落ちない涙

先週の土曜日は、久しぶりのボウリング。

息子の亜三、初レーンです。小さなボウリングシューズを履き、身体の四分の一ほどもあるボールを抱えてレーンで構える姿は、ひょろひょろとして、なんとも可愛らしく。

今時は、レーンの両端にバンパーがあって、ボールがガターに落ちることなくピンまでたどり着くので、小さな子供でも得点することが出来るんですよね。

「俺、勝つぜっ」

。。。彼が勇ましく投げるボールの速度は、不安になる程遅く、ガターバンパーに寄り添って、止まりそうになりながら、それでもピンの1、2本をゆっくりと倒して行くのです。

得点でなく、「倒した」という喜びのみで、毎回ガッツポーズを取る彼が、私には本当に無邪気で、まだまだ幼く思えたのです。

ゲームも中盤に差し掛かります。息子の勝利への想いは加速していきます。勇み足でしたね。勢い余って、ボールと一緒にレーンに突っ込み、横転。

頭を打ったのではないかと駆けつけると、彼は無我夢中で立ち上がって、ずんずん引き返した後は、ボールリターンの後ろに覆い被さり、無言でレーンを睨みつけるんです。

痛くて、恥ずかしかったんでしょうね。目には涙が溜まって。私は彼の頭を撫でました。きっと泣き始めるだろうと思いながら。

けれど、その涙は、ぎりぎりのところで留まり、決して流れ落ちることはありませんでした。

微動だにせず、レーンを見つめる横顔に張り付いた小さな意思。

大変切なくなりました。声を出して泣いて欲しいと思いました。

こうやって、少しづつ、大人びていく。少しづつ、離れてゆく。

次の順番が回って来ました。息子はボールを抱えて、再び、飛び出して行きます。

4月。彼は5歳になります。