なぜグリーン組織のリーダーはティールに惹かれるのに、次の一手を打てないのか

「従業員は仲良いけど、コンセンサスに重きが置かれて、環境の変化についていけてない」

「ワークショップや合宿をたくさんやってるのに、なぜか最近、組織内の人間関係がギクシャクしてきた」

など、グリーン組織のリーダーから、現状を変えたい、という相談を多くいただきます。

わたしは必ずしもティール組織をオススメしているわけではありませんが、急激な変化に適応し、かつイノベーションを組織内で起こすために、ティールに移行したほうが良いなと感じる組織もあります。しかし、実際のところ、ティールへの変容を決断した組織はまだまだ少ないのが現状です。

なぜ、グリーンのリーダーはティールに移行しようと検討しているのでしょうか。また、検討はするけれども、なかなか行動に移せないのはどうしてでしょうか。

今回はこの辺りを紐解いていきたいと思います。

(グリーンやティールなど、5段階の組織形態については、コチラをご参照ください)

1 そもそもグリーンとはどのようなものか
2 グリーンがぶち当たる壁
3 ティールに変容を遂げるための覚悟とエネルギー
4 イノベーションが求められる環境であれば、ティールは有力な一手

1 そもそもグリーンとはどのようなものか

ピラミッド階層型のオレンジのように、上意下達でただ生産性を追いかけるのではなく、ダイアローグなど、メンバー間の関係性を重視し、縦割りだった組織の壁を取り払っているのが特徴です。

グリーンは、MITのダニエル・キム教授が提唱している「組織の成功循環モデル」のような好循環が回ることを重視しています。(組織の成功循環モデルについては、友人の千葉順のブログがわかりやすく説明してくれています

組織内の関係性を高めて、なんでも言い合える環境を整える。言い合えることで、コミットメントが高まり、権限を移譲することで責任感も強くなる。意見交換が活発になると、視野が広くなって、イノベーションが生まれやすい。

「早く行くなら一人で行け。遠くに行くならみんなでいけ」

というアフリカのことわざの価値観に近い、家族主義です。オレンジとちがって、ブラックボックス化したマネージャーを抱えることもありません

2 グリーンがぶち当たる壁

そんなグリーンがぶち当たる壁は、オレンジのマネージャーたちが抱えていた負担を、組織のトップであるリーダーがすべて背負い込む点です。

メンバーとの関係性はオレンジに比べると良いのですが、メンバーに完全に権限を移譲しているわけではないので、リーダーは常に全体に気を配る必要があります。オレンジのように戦略を練る部隊もいません。

その結果、何が起こるかというと、リーダーによるちゃぶ台返しです

メンバーが合宿やワークショップで話し合った提案は、時に理想論になります。せっかくの提案も、大所高所に立ったリーダーから見ると、詰めが甘く、否定せざるを得ないようなものもあります。

「それはやっぱりちがう!」とリーダーから提案を差し戻されるたびに、メンバーの士気は低下します。やがて、組織の成功循環モデルは負のスパイラルに陥り、冒頭の発言のような「組織内の人間関係がギクシャクしてきた」状態になります。

現場は権限が移譲されていないと感じ、リーダーは「自分ほど真剣に考えてくれていない」と孤独を感じて、中にはオレンジに戻ってしまう組織も出てきます。

また、未知の領域(un-known)へのチャレンジが生まれにくくなる傾向もあります。

合宿やワークショップを積極的に開いて、理念やビジョンを共有するなど、グリーンは関係性を高めるために、様々な仕組みを作ります。そうして出来上がった仕組みは、キャンプファイヤーのように目の前の物事を明晰に照らし、メンバーに一体感を与えます。火が焚かれているので、温かく、心躍るので、火の周辺には特別な求心力が生まれます。

しかし、キャンプファイヤーに注意が向けられるのが当たり前になると、火が照らしきれない闇の部分、未知の領域を見たり、足を踏み入れることがおろそかになっていきます。

たしかに暗闇にはモンスター(危機)がいるかもしれませんが同時に、闇の中にこそ、組織を未来に導く宝(イノベーション)があったりするのですが、合意形成の文化では、未知の世界に行こうというアクションは積極的に採用されません。

組織運営上の課題をブレイクスルーするような異端児も生まれにくい。また、グリーンはオレンジ同様、統率感がどうしても残ってしまうので、仮に異端児が出現しても、リスクをとるような完全自由行動を取らせません。

世界はun-knownです。未知の領域に足を踏み出せる組織だけが生き残ります。

お互いの信頼関係がありつつ、メンバーひとり一人が意思決定して、時には暗闇に繰り出すことができる。グリーンでは難しいその組織運営を実現する有力な手法のひとつが、ティールなのです。

taken by barcoo

3 ティールに変容を遂げるための覚悟とエネルギー

では、グリーンの組織は、すぐに組織形態をティールに変容できるのでしょうか。わたしは簡単ではないと感じています。

まず組織のありようが根本的に変わるので、リーダーはすべてを手放す覚悟が問われます。

「メンバーが完全自由裁量になったら、結果が伴わないんじゃないか」

「KPIは最後の一線として、手放してはいけないんじゃないか」

「既存の命令系統になれた人が、本当にセルフマネジメントができるのか」

「ドライな人間関係のITベンチャーしかできないんじゃないか」

秩序や一体感を重視しているグリーンのリーダーだからこそ、ティールへの変容を決断をしたことで、組織がバラバラになってしまうのではという恐れと葛藤します。しかし、みずからが設定した「この範囲内で行動してね」という枠、ルールや承認プロセスを手放さないかぎり、メンバーひとり一人に完全な裁量権は移譲されません。

また、リーダーが覚悟を決めてからも、膨大なエネルギーが必要です。

自転車に乗ったことがない人が自転車に乗ることを想像しても意味がないように、ティールとはなんなのか、どのような運営が望ましいかを勉強しながら、体現していく必要があります。リーダーはコーチングを受けながら、恐れを手放し、リーダーという役割を解体し本来その人が得意とする役割に移行していきます。メンバーは完全に移譲された権限を行使し、結果に結びつけていくためのトレーニングを積み重ねます。特にティール組織では上司に承認を求めたり、会議にかけてみんなで決めるという機会がグリーンに比べて格段に少ないと言われています。

リーダーが抱えていた課題や恐れを組織全体が共有し、それをメンバーが完全自由裁量の元で処理し始めると、組織は新しいステップを刻み始めます。

グリーンからティールに変容したリーダーは、肩の荷がおりたような感覚を味わうかもしれません。

ここで誤解が生じるのですが、メンバーが個人で責任を背負い込むわけではありません。個人で背負っているように見えて、組織全体で責任を負っているのがティールです。具体的な事例については「オランダで急成長を遂げるティール組織、Buurtzorgの驚きの組織運営」をご参照ください。

4 イノベーションが求められる環境であれば、ティールは有力な一手

ティールに根ざす「わたしはどこにいきたいのか。それを所属している組織でどういかしていきたいのか」という問いを、メンバーがひとり一人もちつづけながら、みずから考えて行動することは、簡単なことではありません。

ビジメスモデルが明確で、当面変わることがなく、粛々と業務をこなしていけば、メンバーも幸せを感じるし、生きていけるだけのお金も稼げる、というような組織であれば、グリーンでも良いかもしれません。

しかし、急激な変化に適応し、ビジネスモデルを常に進化させていきたいのであれば、覚悟とエネルギーが要りますが、ティール的な組織運営に変容することをオススメします。ティールは変化に即応して成長しつづけることができる有力な組織形態だからです。

グリーンのリーダーがティールに惹かれる理由、そして、導入までなかなか決断できない理由について、紐解いてみましたが、いかがでしたでしょうか。

ティール組織や新しい組織開発にご興味を持たれた方、相談されたい方は、下記連絡先までご連絡ください。

お問い合わせ先:info@homes-vi.com

(文章:嘉村賢州、編集・校正:佃芳史春)