MODALAVAストーリー:夏のために生きてる優香(28)の場合(前編)

「日本の夏は短いから、それに照準当てて残りの10か月を過ごす」がモットーの優香。そんな彼女のライフスタイルはどう変遷するのか?

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夏本番。理沙のクラスは、ボーナスで新調したのか、夏のセールでゲットしたのか、生徒たちのスタイリッシュなウェアが一層華やぐ時期。理沙のもう一つの仕事、フリーモデルの方もカメラマンたちが最新の機材を試すのを心待ちにしていて盛況だ。MODALAVAでの販売も少しお休みして、この2つを休みなくこなす。そしてボーナスと言えるような収入を作り、シーズンを外して低予算で旅に出るのが理沙のスタイルだった。

夏になるといつも来なくなる優香という生徒がいた。おそらく、理沙とは反対に夏は働かずに楽しむ方にフォーカスするタイプなのだろう。理沙はスタイルは反対ながらも、タイプの似た優香に親近感を抱いていた。秋になって、優香がひょっこりレッスンに現れ、夏の余韻を存分に感じさせてくれることで理沙が夏休みのおすそ分けをもらっていたとも言える。

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「日本の夏は短いんだ」と優香は小さいころから漠然と思っていた。それを確固たる事実として受け止めたのは、親が無理をして出してくれたフランスへの音楽留学だった。

幼稚園の頃から続けていたピアノではコンクールに出るほどの成績を収めてはいたが、高校に入ってからは軽音楽部も気になった。音楽が分かっているが故に、自分ならもっといい曲が書ける気がしてオリジナルの曲をたくさん作ったが、有名ポップ歌手のコピーバンドの方が人気はいつも上だった。自信のあった音楽で結果を出せず、才能がないのか、それでも音楽を続けるのかを迷い、高校を休学して1年間フランスへ留学した。親としてはこれでピアノに真剣に向き合ってくれれば、という思いだったという事はわかっていたが、結果、優香は大学へは行かないことを選択した。人はどんな環境でも好きなものに引き寄せられる力にあらがうことは出来ない。優香がフランスで学んだのは、日本人からしてみれば常識外れなほどにラテンな気質と、そしてバカンスのために人生をめいっぱい生きるという姿勢だった。

学生でも丸々2ヶ月、社会人だって1ヶ月はバカンス休暇。日本のどんな有名大学へ行ったって、社会のレールに乗ってしまったらいかに言い訳して有給を取るかがスタンダード。そんな現実を目の当たりにした優香には、大学へ行く理由はなかった。どうにかして夏はバカンスを取るんだ…、そんな思いから、アルバイトを転々とする暮らしをすることで、一応は社会人としての暮らしは理想に近いものにはなったが、当然収入は安定せず、親元を離れられそうにはなかった。

Photo by Amos Bar-Zeev on Unsplash

旅の写真をインスタグラムに何気なく投稿しているうちに、それがお金になることを知り、いわゆる「タビジョ」として2年くらい各地のリゾートを回って生活した。はじめはこんな仕事最高すぎる、と思っていたものの、どんなものでも仕事になってしまうと飽きがくる。しばらくビジネスでの旅は休憩したくなり、タイで知り合った日本人の彼の実家暮らしの家に3ヶ月ほど滞在した。関西気質の陽気な彼の両親は優香の旅話を心から楽しそうに聞いてくれ、短い滞在中に実の親より近い存在に感じるようになった。彼の転勤とともにプロポーズされ、即答でイエス。独身生活を凝縮して楽しんだせいか24歳で世間ではやや若めの1児の母となった時にも一切のやり残しはない気がしていた。

今、優香は28歳。上の子が幼稚園の年中さん、下の子は2歳。モットーは変わらず「夏休みは一生懸命遊ぶ!」

現在の優香のライフスタイルは?後編へ続く

※本作は事実を元にしたフィクションです。