「世界を変える偉大なNPOの条件」は“地域の小規模NPO”でも原則を活用できるのか?

社会セクター版『ビジョナリー・カンパニー』より抄訳


社会セクター版『ビジョナリー・カンパニー』と絶賛された、社会に大きな影響を与えた12の非営利組織を研究した書籍『世界を変える偉大なNPOの条件――圧倒的な影響力を発揮している組織が実践する6つの原則』(原題:『Forces for Good』)の考え方は、リソースが限られた“地域の小規模NPO”でもあてはまるのかという内容です。

大きな影響力を持つNPOの6つの原則

1.政策アドボカシーとサービス提供の両輪で取り組む
2.市場の力の活用
3.熱烈な支持者、エバンジェリストとの関係構築
4.NPOのネットワークを育てる
5.環境に適応する技術を身につける
6.権限を分担する

米国においても、地域にねざした活動をメインにしているNPOが多くを占めており、150万団体のすべてが全米展開しているわけではありません。大規模NPO以外にも“6つの原則”は活用できるのか。『世界を変える偉大なNPOの条件』の著者が出版後の5年経ったアップデートした内容になります。

“地域の小規模NPO”が抱える特有の課題(全米・世界規模NPOとの違い)

リソースの制約が非常に大きい。予算規模や事務局環境の違い、政府や企業の資金提供者へのアクセスの難しさ、地域の社会貢献予算の限界など。また助成金や業務請負が大部分を占め単一財源で活動している。さらに予算制約の結果として人材の制約も生まれ、少ない有給職員がサービスを提供、資金調達、組織を運営し、管理業務もこなす必要があります。知識やスキル、成功・失敗の教訓を共有できる「学びの場」へのアクセスが難しい現状もあります。

一方で利点もあります。ボランティアや寄付者、地元の役人、ビジネスリーダー、その他利害関係者など、地域住民との関係構築、活動への理解や当事者意識を生んでもらいやすい点です。地域の支援者へのアプローチは低コストでアクセスしやすく、特定の課題解決に取組んでいるのもその地域では一握りであるだろうから、信頼性とブランドの構築に取り組むことができます。また、小さいがゆえに環境の変化に迅速に対応できます。

上記をふまえて、地域の小規模NPOに“6つの原則”が活用できるかを調査しました。

1.権限(リーダーシップ)を分担する

地域の小規模NPOにおける最も大きな発見は、「権限(リーダーシップ)を分担する」原則でした。これは、圧倒的な影響力を発揮している12の組織が実践する、組織内だけでなく、外部ネットワークにまで「権限を分担」し、強力なサブリーダーを育成し、永続的な経営チームと活発な理事会をつくり、スケールアウトする「偉大なNPOの条件」の1つです。

南カリフォルニアのサンフェルナンド・バレーのホリスティック(全体的な)社会福祉サービスを提供する団体「Meet Each Need with Dignity (以下MEND)」が、最も特徴的に「権限を分担する」実例となりました。 http://mendpoverty.org/

MENDは地域住民を支えるために1971年にカトリックとプロテスタントの小さなグループによって設立されました。地域の配食や入浴、医療、職業訓練、学生の個別指導をサポート。また食品を30の慈善団体に配達・提供するフードバンク活動を実施しています。これは毎月32,000人にサービスを提供しています。MENDには有給スタッフが24名しかいませんが、2008年の経済不況によりサービス利用者が400%増加しても、サービス希望者待ちのような状況に陥りませんでした。その答えは、「権限の分担」でした。熱烈な支持者や、地域のNPOに権限(リーダーシップ)を広げたことがこの事例の成功要因です。

地域住民の需要増加に応えるために、事業の25%をボランティアの力を借りて、時間にすると全体の39%を担ってもらいました。(これは有給スタッフ20人雇用に相当する)MENDの3,200人のボランティアは毎月13.000時間を提供しています。サービス提供にとどまらず、組織のリーダーシップや戦略策定に大きく関わり、助成金申請、キャンペーン活動、他地域のコミュニティを指導したり、ボランティアがフードバンクや医療プログラムのシフト管理もしています。

MENDの代表は言います「“ボランティアに権限の分担はできない”と私におっしゃる人もいますが、ミッションと行動基準を共有したボランティアは、彼らのリーダーシップでとてつもない価値を提供してくれます。」ボランティアだけでなく、もちろん内部のスタッフもプログラムや施設管理の責任者として抜擢することで、代表自身は広報や資金調達、事業開発に注力することができています。

「権限の分担」において、NPOの幹部は仲間を力づけるよう支えることが求められます。またコントロールする力を放棄することが求められるので、少し難しい原則かもしれません。
それでもまずは、「権限の分担」の原則の活用に迫られています。リソースが制約される地域の小規模NPOは、大きな老舗NPOのように予算は立てられないし、マネジメントできる人材もいない。また提供するサービスはできる限り効率的に運営することを金銭的に求められるので、ボランティアのリーダーシップおよび貸借対照表に表れないサービス提供は、創造的な仕事となります。

圧倒的な影響力をもたらす“地域の小規模NPO”は「権限の分担」の原則を活用することにより、ボランティア、理事、およびコミュニティのパートナーと地域にねざした関係を構築し、接点を多く持つことで強い存在感を持ち成功するグループとなるでしょう。

2.熱烈な支持者、エバンジェリスト(伝道者)との関係構築

「熱烈な支持者、エバンジェリスト(伝道者)との関係構築」は地域の小規模NPOの「権限の分担」と密接な関係があります。熱烈な支持者を動かすためには、有意義な経験を生み出し、ボランティアや支援者に強く想いを寄せてもらう必要があります。研究対象となった地域のNPOは特にそういった経験の提供を得意としていました。

地域住民にとって地域のNPOに関わることは、全米・世界規模のNPOと関わるよりも、個人的により深く課題解決に関与できます。炊き出しや子どもの遊びに参加したり、高齢者のサポートを直接できます。また友人やソーシャルのネットワークつながりを活用して、課題解決に仲間も動員してくれます。地域サービスの提供と関係性構築に貢献・寄与してくれる存在です。

地域の“熱烈な支持者との関係構築”に必要な最初のステップは、団体の活動意義・地域への貢献を伝え、感激・共感してもらうことです。オレゴン州の貧困を経済発展を通じて解決を目指す「Partnership to End Poverty」が非常にうまくいった地域のNPOの実例の1つです。 http://www.partnershiptoendpoverty.org/

2年前、Partnership to End Povertyの代表は地域の人々が集まる昼食会で、従来のパワーポイントのスライドのプレゼンではなく別のやり方で活動の意義を紹介することを試みた。「みんなが私について知らないこと」をテーマに、地域で有名な2つの地域グループに共有した。まず「貧困のイメージは?」と尋ね、ボランティアにも参加している聴衆が「汚い」と答えた。さらに「精神障がい」「やる気が出ない」「教育を受けていない」「マイノリティ」という意見が出た。

そこで有名な市民リーダーにマイクを預けた。彼はアメリカ西部を横断する移民労働者の親を持つ7人兄弟の中で育ち、22の学校を転々とした。さらに特別指導学級を必要とするぐらい勉強の面で周囲から遅れをとっていた。それでも現在、彼は有名な市民リーダーとなっていると語った。

続いて市議会議員が話し始めた。彼女は地方銀行の代表となったが、その後仕事を失った。赤ちゃんを授かったが、母乳や牛乳を飲むことができない体質の子で特別な食べ物を必要としました。けれども、経済的に購入する余裕がなく、自分の子どもを養うことができなく諦めかけた。その時、隣人がそっと、ドアの下に食べ物を購入できるクーポンを届けてくれた。

その場にいた誰もが2人の話を知らなかったし、涙なしにはいられなかった。想像している以上に人々は多くの物語をもっているとPartnership to End Povertyの代表は語ります。
上記のようなストーリーで地域住民の注目を集め、そして、住民のコミットメントを強固なものにする有意義な経験を提供する必要があります。

Partnership to End Povertyでは、ボランティア主導の配食イベント「Project Connect」があります。800人のボランティアが参加し、貧困の中での生活を現場で感じてもらっています。ボランティアに対話を生み出すことができるフォーマット(枠組み)を提供し、プログラムの運営、または対話のテーマを組み立ててもらいます。Partnership to End Povertyにおける熱烈な支持者、エバンジェリスト(伝道者)との関係構築は、現場で起きていることの背景の提供と、他のエバンジェリストに感激してもらうことで生まれる「boots on the ground」と呼んでいます。

3.NPOのネットワークを育てる

大きな影響力を持つ“地域の小規模NPO”は、自力で活動をするよりも、個人レベルまでのネットワークを活用して活動することが、可能性を広げると直感的に理解している、と見えてきました。ネットワーク活動への投資は戦略的な選択だけでなく、生き残り・持続的な活動を実現するためにも必要です。一見、利他的な選択と思えるネットワークの構築は、最終的には自己の利益につながってきます。

“地域の小規模NPO”にとって「NPOのネットワークを育てる」原則の活用は、「権限の分担」と「熱烈な支持者」の原則もつながることも見えてきました。個々の支援者との関係をつくり育むことは、一緒に活動するために必要な信頼獲得のはじめの一歩となります。NPO活動を支え、応援してくれる支援者とのつながりは、組織としての正式なネットワークづくりの重要なプロセスになります。

ゆくゆくは、ネットワークを育むことが地域のNPOに利益をもたらします。資源やアイディア、新しい活動のアプローチ方法を獲得し、課題解決に人を巻き込み、規模が大きくなることで効率的になり、影響力を生み出すためのセクター間の連携にも役立ちます。

活動の結果に対して効果測定や報告をし、つねに成長することをNPOは求められます。寄付者や政府機関は、コラボレーションよりむしろ、“最高の成果を出すのはどの団体か”をどうしたら選択できるかということを重視します。運営するのが大きなシステムであったとしてもです。ネットワークを通じたNPOの活動は、効果測定がしづらく、因果関係を特定するのが難しいのです。

「影響力を示すことになると、ネットワークの価値に比べて、それに値する信用を得ることは正直厳しい。」オレゴン州の経済発展を通じて貧困解決を目指す「Partnership to End Poverty」の代表は続けて言います。「しかし、それはあなたが決断・実行することです。影響力もたらすためにはネットワークの醸成が必要であり、むしろ自力でやったなら、私たちの活動はわるい結果になっていたでしょう。」

「Partnership to End Poverty」は、ネットワークを中心としたアプローチを地域に実施した素晴らしい事例です。少人数の職員と65万ドルの予算で、2万人のオレゴン住民の貧困解決を目指しています。活動のために地域のグループと正式なネットワークを構築した2009年、そのなかで目が覚めるデータを発見しました。Partnershipのサービスを委託していた半分以上のグループが、宗教の信仰に基づいて紹介していましたが、しかし、その大部分85%以上が信仰上の誤った機関によって指示されていました。

「私たちのシステムはあまりにも非効率で機能不全を起こしていた。各宗派はお互いに共同作業をせず、会話すらしませんでした。それに理由はありません。」と同団体の代表は語ります。もっと正式なネットワークの土台を築くために、地域の宗派に基づく機関を一連の会議に招集しました。彼の目標はすべての機関をコーディネートすることで、支援を必要とする低所得者に向けたそれぞれの組織の成果を改善することでした。

そのコーディネートとは、5つのチームにネットワークを構築し、毎月の定例会議を導入しました。5つのチームはすぐにサービスの無駄を特定し、いかに福祉サービスを早く紹介するかを学び合いました。ネットワークが成長するにつれて、メンバー同士の信頼関係が構築されていき、彼らが想いを持って取り組んでいる活動を率直に話をするようになり、特定の課題をより強く取組むグループの学びも共有するようになりました。

“地域のNPOのネットワークを育てた”Partnershipの戦略は成功しました。オレゴン州に位置する小さな田舎末のマドラスのグループは、地域の宗派に基づく機関の手を借りることで、全て低所得者層を受け入れる仕組みを協働でつくり上げた。「いま、衣類提供、食料配給・提供、市民農園において全てのメンバーが一緒に活動しています。」と同団体の代表者は語りました。

「Partnership to End Poverty」や社会福祉サービスを提供する「Meet Each Need with Dignity」のような組織は、大きな課題解決に注力しているがゆえに、直感的に“人とのつながりを構築”し、個々の“支援者を後押しし力づけ”、“権限(リーダーシップ)を分担”します。これらの原則は、成功する“地域の小規模NPO”が活用することで、団体自身にももたらされます。それは、財政的にも人的にも巨大な追加投資を必要としないからです。

さて、これとは対照的に、これから紹介する4つ目と5つ目の原則は活用が難しくなります。それは多くの“地域の小規模NPO”に欠けている資源と専門知識を必要とする原則になるからです。

4.政策アドボカシーとサービス提供の両輪で取り組む

4つ目の原則は“地域の小規模NPO”にとって本当の挑戦課題であるとわかってきました。“政策アドボカシーとサービス提供の両輪で取り組むこと”は、多くの“地域の小規模NPO”の活動にとって、どちらかを選択しなければならなくなるような深刻なリソースの不足に直面します。もちろん、“地域の小規模NPO”のリーダーたちからこの原則が最も懐疑的に受け取られてきました。よく地域のNPOから耳にするのは、政策提言をするロビイストを雇う余裕がないと主張し、たとえリソースを割けたとしても、政府の助成金や寄付者からの反発のリスクを恐れています。

私たちは“地域の小規模NPO”に、この原則を広く活用するのを阻む、主な3つの障害を発見しました。1つ目は、資金と資源不足でした。地域のNPOの大半は“サービスを提供”している団体です。政策アドボカシーに取組もうとする大きなハードルは、政策を変える動きを支える資金提供者(活動への参加に消極的な方々)を説得することでした。また、問題を複雑にしていたのは、地域からの資金源に限界があったことと、国の助成金を活用することは“地域の小規模NPO”にとってはあまりに野心的でした。

2つ目は、資金調達に成功したとしても、職員としてアドボカシー担当やロビイストを雇用することは、法律上のロビー活動への支出制限や予算の関係、ましてフルタイムスタッフとしての雇用は、大抵の場合考えられていないことです。たとえ、法律上許されたとしても、大半の地域のNPOにとって、サービス提供ではない活動に時間を費やす余裕はない。

最後の障害は、地域のNPO自身が政策アドボカシー活動を避けること、そしてあまりに支援者が政治的になる不安の2つの点を克服しなければならない壁があります。結果的に、寄付者に政策アドボカシー活動の価値を伝えながら、2点を克服することは非常に困難でしょう。

これら3つの障害を考慮に入れると、地域のNPOが“政策アドボカシーとサービス提供の両輪で取り組む”ことを敬遠することも納得できます。それでも私たちはこれらの障害を乗り越えた地域のNPOに多く出会いました。この原則を実証するのは難しいですが、大きな変化のきっかけとなる可能性を秘めています。

コネチカット州のブリッジポートで活動する「Take Regional Youth Adult Social Action Partnership (以下RYASAP)」は、裁判に巻き込まれた青少年の生活環境改善に熱心に取組む320万ドル規模の組織です。以前まで、コネチカット州は全米で青少年が投獄される割合が最も高い州の1つでした。 http://www.ryasap.org/

「RYASAP」は、裁判に巻き込まれた若者を対象にした主にカウンセリングサービスの提供から始めました。しかし2001年、事務局長のボブ・フランシスは気がつきます。1万人の若者を手助けしたいと考えるならば、「RYASAP」が数百のプログラムを直接提供するよりも、“政策アドボカシー”に取組む必要があると目が覚めました。

彼は課題全体に対してアプローチするために、サービス提供をしている地域のNPO、児童の権利擁護者、裁判官、警察官、生活保護者をサポートする職員、少年司法制度の代表者などを巻き込む幅広い連携で力を合わせました。トウ財団、地域のファミリー財団から活動をスタートさせる助成金を獲得し、政策を変えるための行動やロビー活動を取りまとめるグループ「the Connecticut Juvenile Justice Alliance (以下CTJJA)」(少年司法アライアンス)を結成しました。 http://www.ctjja.org/

「RYASAP」のすでに在籍しているスタッフがロビー活動に専念しつつ、RYASAPはロビイストを「CTJJA」で雇うことを申し出ました。こうすることで、「CTJJA」という幅広い連携が、地域のNPOだけではできなかった納得いく雇用、支払うことができなかった給料など、フルタイムのアドボカシー活動スタッフを雇うための資源を共有することができました。

「CTJJA」は最終的に重要な法律改正に貢献しています。地域の少年裁判所から拘置所の移送、国家管理する施設の若者の移動、地域の住宅コミュニティ関係、少年法適用年齢を16歳から18歳に引き上げなどになります。この結果、再犯と青少年の投獄が減少し、コネチカット州にいる低所得者層の若者は、これまでより良い待遇を受けています。

以上が、セクターを越えて働き掛け、個々人をとりまとめ“政策アドボカシー”を展開した小規模なNPOが州全体に影響力をもたらした顕著な例です。

5.市場の力の活用

大規模なNPOの場合は、“市場の力を活用”する原則を、3つの方法で大きな影響力をもたらしてきました。(1)従来のビジネス慣習を変える(2)ビジネスにおける連携相手を変える、(3)社会的企業として事業を運営する3つです。それぞれのやり方は、営利企業をマネジメントする能力、もしくは営利企業にアプローチする力が必要です。

大規模NPOのように大きな力が無いにもかかわらず、多くの意欲的な地域のNPOは、政府の予算や社会貢献分野の資金が削減されている中でも、安定した資金繰りの供給や、課題解決の大義のために、“市場の力を活用”する方法を見つけています。

2007年に設立され、カナダのアルバータ州で食事サポートや地域で店舗を構えて、カナダ人を支援しているLive Local Albertaを例にします。この団体の創設者の女性は、以前ペプシコの幹部であり、地域資源の活用や持続可能な食品を扱った活動を始めました。すでに夫が営んでいたレストランからやりがいをみつけたのです。まず彼女は、自治体や、地産地消に取組む個人レストランのネットワーク形成を試みました。
http://www.live-local.ca/

最終的にLive Local Albertaは、地域経済に貢献しながら、地域の持続可能な食品の市場環境を構築しました。現在、アルバータ州の70以上の食品提供者の、800以上の食品を紹介しており、商品は個人やレストランがウェブサイト上で購入できるようになっています。Live Local Albertaは、入荷から配送までのインフラ機能を持ったサプライチェーンを構築しています。

このNPOは寄付金に大きく頼ることなく、生き残るビジネスモデルを構築してきました。100万ドルの年間予算の75%を、さまざまな収益の流れから生みだしています。Local Albertaは、ネットワークのメンバーシップ会費や、食品の販売プラットフォームから通じた売上からの少額手数料、地域のレストランへギフト券の販売、ロイヤリティプログラムなどのさまざまな収益源を確保しています。「地域社会への貢献と、さまざまな収益の流れを持つ多くビジネスモデルを運営することが必要です。常にwin-win-win:三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」を探しています」と代表は語ります。

6.環境に適応する技術を身につける

最後の原則“環境に適応する技術を身につける”を紹介します。他の5つの原則を活用するために、あらゆる規模(全米・世界・地域の小規模)の組織が大きな影響力をもたらすのに必要な原則です。鍵となる“適応性”は、外部環境の変化に気づき、そして革新的な解決策に反応する能力が必要となります。新しいインプット(情報や環境)を受け入れることができるオープンな状態であることが求められ、また、組織全体が学びを深め・広げることができるような意図的なシステムを置くことが必要です。

“適応性”は、外部環境から手掛かりを拾い聞きくことと、影響力を増加させるための機会を探すところから始まります。それから、3つのポイントを含めるサイクルを続けることが必要です。(1)実験とイノベーション(2)評価と学習(3)プログラムの計画と修正です。

これまでに紹介した“地域の小規模NPO”のストーリーは、“環境に適応する技術を身につける”ことを修得した方法を示しています。

経済発展を通じて貧困解決を目指す「Partnership to End Poverty」は、単独ではオレゴン州の人々に効果的にサービスを提供できないとわかった時、大きな影響力をもたらすために、宗教の信仰ベースグループと、福祉サービスを提供するNPOとの地域ネットワークを立ち上げました。
http://www.partnershiptoendpoverty.org/

裁判に巻き込まれた青少年の生活環境改善に熱心に取組む「Take Regional Youth Adult Social Action Partnership」は、団体が直接サポートできるのは年間に数百人であり、10,000人の青少年の生活環境を変えるサポートをしたいとわかった時、政策アドボカシーへ動いた。
http://www.ryasap.org/

「Live Local Alberta」は、地元の食材や加工食品の新たな市場を創るために、個人レストランと食品提供者のネットワークをつくりました。
http://www.live-local.ca/

「Meet Each Need with Dignity(以下、MEND)」は、社会福祉サービスの需要増加に直面したことで、3000人以上の熱烈な支持者・伝道者を動員し、トレーニングし、マネージメントしました。そしてその3000人のほとんどが、直接サービスを提供し、組織運営にも責任(権限・リーダーシップ)を持って活動しています。
http://mendpoverty.org/

上記の各事例から、組織は環境の変化に気づき、ときには大きなリスクを伴う新しいプログラムやアプローチを導入する能力が必要であると確認できました。

おわりに

私たちは全ての“地域の小規模NPO”は6つの原則を活用することが大切だと、これまで以上に強く思っています。経済環境が厳しい中、限られた資源で大きな影響力の実現に向けて、地域のNPOを手伝う方法がわかってきました。活動全体の拡がりを展開・重視するには、ネットワークを育て、生態系(エコシステム)を理解し、集まることで生まれる影響力を刺激することに思考法を置くことです。“地域の小規模NPO”はこれらの変化を活用する最前線にいなければなりません。

“地域の小規模NPO”は社会セクターの大部分を占めており、毎年アメリカで費やされている3000億円の大半の使い道が、彼らの活動に注がれています。“地域の小規模NPO”はソーシャルチェンジ(社会変革)の先駆者です。彼らの活動の影響力を最大化させるのは不可欠です。これまで私たちが考えていた中で、「世界を変える偉大なNPOの条件」の原則活用は最高の方法です。

以上、“地域の小規模NPO”において「大きな影響力を持つNPOの6つの原則」の活用は難しいと調査で判明してきましたが、その壁を乗り越えた“地域の小規模NPO”の事例に出会えた論文でした。日本においても“地域の小規模NPO”が圧倒的な数を占めており、全体としてみると資源や予算が一番集まっています。社会の影響力を最大化させる仕組みは“地域の小規模NPO”こそ必要で、変化の最前線で活躍する先駆者をもっと生んでいきたいと思いました。

Local Forces for Good | Stanford Social Innovation Review
http://www.ssireview.org/articles/entry/local_forces_for_good By Leslie R. Crutchfield & Heather McLeod-Grant Summer 2012 より抄訳

※こちらの記事はNPOサポートセンターブログ( http://blog.canpan.info/nposc/ )から転載しております。