東京脱出

東京で就職活動をしていた頃、ある講演に立った今をときめく女性のキャリアウーマンが

「就職活動しているうちから、ヒールで丸の内を闊歩している自分の姿のイメージがありました」

とクールに、まっすぐな瞳で語っていた。

一方それを聞いた私。

「私はそんなイメージないわ(´・ω・`)…」

意識低いんかしら…会社員になるくらいなら、どっちかというと、カフェの店員になりたいと社会人の先輩に話し、呆れさせた記憶がある。

どっちにしても、大勢のスーツ姿の中、無機質なビル街をコツコツヒールで歩く自分のイキイキとした姿は、想像できなかった。

駅のラッシュの時間、人が魚の群れように電車を降り、階段を上り、構内を駆け抜ける。皆、できるだけ早いスピードで、周りの魚との規律を保ちながら、スマートホンを片手にいそいそと目的地に向かう。

異様な光景だと思った。

彼女が講演でいった「ヒールで丸の内闊歩スタイル」というイメージは、女性向け雑誌の特集を彷彿させた。日経ウー〇ンの自分磨きにもしっかりお金かけてそうなキャリアウーマンのインタビュー、ファッション誌にのってそうなできるOLスタイルの一週間コーディネイトとか。

確かに、憧れが無いわけではない。どんなオフィス靴を買おうか、カーディガンは何色で合わせるか、トレンチコートにスカーフ、できる女のヘアスタイル…アフター5はおしゃれなレストラン、映画をみたり、彼氏と会ったり、夢ばっかり膨らんでいく。そのイメージはワクワクする。

それでもやっぱり東京のオフィスで働くことに対して、良いイメージはもてなかった。

当時は教育業界から出版業界、知人の会社等、気になる会社はなんでも受けたが、結果は惨敗で、唯一受かった会社も、フィーリングが合わず、結局内定辞退した。

でも、それはそれで良かった。東京を離れることができたから。

あの死んだ目の魚の大群を見ることがなくなった。群れに飲まれることもない。

自分のスピードで、自分のやるべきことをタンタンとできる環境にこれたことに、感謝している。

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