースタン大学やボストン大学などのボストン周辺の大学から来ている人が15%くらいで、残りがその他5%といったところでした。起業家サイドでピッチをした人は、コンセプト段階でプロダクトを作るためにデザイナーとプログラマーを探しているところや、すでにシード投資を受けて、今後スケールをしていくためにビジデブが必要なところなど様々でした。事業アイデアもバイオテック、ロボット、ブロックチェーン、女性のセクハラ問題の解決、インドのIT教育の向上、スキンケア製品を作っているヘルスケア事業など本当に様々でした。中には、前に出てピッチをするつもりものの、周りのみんなに感化されてピッチをしている人などもいました。

こういった、斬新な取り組みは、面白いので是非、日本でもやって欲しいと思うのですが、アメリカの人が得意とする堂々と人前に出て、自分のアイデアを発表したいという大胆さがないと難しそうだなとも思いました。あとは、司会の人が、会場の温度感を保つための盛り上げる仕掛けなどが必要かなと思います。

※こちらのレポートに関しては、イベント主催者と各スタートアップから記事化の許可を得ております

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