30年30話 05 田中良治×千房けん輔(exonemo)

『30年30話 クリエイター30組の対話によるデザインの過去・現在・未来』の第5話は、セミトランスペアレント・デザインの田中良治さんと、アートユニット「エキソニモ」の千房けん輔さんによる「その後の話」。(全8ページ)

2003年の山口情報芸術センター(YCAM)での出会いとインタラクティブ広告のこと。制作における心境の変化。エンブレム問題。父になって思うことなど、お互いの活動の前提や問題意識を共有されているお二人ならではの対話となっています。

インターネットの世界の多くは英語によるもので、40歳を過ぎていちばんつらい環境を身を置きたかったという理由もあり、拠点をニューヨークに移されたという千房さん。インターネットヤミ市での活動が名刺代わりとなり、現在はNEW INCというインキュベーター(起業支援事業)に所属し、『The Internet Bedroom』などの活動もされているそうです。

千房 「インターネット ヤミ市」というイベントをやっていたのが大きかった。これはネット関連のものを売買するマーケットで、東京で始めて、現在ではニューヨークをはじめ世界14都市に広がっています。するとニューヨークのネット系の人はほぼ知っていて、そのオーガナイザーだと自己紹介すると「第一関門」を突破できるようになった。本当にRPGゲームの世界観みたいで、最初は歯が立たないけど、行動を起こしてレベルアップすると仲間が増えていく感じ。いまは「こんぼう」でスライムを叩いているくらいかな(笑)。

デジタルメディアとグラフィック・デザインの歴史を紐解く、『デジタルメディアと日本のグラフィックデザイン その過去と未来』展(2016年)でウェブ広告と展示物の選択を担当された田中さんは、デジタルメディアのアーカイブ化の難しさと必要性について提言されています。

千房 結局、アーカイブは本が最強だよね。たまに昔のネットアートを検索してもほとんど残っていません。このままだと、あれらは存在しなかったことになってしまう。
田中 90年代に、ネットアートの先駆者であるJODIや、デイヴィッド・オッペンハイムの「Daydream.com」を熱心に見ていて、思い入れがあるものもたくさんありましたが、消えてしまったものも多いです。
田中 革新的な作品は、発表当初は人々にとって奇妙に映るものだと思うんです。でも、じつはそうした作品が、のちに考えると示唆に富んでいることがよくある。ネットに関しても、未来から見て意味のある体系をつくっていく努力が必要なんだと思いますね。

なお、初台のNTTインターコミュニケーション・センター で開催されている『オープン・スペース 2016 メディア・コンシャス』展(2016年5月28日─2017年3月12日)では、エキソニモの新作が展示されています。

http://www.ntticc.or.jp/ja/channel-icc/blog/2016/06/os2016-exonemo/