catabiraのCTOになりました

Tomohiro Nakamura
12 min readMar 20, 2019

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どうも。Tomo( Twitter: HAIL )です。実は2019年2月末でAnyPay株式会社のCTOを辞任し、つい先日から株式会社catabiraの取締役CTOに就任しました。

  • お前誰
  • catabiraって何
  • ↑両方知ってるけど何故そうなった!

のすべてのニーズを満たすため少し長くなりますm(_ _)m

略歴

早稲田大学大学院→Goldman Sachs software engineer→Electronic Arts software engineer→Wekids CTO→AnyPay CTO→catabira CTO

歴史

AnyPayに入る前には僕は自分でWekidsという会社をやっていて、ゲーマーを支援するという事業をやっていました。
僕が一生を通じてやりたいことは「好きなこと、得意なことで生きている人を増やす」ことです。それを達成するために、共同創業者のUlaraとCTOの僕とで悪戦苦闘し、実を結んできたのが「ゲームが好きな人、得意な人がゲームで稼ぐこと」でした。

僕とUlaraはElectronic Artsというアメリカの巨大ゲームメーカーに買われた、今はなきイギリスのゲームメーカーであるPlayfishの日本オフィスで出会いました。その二人で創業したWekidsでは、ゲームが好きなゲーマーと、元ゲーム業界というチームで、ゲーム作り・運営・広告の支援をやっていました。トップゲーマーならではの視点に、一部データサイエンスやチャットボットなどを組み合わせた事業は様々なゲーム関連事業者に好評で、ゲーマーが、ゲームで稼ぐということを実現していきました。

そんなWekidsを僕が辞めたのは、もっとテクノロジーを使って多くの人を幸せにしたい! と思った面が強かったです。

そんな中、AnyPayで当時COOをやっていた大野と、当時代表をやっていた木村に会う機会があり、この会社ならテクノロジーで社会を変えられる! キャッシュレスは個人やスモールサービスをempowerする!と思い当時5人ほどであったときにCTOとしてジョインしました。

当時のAnyPayは、BtoCのキャッシュレス決済サービスである現paymo bizをリリースしていて、CtoCのキャッシュレスわりかんサービスpaymoを急ピッチで開発しているところでした。業務委託で手伝ってくれている方もいたとはいえ、大きいチームではなかったのでなんでもやっていました。Ruby On RailsでのバックエンドやWebのフロントエンド、iOS(当時確かSwift 2…?)やAndroid(まだJava)のアプリのコーディングとレビュー、インフラ(AWS OpsWorks + EC2)の整備、運用に耐えうる監視や通知の設計と構築、KPIダッシュボード(Redash)の整備、etc…。役員会やチームミーティングでバシバシと物事を決め、目まぐるしく日々が過ぎていました。

その開発の傍ら、当然採用活動も進めており、paymoを無事リリースしてからは多くの部下のマネジメントも行っていました。Wekidsのときよりも多くの部下がいたのですが、やってみて思ったのは、僕はマネジメントが好きでした。経営上の目標と、部下のモチベーションのバランスを保つよう最大限努力する。そのために、厳選した人材を採用する。ちょっと前に組織の健康についてブログを書いたので、よかったら読んでみてください。

あとこれはちょっと古いですが、2018年夏にpaymoのリリース後しばらくの間にエンジニアが成し遂げたことなんかも書きました。

ブロックチェーンとの関わり

AnyPayに入る前から一応Bitcoinの存在は知っていたし、データ構造の概要ぐらいは把握していたのですが、恥ずかしながらそれ以上は追っていませんでした。本格的に学んでいったのは、DAO(Decentralized Autonomous Organization)やICO(Initial Coin Offering)といった言葉が徐々に有名になっていき、AnyPayがICOのコンサルティング事業を企画し始めた2017年初夏でした。

AnyPayのICOコンサルティング事業の特徴は、その事業をはじめたタイミングの早さと、包括的なサポート内容でした。ビジネスとICOの目的を理解し、法務などの点もおさえながらICOのスキームを考え、トークンを含むスマートコントラクトの開発をし、マーケを手伝い、時にはTelegram対応などもと、少人数ながら幅広くサポートを行っていました。

ICOを仕事にするようになってからブロックチェーンが好きになっていきました。それはインターネットが情報を自由化したことの先にある、経済の自由化を進めようとしていると思います。このへんも少し、上に挙げた別記事に書いてありますが、あまりに整っていなかった法整備などの問題からICOの市場は大きく落ち込み、まずは世界が理解しやすい既存の金融商品であるものからトークン化していこうという動きからSTOの流れが来て、僕の仕事もそちらに重きを置いていきました。

STO関連の仕事は、偶然にもGoldmanにいたときに決済システム周りを専門としていたことから、証券の流動における非効率さをある程度心得ていて、思い入れをかなり持てました。NYでSecurity Token Academyという団体のインタビューを受けた際に「まさにこれをやるためのキャリアじゃないかw」みたいなことを言われましたが、本当人生何がつながるかわからんぜ、と思いました。

ICO、STO関連のシステムはオンチェーンでやるべきこととオフチェーンでやるべきこと、またユーザの秘密鍵で署名されるものと運営が持つ秘密鍵で署名されるものの切り分けが難しいところです。基本的な姿勢はブロックチェーンがもたらすものの本質を忘れず、かつ今の世の中がついてこれる範囲を攻めることにあります。例えばユーザの認証情報はもうサーバが持つものでは基本的にはなく、ユーザの秘密鍵で署名されたトランザクションを、鍵を知ることなく(Ethereumであればecrecover, secp256k1などでの)バリデーションを行うことによってサービスへのログインが達成されるべきです。しかし、STOという新しいサービスに関わる全ての個人や事業者が急速にこの世界観についてこれないことも当然あるので、KYC事業者やcustodian、投資家などと話しながら時代ごとの妥協点を見つけていくことになります。

これはICOやSTOといったものに限らず、全てのブロックチェーン上で動く分散型アプリケーション、Decentralized Applications(DApps)に共通している問題です。最近だとFinancieの設計などでも似たような悩みが見えてますよね。

少し余談ですが、オフチェーンでの利用技術もかなり多岐に及んできており、フロントはReact(Native含む)、バックエンドはgolang, Node.js, Kotlin、インフラはGKE, GAEあたりを利用していました。

今自分は何をやるべきなのか本気出して考えてみた

上にも書きましたが、僕が一生を通じてやりたいことは「好きなこと、得意なことで生きている人を増やす」ことです。それを成し遂げるために、今何をすれば良いのか悩みました。

ブロックチェーンへの入りが僕の場合ICOでした。それが本来成し遂げたかったことである、「好きな作りたいものがある人達が世界中の人から融資を受けてプロジェクトのファイナンスを行い、上手くいけば投資家に配当を返す」というような、クラウドファンディングの進化系のようなものは、僕の作りたい世界観と合致していて、この仕組みは大好きです。

しかしその一方で、理想的にそれが動いていくためにはまだまだ技術と法律、人々のリテラシの大きい進化が必要です。

僕はリサーチではなくサービスづくりをして世の中に貢献するほうが得意だと思っているので、今自分がいるべき技術領域はAIやIoTといった、ブロックチェーンに比べれば枯れてきているものなのではないかとも思いました。最終的には技術は手段であって、サービスによってはAIもIoTもブロックチェーンも使うようになっていくのですが、2019年時点ではどれが一番黎明期かと言われればブロックチェーンです。好きだが、これで今結果を出せるのか悩みました。

悩みに悩んで、いくつもの会社の経営者の方と話をさせていただきました。僕との会話に沢山の時間を取っていただき本当にありがたい限りです。

そして最終的に、僕がジョインすることを決めたのは、ブロックチェーン周りのプロダクトを開発する小さいスタートアップであるcatabiraでした。

代表の池内とは、半年ほど前から知り合いではあって、以下で紹介するサービスは暗号通貨ならびにDAppsに関わる多くの事業者にとって必要なものだと感想を伝えていました。AnyPayを辞任した時点で特にジョインなどは考えていなかったのですが、ちょうど悩んでいるタイミングで連絡を貰い、飯を食いながら話しました。

必要なものを作っているとは言っても、中々立ち上がっていかないマーケットのサービスなので、池内もまた今後の展開に悩んでいました。つまりそこに集まったのは、ブロックチェーン(という技術そのものというよりはP2Pネットワークによる合意形成の世界だが)を信じているが直近でどこまで動いていけるのかについて悩んでいる2人でした。

ともすれば2人して「やっぱ今はまだ駄目かな……」となってしまってもおかしくはなかったのですが、結果としては真逆の展開になりました。2人のDApps・NFTを含むトークンエコノミーについての想いがぶつかり合いました。最初の飯が終わった段階では「いや今気持ちが盛り上がっちゃってるだけの可能性あるから一晩寝てよく考えてまた会おうw」と冷静に告げたのですが、そこから何日も連続で数時間会い、もう1人の取締役である花村も含めて話しました。時には興奮し、時には冷静に、議論を重ねて出た結論は「ジョイン!」でした。やっていき!

catabiraは何をしているのか、何をやっていくのか

つい先日、弊社がベータリリースしているプロダクトについて記事が出ていました。

現時点でのcatabiraは、Ethereumブロックチェーンにおいてトランザクションやそれにともなう残高変化の監視・通知を行っています。他のチェーンへの対応も行っていく予定です。

これと並行して考えているプロダクトもあるのですが、共通の目的は暗号通貨サービス・DAppsを応援することです。オンチェーンで行われるトランザクションの情報と、オフチェーンの情報を組み合わせて、事業者を保護したり、事業を促進させたりしていきます。

保護・促進させたいDAppsの大きな市場としてゲーム業界があり、またゲームにも関わることになったか、本当に人生繋がっていくものだな……w としみじみ感じています。実際、ゲームはブロックチェーンが生きるとてもいい分野です。DAppsゲームの筆頭であるMy Crypto Heroesのキャッチコピー「ゲームにかけた時間もお金も情熱も、あなたの資産となる世界」はまさに、ブロックチェーンが体現する、データは組織ではなく自分が所有し、育て・流動させるというものです。自分のものを自分で管理することで、公平な世界が育ちます。

上でも紹介した、好きなものに投資するFinancieも本当に良いコンセプトだと思います。好きなものを発見し応援すること、また初期に応援することのインセンティブを金銭的価値でもたらすことを達成する。好きなこと・得意なことがある人と、それを応援したい人両方にとって素晴らしい世界です。このようなトークンエコノミーは積極的に育てていきたい。

自分で言うのもなんですが、僕を含めてcatabiraメンバーの優れているところは持っている能力の幅が広いことです。ブロックチェーンの理解も、データサイエンスの理解も、セキュリティの理解も、SaaSの理解も、ファイナンスの理解もあります。一つ一つが超一流であるとは言いませんが、それらすべての能力を足し合わせるとかなりのものだと思っています。

今後ガンガン発信していきたいと思っているので、どうぞよろしくお願いいたします!

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