金鉱を見つけるか、バリエーションを楽しむか

二〇一七年一月二十四日

佐々木正悟
Jan 24, 2017 · 4 min read

私はいちおう「作家」と職業欄には書いている。「作家」は職業としてはギャンブラーに近いところがあると思っている。だから「大当たり」にはやっぱり貪欲になる。

ちょっと考えさせられた。

これ、どっちも決して難しくないのである。しかし、少なからぬ人が「どっちも難しい・・・」と思うようなのだ。

『ベルサイユのばら』という大ベストセラーがある。それにしてもベストセラーはやはりタイトルが決まっていいのである。

第1巻だけはいま、アンリミでも読めるのである。

これはいったい、なんなのだろう?

たいていの日本人は、「明治維新」より「フランス革命」のほうをより知っていると思っているんじゃないだろうか? しかもその「知っているフランス革命」の中心人物は「オスカル・フランソワ」とかいうんじゃないんだろうか?

というくらいに有名になっている。

だが、この偉大な作品の「ネタ」を考えるのが難しいなんてことがあるあろうか? 「フランス革命」である。キーワードだけなら、小学生でも考えつくだろう。

が、「フランス革命を漫画化する」という発想は、やっぱりこの後に大々的に展開されることになる。つまり、大ヒットにバリエーションが続くのだ。この発想の仕方はもちろん、難しくはないだろう。「三国志」をヤンキー風味に味付けたり、現代風味に味付けたり、何なら萌えふうにしてみたりするだけでもいいのだ。

ライフハックとか、Evernoteとか、iPhoneとか、先送りとか、自分の世界ではそういうことになるのだが、ヒットする本線を編み出すのも、それを模倣するのも、べつにそんなに苦労はない。

ちなみに最近「模倣作」ばかりがあふれ出でてるから本が売れなくなっている、といった話があるが、信用できない。見たところ書籍というのは昔も今もあまり光景自体は変わってない。たとえばこういう本が15年も前に大ヒットしているのだが、そんなに古い本だとは思えないだろう。きっと同じようなテーマの本は、100年前からだってありそうだ。そしてヒットしてそうである。

これもアンリミで読める。

ヨジラーとかゴジラーという言葉が流行るもっと前から「ニジラー」である。「2時が朝か?!」という突っ込みももちろん当時からされていた。なんのことはないのである。「最近本が・・・」という言葉は間違いなく、100年前のおじいさんおばあさんもしていたのだ。若い人が同じセリフを同じようなところで同じような調子で繰り返しているに違いない。今後ももちろん繰り返されるだろう。紙の本が絶滅しなければ。

ネタ、はそこらじゅうにある。問題はネタがないことより、一生のうちに全部はまずできないことの方だ。「模倣」もしてみたいとなったら、人生何年あってもたりない。

冒頭で書いたとおり作家はギャンブラーの一種でもある。「どのネタ」に「自分の持ち時間」をかけるのがベストかを、常に検討しなければならない。そしてギャンブルといえば、不安にならないのが鉄則だ。

ゲーテとエッカーマンの対話に次のような有名なやりとりがあった。

「イギリスに生まれていたら,わたしは金持の侯爵か,というよりはむしろ年収3万ポンドの主教だったろう。」

とゲーテが言ったのに対してエッカーマンが,

「本当に結構なことです,でも,もしあなたが偶然そのような当りくじではなくて空くじをひいてしまったらどうなさいます。空くじというのも沢山あるものですよ。」

と答えたのに対して,ゲーテは,

「きみ,誰もが大当りをひくというわけではないですよ。いったいきみはわたしが空くじをひくようなへまをするとでも思っているのですか。」

と言ったということである。

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