今年のふりかえり(その1)

今年は自分にとって色々なことが変化し(または変化させ)、Input の多い年だったので、経験の棚卸しをしておこうと思います。

  1. 長い前置き

昨年の話です。当時、私はソーシャルゲームを開発・運用する会社でストアの常時TOP100に入るゲームを運用していました。全体で20名程度のチームのリードエンジニアとして、5–10名ほどのエンジニアへのタスクのアサインや他部署との調整、また全社横断的な施策(セキュリティ・プラットフォーム側のアップデートなど)のチームへの適用を行なっていました。ゲームは年度ごとに全体の3分の1から半分ほどをリニューアルするという面白い運用をしており、ゲームをリリースしたことがある人には分かると思いますが、リリース直前の前年度末には死者が出るのではないかというくらいの労働集約的な開発をしていました。

それでも、何とか頑張って前年度末はリリースしました。私が入社するときに人事に聞いたのですが、会社は「いい人」たちの集合体でした。皆、多少の不満は感じていながらも、大きなコンフリクトもすることなくリリースしたのです。しかし、ようやく現場の人たちもこのやり方のまずさに気づき、ふりかえりを行いました。『アジャイル・レトロスペクティブ』もまともに読む時間もない中、タイムラインと実績を確認するとともに、ランダムなチームに別れてKPTを出し合いました。直後に、職種ごとのチームに集まって同じようにふりかえりを行なうことになりました。

2. エンジニアの不満が爆発

エンジニアチームのふりかえりは重苦しい空気の中、はじまりました。そこには、全体のふりかえりには参加していなかったエンジニアが参加していました。この人は技術レベルも高くチーム全体も見渡せていましたが、チーム運営には不満を持っていることが普段の様子から分かっていました。いつもどおりにふりかえりを始め、その回はエンジニア的な視点から各自のKPT を発表する形で進めました。その人は Keep として「エンジニアチームが誰も倒れなかったこと」「大きな問題を出すことなくリリースできたこと」を強調し、Problem はとくに挙げませんでした。私にはそれが少し意外であるとともに、私の目にはチームが問題だらけのように見えていたので、Keep の項目について自分で気づけていなかったことに思い当たりました。むしろ、これらのことは当たり前のことぐらいに思っていたのかもしれません。ですが、客観的に考え直してみると、確かにこれはすごいことでした。後から振り返ってみると、チーム全体の負債がことごとくエンジニアにふりかかると言うような業務フローになっていたにもかかわらず、根性でねじ伏せることができたのです。ディレクターたちが仕様を約束の期日に決めないのはあるあるですが、それに加えて急な病欠が多く、デザイナーは自分たちの仕事が終わっても、エンジニアの仕事を手伝おうとしないように、見えていました(実際に手伝えるような技術がありませんでした)。

ひととおり、各自の振り返りが終わったあと、そのエンジニアが声を震わせながら、話しはじめました。

「会社が小さい頃からこの会社で仕事をしているが、こんなことをやっていたら、昔は社長が怒鳴り込んできてすぐに止めさせていた。今回問題があったのは明らかにディレクターチームでエンジニアは良くやっている。部長(=ディレクターチームのリーダー)には「良くやった」というレポートだけを上げるべきだ。こんなことをしている暇があるなら、1行でもリファクタリングしたほうがいいから、俺は仕事に戻る」

こんな趣旨のことを言って部屋を出て行ってしまいました。彼の言うことは正しく、誰も彼を止めることはできませんでした。皆、程度の大小こそあれ、彼のような思いを少なからず持っていたのです。

つづく…