Y Combinator Demo Day、行ってみたらこんなとこだった

波多江 直彦
6 min readMar 28, 2017

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3月20日から3日間に渡ってY Combinator(以下YC)Demo Day W2017が開催された。24回目の開催である今回は107社が披露されました。日本人投資家も一定数参加しているイベントですが自分は初参加であり、新鮮な驚きを数多く感じるイベントであったためFRESHな気持ちでレポートさせて頂きます。

今回登壇した全107社の個別リスト、生々しいメモについては、このブログをシェアして頂いた方に優先的に無料公開します。リストをご希望の方はtwitterfacebook等にご連絡下さい。日本でやったら面白いフラグも付いています(独断と偏見です)。

そもそもY Combinatorとは2005年にポール・グレアム(本人動画)らによって設立されたVCで、DropBox、Airbnb、Stripe、ZenefitsやMachineZoneなどに投資をしていることで有名です。2005年から、なんと、1464社のスタートアップに投資しています。創業者のポール・グレアム自信起業家で、1995年にEC構築ASPのViawebを創業、1998年にYahoo!にExitしています。2013年にYコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクールという書籍が発売され、日本でも知名度が飛躍的に上がったように思います。

YCを設立したポールは実は既に退任しており、2014年からは2005年の設立時にYCが出資して500万人以上のユーザーを抱えていた位置情報系サービスLoopt(合計30Mを調達し、43Mで売却)の創業者であるサム・アルトマン(本人動画)が就任し、世代交代が行われています。世代交代をするってだけで、シリコンバレーのVCの歴史を感じることができますね。

参考までに、YCに類似するイベントは、AngelPadTechStar500でも開催しています。日本版としては、インキュベイトキャンプONLab、CAVで力を入れているMonthly Pitchなどがあります(手前味噌)。

YCは3日間に渡って行われています。今回も、Day1に54社、Day2が53社のピッチが行われ、1社数分、18社(最後は17社)を2日間で6セット。この全てがYCの投資先で1.5%に残った起業家です。つまり、応募は7,000社ぐらいあるってことですね。凄い。日本のDemoDayイベントには類を見ないボリュームでかなりの迫力でした。参加者は400–500名程度で会場はかなりの熱気に溢れております。会場はとても広いのですが、参加人数も相応に多く、座席幅はエコノミークラス以下の水準です。

登壇順によるテーマなどの発表は特にされないものの、Day1は全体的に「アフリカ」、「インド」、「IoT」などが多く、Day2は「AI」、「Fintech」、「C向けサービス」なんかが多い印象でした。

Day3はInvestorDayとなっており、Day1とDay2に登壇した興味ある起業家をランク付けし、起業家側からも会いたいVCをランキングにまとめ、1日で最大15社と直接面会することができる仕組になっています。一度多数の前でプレゼンしていることから、有望な会社はDay3に即決でラウンドが形成されます。

登壇した個社の事業内容について、SaaSトレンドは前田ヒロさんが既にブログにまとめてらっしゃいましたので、自分は主にC向けの事業をまとめます。

まずは初日に多かったインド系から3社。

インドの自動車整備士のメンテナンスネットワークを提供するServX。インドは道路事情が悪くアメリカの3倍ぐらい自動車整備が必要なものの、サービス品質が担保されておらずユーザービリティが悪いということに目をつけています。続けてインドのWifi Dabba。通信速度が上がっていないエリアでスポットWifiを提供するという原始的モデルは新興国ならでは。最後は牛乳配達のSupr Daily。牛乳配達を握ることで、ラストワンマイルと決済を握れるとのこと。その発想は新鮮でした。

牛乳の話になったので、なんとなく食関連。美味しいスムージーがオフィスで飲めちゃうというOrigin、コーヒーのmerecoffee。売れ筋のコモディティ商品に特化してSPAを展開するmovebutterなんて事業も。

スペイン語圏で打倒Amazonを目指すのはBeek。小難しいレビューじゃなくて、読書の途中段階でのツイートも受け付けることで、Amazonよりも多くのレビューを獲得し、SEOでも上位表示されることも増えているんだとか。

SnapChat等の流れもあり、動画レビューに注目するのはCartcam。プラットフォームとして鶏卵の問題はあるけど、買う、レビューする(売る)を繰り返して生計を立てる生態系は確かにありそう。

最後は音声系。音声版のネットフリックスを標榜するBreaker。月額6$で優良な音声コンテンツを提供していくことを目指しているのだとか。日本でも動画ブームですが、海外では運転中などシーンを選ばないことからaudio bookなどのカテゴリも成長しています。個人的にも英語の音声ニュースにサブスクライブしており、満足度は高くもっと払っても良いと思っている。音声コンテンツ制作コストは動画に比べて圧倒的に低いことから、今年日本でも成長するドメインだと思っています。

上記には特に触れていないが他にも興味深い会社はいくつもあります。今回登壇した全107社の個別リスト、生々しいメモについては、このブログをシェアして頂いた方に優先的に無料公開します。リストをご希望の方はtwitterfacebook等にご連絡下さい。日本でやったら面白いフラグも付いています(独断と偏見です)。

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波多江 直彦

慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業立ち上げ、子会社役員等を経て、サイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。その後、XTech Venturesにてパートナー。2018年7月にイークラウド株式会社を創業、代表取締役に就任。