コミュニティ運営メンバーの新陳代謝

Natsuko Okada
Jul 1, 2023
©︎なつこ総研

こんにちは。この投稿は、2023/6/29(木)に札幌で行われた CMC_Meetup サッポロvol.5 でお話しした内容を記事化したものです。

今回のテーマは「コミュニティの新陳代謝」

とくにコミュニティを運営する側にフォーカスをあてた内容でした。

私が担当したのはそのうちの事例セッション1つめ、CMC_Meetup 運営チームの新陳代謝についてです。

スライド公開してます

CMC_Meetup はコミュニティマーケティング実践者を増やす目的で2016年11月から活動しており、私は2020年より運営に関わっています(現在4年目)

コミュニティは現在7年目ですが、Facebookグループの人数は今でも日に日に増え続けております。すごい!

一方で、運営チームの顔ぶれは毎年のように「新陳代謝」しており、現在のメンバーは6期生です(私は4期生から参加中)。

CMC_Meetup の運営メンバー

さて、運営チームはなぜこんなにもコロコロ変わるのでしょう。CMC_Meetup が成長し続けていることと何か関係があるのでしょうか。

主宰の小島さんはイベント冒頭でこのように解説されていました。
「 生き残る(存続する)ためには、新陳代謝と多様性が必要」

©︎おじまさん

小島さんたちが意図的に人を巻き込み新陳代謝を行ってきたことで、CMC_Meetupというコミュニティが存続し成長してきたとも解釈できそうですね。

※小島さんのスライド全文はこちら

さて、そんな CMC_Meetup にはこれまでどのような課題があったのでしょうか。これまでのブログその他の文献等をあたってみると、下記のような変遷があったようです。

このページだけで結構話せちゃう

コミュニティの立ち上げ期はとにかく「コミュニティの火をどう着火し、火を大きくできるか」が課題になります。これは多かれ少なかれどんなコミュニティにも共通する課題感ではないでしょうか。

熱が注がれある程度の大きさまで火が安定してくると、次に直面する課題はおそらくコミュニティにより異なってきます。CMC_Meetup の場合、2018年ごろには東京以外の各地でもオフライン開催されたり BtoC や Deep Dive 等をテーマに分科会が開催されたりと、コミュニティの成長フェーズとしてはだいぶ進んできていたようです。ちなみに、私自身も2018年に初めて CMC_Meetup の存在を知り、東京でのミートアップに初参加した記憶があります。
一方で、その頃に生まれた課題が分科会の継続開催がうまく進まないことでした。

その後、2020年頃からのコロナ禍は、CMC_Meetup 運営にとってもある意味でターニングポイントになったと思います。それまでの当たり前が急遽通用しなくなり、定期的に顔を合わせて阿吽の呼吸を整えてきた流れが突然停止しました。結果的に、うやむやにされていた(?)課題が次々と表面化することになります。現在直面している課題たちは、決して今生まれたものではなく、おそらく以前から潜在的にはあったものだと思います。

生き残るために必要な新陳代謝。メンバー追加の推移と抱えていた課題をおなじ時間軸に重ねてみました。

どうですか?

うーん。結果とともにみてみましょう。

新陳代謝は万能薬ではなくとも、いろんな課題を解決する気もする‥

解決されないままコロナ禍に突入し塩漬けになった課題もありましたが、ほかの課題はこれから解決されていくような予感もします。なぜなら、最近はめちゃくちゃパワフルなメンバーたちが加入してくれたので!

さて、ここまで「巻き込む側」の視点で考察してきました。
「巻き込まれる側」の当事者からみるとどんな事情がみえるでしょうか?

11名の調査協力者を得て、ヒアリングしてみました!

調査しました!

ご協力くださった CMC_Meetup 運営の加入/卒業メンバーのみなさま、本当にありがとうございます。

ヒアリング結果はこうでした。

人それぞれ

結構バラバラでした。

追加でヒアリングをさせてもらいながらまとめてみると、11名に付帯する属性にいくつかの違いがあることに気がつきました。

下の図を見てください。

運営メンバーの3属性

どうやら、思惑の異なる3属性がいるようです。一人の中に複数の属性が存在したり、ひとつの属性に振り切っていたりといったバランスは人それぞれです。時が経つにつれ、属性やバランスが変化することもあります。

シゴト属性が強いと、運営に携わる中での自身の現在もしくは将来の業務に明確なメリットがあることがモチベーションとなるようです。なので、仕事環境の変化があって転職等で業務メリットがなくなると運営を卒業したりもします。一方で、活動の「仕事っぽさ」が増しても許容する側面があります。

「仕事っぽさ」は CMC_Meetup 運営にとっては、ちょっと気を配りたい要素です。実は、 CMC_Meetup の運営は意図的かどうかはさておき次第に仕事っぽくなって、最近はタスク管理に Asana を導入したくらいです。もちろん非営利なまま、ボランティア/無報酬なままです。そんな仕事っぽい環境になっても大して気にとめず許容する特徴があるのがシゴト属性です。

次に、アソビ属性です。この属性は、好きだから、楽しいからという純粋な個人の興味関心が活動の原動力になります。本業がどうみても忙しそうで家庭があっても、なぜか運営に関わる時間をねん出できます。なぜでしょう? 好きだからです。楽しいからです。みなさんも、自分の好きなことや趣味のためなら時間を作れるんじゃないでしょうか。そういうことです。

ただし、アソビ属性と活動の「仕事っぽさ」は水と油です。仕事じゃないのに、ただ楽しくやりたいのに、無報酬で時間つかってなぜ仕事をやらされなきゃいけないんでしょう。「仕事っぽさ」が増すほどに抵抗感が拭えなくなってくる側面があるのがアソビ属性です。

最後に、ライフワーク属性です。この属性には、前提として自身のライフワークとして取り組みたいことや、これからの人生を考えたときに湧き出る誰かや何かに貢献したい思いがあります。そのライフワークと運営の親和性がたまたま高いときに、運営チームの一員として活動します。

ライフワークを常に最優先にできる人は稀です。仕事も生活もある中でライフワークにかけられる時間のねん出は、他の属性に比べて難しいと言わざるを得ません。ただ、転職や異動などの仕事環境の変化があっても、活動を継続する側面がありそうです。なぜならライフワークだからです。

以上の3属性について、期待値をそれぞれまとめてみましょう。

シゴト属性が強いと、本業につながる学びや気づきを期待します。

アソビ属性が強いと、距離感の近さや楽しさを期待します。

ライフワーク属性が強いと、制約が少なく融通がききやすい環境を期待します。

ひとくちにコミュニティ運営に関わるといっても、それぞれ異なる期待値があるのですね。

重ねてみた

巻き込む側、巻き込まれる側の期待値を重ねてみました。

合わないですね!!! ぜんっぜん合っていません。
このミスマッチについて、たとえばここが会社組織なら報酬で合意形成できるかもしれないし、一時的にパワープレイで解決したいならモノやコトで釣ることだってできるかもしれません。でも、ここは持続的に活動していきたいコミュニティの場です。

私は、対話するしかないんじゃないかなと思います。
期待を言語化し、共有し、話すことだと思います。アウトプットファーストです。

おしまい

みなさんは、どのように感じられたでしょうか。

CMC_Meetup 札幌の場では、私の発表のあとディスカッションタイムに入り、オフラインならではの意見交換が盛り上がりました!

その場には運営チームから小島さんも河野さんもいて、実はお二人へのサプライズにしようと内緒で調査を進めたので、新鮮な反応もらえたのも楽しかったですw

それでは。

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