ものごごろついた頃から「やりたいことをやる」という性向があって、「こうすればうまくいく」という声に耳を貸さないか、聞いても馬耳東風だった(先日、馬の感覚がとても鋭いことを知って、この言葉は不適切だと思う)。それでも、繰り返し読んだ本はある。カーネギーの『道は開ける』とコヴィーの『7つの習慣』だ。7つ目の「刃を研ぐ」とかは気にいっていて、20年来やっている。
成功する方法
ところで、収入1000万円の人は、500万の人に対してどんな割合になるだろうか。
答えは4分の1。2000万円の人と1000万円の人の割合は?そう、4分の1。
「べき乗分布」というのがあって、地震のマグニチュードが2倍になると、出現頻度は4分の1になる。森林火災は、面積が2倍になると頻度は2.5分の1だ。株価は変動が2倍になると、頻度は16分の1になる。
べき乗則にはいくつか意味があるけれど、そのひとつは「典型的な大きさがない」ということ。そして、大きな現象も小さな現象も同じ原因で起こる。言い換えると、地震が起こったとき、森林火災が起こったとき、株価が動き出したとき、それがどの程度の大きさになるかは分からない。
なので、「成功する方法」は後知恵以上でも以下でもないと思っているし、自分の経験を人に話したいとも思っていない。
コンパスはある
それでも、何もかもが株価のように予測不可能ということはなくて、再現可能なきまり、コンパスのようなものはある。また、そもそも先を考えるよりも、いま何かを創ることが未来になっていく。
大事な情報の6、7割は遠く、つまり普段会わない人や行かない場所から来る。反対に、仲の良い人間関係や馴染みのある場所からはイノベーションは生まれにくい。この「弱いつながりの強さ」については、早稲田の入山さんが分かりやすく説明している。
部門や会社を越えて、様々な人や場とつながりを持つ人を、越境人材(バウンダリー・スパナー)と呼ぶ。こういう人たちと何かやりたいと思っている。最近で言うと、ヤフーの安宅さんとか。

また、公共、民間、ソーシャルを越えて活動できたり、キャリアをつくるトライセクターリーダーは、イノベーションに不可欠だ。SDGsなど本質的なニーズはソーシャルにあるし、規制のグレーゾーンに飛ぶこむことで、新しい価値が生まれる。
身近な例としては、BCGから財務省に移り、内閣府で規制サンドボックスという大きな仕事をして、いまはロンドンの日本大使館にいる片岡さん。あるいは、コンサルティングからアマゾンを経て、Peatixというイベントに欠かせないプラットフォームを起業し、いまはEdTechについて国やソーシャルで活動している竹村詠美さん。こういう人たちと何かしたいと思っている。
越えていこう
自分なりの工夫としては、単純で「時間を決めること」。30代は自分の時間の5%、40代では10%、50代のいまは15%(週に1日)、見慣れた関係や場所を越えていくことをやっている。ソーシャルメディアは、特定の意見や情報が増幅されるエコーチェンバー効果がかかるので、定期的に見直している。
この人は魅力的だな、と思う人は20代で「越えて」いっている。副業や地方でのリモートワークなど。中には「拡張家族」として、多拠点で生活している人も。時々、アムロ・レイの感覚や動きに瞠目するジオンの古参兵のように感じることがある(このたとえが伝わらないことは、もちろんわかっている)。
10代でも面白いチャンスがある。

評議員として手伝っている地域・教育魅力化プラットフォームが提案している「地域みらい留学」は、地域に向けて開かれた学びの機会を提供している地方の公立高校に「留学」するプログラムだ。島根県海士町の島前高校から島根県全体に広がり、いまでは全国に40校となった。
「マイプロジェクト」など、プロジェクト型の学びの機会が豊かで、学校だけでなく、地域と一体でやっているので、本気の大人や本物の課題と出会える。
どんどん、越えていこう。