歳をとる その前に

Shintaro Yarimizo
5 min readApr 2, 2017

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僕は株式会社グッドパッチという渋谷にあるUIデザイン会社でデザイナーとプロジェクトマネジャーからなるチームのマネジメントをやっている。
といっても、まだ始めて半年ちょっとだ。でもこの半年ちょっとは自分のシゴト上のキャリアとして振り返っても、大きな時間だったと思う。
来週にはまた一つ歳をとるその前に、書き留めておこう。

マネジャーとプレーヤー

僕のキャリアはプロジェクトマネジャーという肩書きとともに始まった。
大学を卒業して進んだ道はaoi-dcというCM制作会社のウェブ部門でのクリエイティブなシゴト。当時は自分の名前でシゴトできるような人になりたいと漠然と思っていた(今も思っている)ので、生意気にも名刺に肩書き入れないでくれとか言ってたけど、振り返ればここでのPM→プロデューサーの経験は僕のコアを創ってくれた。
その後、VELTRAという旅をテーマにした事業会社でデザイナーとして30代の半分を過ごし、事業責任者の先輩方とデザインをテーマにしたやりとりをしたこの経験は、僕自身のデザインという言葉の捉え方、考え方を大きく広く深くしてくれた。
30代も中頃に近づくと、チームを創るためのマネジメントが求められるようになっていたけど、プレーヤーとしてやりたい気持ちと葛藤する時間が続く。チームが生み出すものと個人のそれとの違いはよくわかっていたけど、どこか自分でやりたいという気持ちを悪い意味で諦められず、という状態。割り切ってチームつくろうと考えていた矢先にグッドパッチから声かけてもらって転職。この転職はマネジャーとしての期待を最初からもらってのものだった。
そんな2回目の転職後、半年ほどして自分の名前がついたユニットを持たせてもらうことになり、そこからはマネジメントを主軸にシゴトをしている。(プレーヤーとしての欲求は個人活動で消化させてもらってる)

Joy, inc.っていう本

グッドパッチという会社は、若くて才能ある人材が多くいる会社で。入社してしばらくして、彼ら彼女らを成長させる組織のデザインておもしろいんじゃね?って自問したら、自分の中でこの会社での立ち位置を割り切れた。マネジメントやってみようと。
いざやり始めた時は思えばふわふわしていたし、思うところと求められるものとのギャップに難しさを感じたりしてた。メンバーにも迷惑かけたなと振り返って反省。変わりだしたのは、僕はどんな組織つくりたいのかってのを明文化したあたりからだった。まずは身近な人のWow!を創れるチームから創っていきたいと。

そういう気持ちで日々を過ごしてた年末くらいだったか。Facebookのタイムラインで「Joy, inc. -役職も部署もない全員主役のマネジメント-」という本を知り、読んでみた。
誰かのWow!を生むためには、まず自分がWow!ってならなくちゃダメだし、そのためには楽しまなきゃなんないし、楽しませる人は自らなんでも楽しむ人にならなきゃなんない。全員が楽しむ環境を創るのが目指すマネジメントだ、と思ってたところに読んだのだが、自分以外にも似たようなこと考えて、実行して、成功している人がいるんだなと背中を押してもらった気持ちになった。

「会社で働くすべての人が、仕事に喜びを感じる環境をつくれてる?」
こんなメッセージをダイレクトに受け取れる本書には、メンロー・イノベーションズ社でのJoyをキーワードにした様々な施策やマネジメントの考え方が紹介されていて、幾つも共感するところがあった。

「喜び(Joy)」という言葉をビジネスの場で持ち出すのは、まるでバカみたいだ。たぶんそのせいで本書の執筆を始めた当初、喜びの文化を作るという話を曖昧に、ぼかして書こうとしたんだと思う。

という書き出しで始まるこの本。
確かに遊びに来てるわけじゃないんだから、楽しく仕事するって何?って思う人もいるとは理解できる。サークルじゃないんだから仲良しなんていらなくね?って。
でも僕は、自分が属する場所ではシゴトもそうじゃなくても関係なく、この喜び(Joy)や楽しいってのを求めたい。
創造性が高まる状態というのは、その前にしんどいことがあったとしても(あるからこそとも言える)ある意味で最高に楽しい。まさに喜びだ。遊んでいるより楽しい。
サービスをデザインするシゴトをチームで行うグッドパッチという会社において、自分一人で考えるもの以上の創造性をチームで生み出すのは最重要なことであって、それを叶えるためには各々が最高に楽しい状態をつくりだす、そんな環境づくりが肝心だ、と再確認した。

創造性を楽しむプロ集団

楽しそうな人を見るのは楽しい。職場で笑い声が響き渡るのってのはいいことだ。多少ふざけたっていいと思う。創造的な環境には重要だ。
春から夏にかけての当社下半期、クリエイティブな人材のマネジメントというのは課題も多く、まったくもって一筋縄ではいかないけども、「創造性を楽しむプロ集団」をデザインできるように、まずは自分が一番楽しみながらやっていきたいと思う。

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Shintaro Yarimizo

Designer/Manager at VELTRA corp. Tokyo. Love: Design, Typography, Basketball and Surfing.