Motoya Tsuchida
7 min readDec 7, 2017

翻訳者によるICOレビュー① ~INS Ecosystem~

さて、ようやく少しだけ時間ができたので前からやってみたかった翻訳者によるICOレビューを行います。

第一弾は私が結構翻訳をしたINS Ecosystemのレビューを行います。

概要

このプロジェクトの概要としては、ブロックチェーン上のEコマースサイトを作って、食料品メーカーと消費者が直接取引をできるようにして、より安く、良い商品を手に入れることをできるようにしようとしています。
仕組みを一目でわかる資料が以下です。
※Fulfillment centerはどうも運送業者とか配達業者を包括したような広い概念のように感じたので、横文字にしています。

現状の店舗で売っている商品のコストには、消費者には原価+卸売業者の利益+小売業者の利益が乗っているせいで実際の価格よりも高くなっています。そして、原価にはメーカーの小売りなどへの販促費とかインセンティブが入っていることを考えたら・・・。
こういった、状況を変えようとしているのがINSです。

具体的な取引の流れ

1 INSのプラットフォーム上にメーカーが商品を掲載する
2商品のプロモーションを行って、報酬を渡す※★
3消費者が商品を注文して、支払いをする※●
4メーカーが配達業者に商品を配達する
5 配達業者が消費者に届ける
6 消費者が受け取って、送料を支払う※●

そして、消費者はプロモーションやリピーターとなる対価としてメーカーからINSトークンを受け取ることができます。
※の取引では全て1%の手数料を貰うようです。
★が付いている所はINSトークンが必須です。
●がついている所では、INSトークンも利用可能です。

各アクターにとってのメリット

消費者
①プロモーションによって、稼げる
これまでは販促費やインセンティブは全部小売りや卸売りなどの中間業者の利益になっていましたが、消費者の利益となります。

②安くなる
中間業者がいないことで商品がより安くなります。

メーカー
①プロモーション費用の軽減
INS上でのプロモーションを行うための手数料は1%だけで、メーカーの行いたいプロモーションを自分で行えます。手数料が少ないプラットフォームで行うので、広告の制作、企画への費用はかかりますが、それを展開するプラットフォーム向けの費用が安いので全体的には安くなります。
※プロモーションやキャンペーンへの報酬はINSでのみ支払われます。

②直接顧客からのフィードバックを得られる

③より利益の出る価格設定をできる
中間業者へのインセンティブやプロモーションや中間業者の利益を乗せずに売れるので、メーカーにとってはより利益を乗せた価格で商品を売れます。

④自主性
これまでは小売とかの売れ筋を考えて、商品ラインナップや価格を決めていたのをメーカーが自分で決めることができるようになります。

期待している点

①チームメンバー
創業メンバーにハーバードMBA卒が多く、社長はロシアで食料品デリバリーの会社を創業して、かなりの規模にしたかなりのやり手らしく、ハーバードMBAの持っている人脈、ナレッジなどが総動員されるベンチャーと考えると一定程度の成功は収めると思えます。
後、開発メンバーから依頼される翻訳内容が本当に丁寧で、なんでも説明しようと言う姿勢が見えて、良い人たちだなというのが見えてきます。

②ビジネスモデル
ブロックチェーンでのEコマースというプロジェクトは他になく、使い方やどう自分の生活を変えるか、イメージしやすいというところが強みだと思っています。

③勢い
ICO開始初日でハードキャップの6割を調達し、さらにHitBITへの上場、1億円ずつのVCからの投資などかなりの期待を集めていて、チームも良いタイミングでニュースを発表しています。この勢いを上場まで維持して、ちゃんとプロダクトを開発し続けたら、トークンの価値が凄いことになりそうです。

不安点

このプロジェクトの不安点としては、以下の3つを挙げます。
・ライバルがあまりにも強力
EコマースではライバルはAmazonや楽天と言えます。しかし、これらの企業の圧倒的な認知度とポイントによる囲い込み(楽天)による牙城を安いだけで崩せるならば、価格ドットコムで上位に出てくる怪しいEコマースがもっと流行ります。
私がAmazonを使うのは、必ず配達されることへの信用、どこでも受け取れる便利さ、プライムであることですぐに、配達料無料で届くこと、商品が簡単に検索できることの4つです。つまり、価格はもちろん大事な要素ですが、Eコマースでは、価格以外の価値も大きな意味を持っています。
※ちなみに、楽天を使わないのは、注文した商品が届かなかったこと、配達料がかかる、サイトが汚いという理由からです。
INSのチームが現状考えているスキームだと、安い、稼げるという金銭的なメリットは大きいです。信用に関してはブロックチェーンとスマートコントラクトで担保できて、商品の検索はUX次第です。しかし、認知度、配達と便利さの3つが既存のEコマースと比べて、大きく劣っているところが不安です。

・開発チームが稼ぐというよりは、慈善団体に近い考え
開発チームに今後の開発などの資金はどう手に入れるかを質問した時に、マネタイズとしては全取引の1%を手数料として受け取って、それ以外は何も取らないと言っていました。
中間業者を排除するのに、自分たちが中間業者になるわけにはいかないのが理由なのですが、1億円の取引が行われても、ようやく100万円です。トークンを売るだけでは、マーケットの影響を大きく受けすぎます。そう考えると、安定収入として見込める手数料が1%は小さすぎます。

・配達
配達に関してもUberみたいな、手が空いている人が届けるスタイルを取ろうとしていますが、食料品に関して大事なのは新鮮さなので、どれだけ早く届くかが大切です。手が空いている人がいなかったら、届けるのがめんどくさそうだと思われて配達してもらえなかったら、提携していないだろうからコンビニ受取ができなさそう、受け取れなかった場合はどうなるのかなど、配達部分に関しての信用はスマートコントラクトだけでは担保できていないと思います。

長々と書きましたが、商品検索、発注、プロモーションに関しては問題は少ないと思いますが、配達がちゃんとできるのかがINSの価値を大きくわける分岐点だと言うのが私の意見です。

翻訳資料一覧
ホームページ
https://ins.world/ja
ホワイトペーパー
https://ins.world/ja/INS-ICO-Whitepaper.pdf
ANNスレッド
https://bitcoingarden.org/forum/index.php?topic=22208.0
一枚資料
https://ins.world/ja/INS-ICO-OnePager.pdf
FAQ
https://ins.world/ja/INS-FAQ.pdf

※初めての案件ということでクオリティは今見直すといまいちです・・
精進します。

以下、本シリーズの関連リンクです。
第2弾 AppCoins
https://goo.gl/q9cJqo
第3弾 Grain
https://goo.gl/2eqyBf