波多江 直彦
5 min readMay 28, 2016

イスラエル、行ってみたらこんなところだった(前編)

イスラエルについて、皆さんはどんなイメージをお持ちだろうか。

日本人であれば、中東戦争、不安定な政情、爆破テロ、ISISなど、ネガティブなイメージが圧倒的なマインドシェアを締めるだろう。自分も渡航前には、イスラエル行きを告げる度に上記のイメージについて、相当数の方に心配して頂いた。

しかし、イスラエルの現実は違う。それどころか、現在は「起業立国」に成功して、多くのスタートアップが生まれ、世界中のハイテク企業の買収対象としての地位を築きつつある。イスラエルは、国家としてさまざまな制度や仕組を整えることで、国家としてスタートアップすることに成功した。

この奇跡は日本ではあまりまだ知られていないが、実は2009年には「Start-up Nation」と題名の本が英語で出版され各国で翻訳されている。

国内においては、3年遅れで2012年に「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?」という邦題で書籍が出版されている。

しかし、ネガティブなイメージしか持っていない国に関する本を読破するのは多くの人にとって苦行であろう(実際も渡航が決まった後に手にとったにも関わらず、かなり苦戦した)。そもそも本を買う気にならない方も多いだろう。そこで本稿では、写真入りで、イスラエルの現状を紹介することで、少しでもイスラエルに興味を持ってくれる人と、一緒に関係性を深めて行ければと考えている。

日本人に馴染みの無いイスラエルは、まるでディズニーシーであり、アメ横であり、シリコンバレーのような国なのである。

イスラエルはディズニーシーだった

イスラエルは中東に位置しており、西側には地中海に面している。1年のうち300日ほどは晴れており、5–10月ごろは海水浴ができる。海沿いの旧市街にはアトリエが立ち並び、ウェディングフォトや子どもの記念写真を撮る人があちらこちらでみられる。

イスラエルはアメ横だった

食材も豊富だ。野菜や果物、魚やお菓子など、マーケットには食べ物が溢れている。フレッシュジュースも至る所で売られており、さながら上野のアメ横といったところ。隣国との関係性への不安から驚くほど農業技術を発達させ自給率は100%に近い水準に到達している。また、国土の60%が砂漠であるにも関わらず、緑化が進み砂漠は年々減っている。

イスラエルはシリコンバレーだった

イスラエルは国土が四国程の国である。人口は800万人ほどで、誰に聞いてもイスラエルは小さな国で、自国には市場が無いことを起業家は誰もが認識している。起業家は、最初からM&Aによる買収を意識して起業する。2015年には経済の中心地テルアビブを中心に約1,500社が新たに誕生した。

国道沿いはさながらシリコンバレーのような空気で、買収された企業を元にした、Apple、Facebook、Microsoft、CiscoなどのR&Dセンターが立ち並んでいる。

(シェアオフィスで一人黙々と作業するスティーブジョブス激似の男性)

いかがだっただろうか。自分が体験したイスラエルでは、危険は全くと言っていい程感じなかった。ただし、隣国との関係は決して穏やかでは無いことも下記に掲載する写真が物語っている。これは、銃を抱えた20歳前後の集団が、博物館を社会科見学をしている様子である。今日も18歳から21歳の約3年間、イスラエルの若者は、強い愛国心を持ち、軍の厳しい訓練に励んでいる。

日本からすると、信じられない光景ではあるが、この徴兵制度は、イスラエルを「起業立国」に導いた原動力にもなっている。その秘密は後編で。

波多江 直彦

慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経て、サイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。その後、XTech Venturesにてパートナー。2018年7月にイークラウド株式会社を創業、代表取締役に就任。