多和田葉子『言葉と歩く日記』
BGM:UNKLE「Guns Blazing (Drums Of Death Pt.1)」
多和田葉子氏の『言葉と歩く日記』を読んでいる。岩波新書なので比較的コンパクトで薄い本なのだけれど、こちらの怠慢によって読むのに一週間は掛かってしまっている。
エクソフォニー。つまり母語ではない言葉で小説を書くということ。多和田葉子氏が実践してきたのは要するにそういう、ドイツ語で詩や小説を書くという営みである。これに関してはその名もずばり『エクソフォニー』というタイトルの本があるのだけれど、途中で挫折してしまっている。この『言葉と歩く日記』を読み終えたら再び読み返す必要があるようだ。
私は語学の才能も実力もからっきしないので、例えば英語で創作をやってみよと言われればお手上げ状態になる。一行たりとも書くことが出来ないだろう。しかしそんな私のような読者にも、エクソフォニーを生きるとはどういうことかが分かりやすく説明されていて興味深い。
日本語とドイツ語の間で引き裂かれながら生きるということ。日本語における曖昧な、あるいは可笑しみを伴った表現についてドイツ語と比較対照していくこと(もちろんその逆で、日本語の表現からドイツ語の表現を見つめ直すという作業も行われるのだけれど)。この作業は多和田氏曰くボケとツッコミのようなもので、軽い違和感を探り出していきそれに対してツッコミを入れていく作業は読んでいて楽しくなる。
冒頭で「エクソフォニー」などという言葉を持ち出してしまったために難解な印象を受ける方もおられたかもしれないが、読んでいて感じられるのはごく日常的な言い回しを日本語とドイツ語でどう言い表していくかに対する極めて日常的な、かつ繊細な著者の視点と発想である。だから、読んでいて肩肘が凝らない。頭の中の凝りを解きほぐすような感じで読んでみればいいのではないかと思う。
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