「役員会通ってたら書ける」改め「さくらインターネットでやりたいIoT」

Osamu Ogasahara
Dec 22, 2015 · 7 min read

煽りタイトルで予告してしまってましたが、さくらインターネット Advent Calendar 2015 本日がわたくしの担当日。

企画は通ったんですが、すいません、明日のさくらの聖夜でお話しようかということでココでは明確に書かず、なぜ僕が今さくらで新サービスを考えているかというお話を。


偉そうに聞こえるかもしれませんが、ここ数年取り組んできたキーワードには「バズワード」と言われているテーマが多く、僕なりに感じたことをシンプルに表現すると、

「バズワード」−「誤解」=「本質」

と簡単過ぎる記述を証明したくて足掻いてきた気がします。

例えば、「IoT」は「モノのインターネット」と誤訳されているとよく言うのですが、モノがネットワークに繋がるだけで価値が産まれるわけじゃないって推進派も否定派も同じことを言うんですよね。そんなの専門家じゃなくてもわかってる話なわけで。どんなモノゴトをネットワーク化し、それをどんな価値を産めるように処理して、的確にフィードバックするか。その具現化のためにモノが必要なわけで。

自分の理解のためにこんなマトリックスを書いてみました。

Sakura&ABBALab IoT Matrix

モノ(Device)とモノゴト(Things)を分けるために敢えてInternet / Device / Thingsというレイヤに、価値の移動をわかりやすくするためにInput / Logic / Outputという軸で分類してみました。
(あくまで自分用なので、わかりにくい方はコメントください。)

これは元々ABBAlabで投資検討を行うときに考えついたマトリックスでして、要はこれからビジネスとしてIoTに取り組んでいく人たちに投資を検討するためのチェック項目ってことですね。そういう取り組みの中でシンプルに下記の5つのポイントについて重点的に話をしてきました。

  1. 操作よりも動作や行動、体内変化や環境変化のセンシングを重視しているか。
  2. センシングしたデータに新たな価値を与えるロジックはあるか。
  3. 対価をいただけるであろうフィードバックを想定できているか。
  4. センシングとフィードバックを支えるデバイスを企画・設計できるか。
  5. デバイスをインターネットに適切につなぎ、データの保存・活用方法を想定できているか。

こういった形でスタートアップのみならず大手メーカーさんの新規事業やイノベーションへの取り組みにもかかわらせていただいている中で、この5番が如何に欠けているか、この重要なポイントを担う技術者も事業者もモジュールも本当に希少だと感じていました。

コスト面から見てもセンシング用途に見合った通信費プランやSIMモジュールがほとんど無いため、なんでもかんでもBLEでスマホ経由というパターンが生まれてしまったように思います。「スマホでいいじゃん」とよく言われますが、それだと「操作」がなくならないので「自然な動作や行動、体内変化や環境変化から価値あるフィードバックが返ってくるほうが良くないですか?」と聞き返してしまいます。

長々と書いてきて、なにが言いたいかというとですね。

5番を担うサービスは我々がやるべきだし、やるなら徹底的に通信からモジュールのコストまでさくらに期待される水準に持っていこう、いや、いけると。その上で、新たなビジネスの創出にも取り組めるのではないかと考えています。


僕らには1つの仮説があります。

「もし1分に1つ、対価を払うに値するフィードバックを生むデータのセンシングができたら?」

「?」となられたかもしれませんが、たとえば身体に関わるだけでも、気温が自分にとって合わないときに自動で調整してくれる、その為の気温のセンシングも1つ。その時来ていた服の組み合わせも1つ。日々体組成計に乗って体型・体調のアドバイスをもらうためのセンシングは体重はじめ5~8つぐらいでしょうか、その日の血圧も血糖値も会社や学校に着いて出た時間も飲んだお酒の量もそれぞれ1つ、こういったデータの積み上げでざっくり1分に1つと数字を置いてみました。

こういったセンシングデータを必要な方々に橋渡ししていくビジネスもあるのかもしれません。131円の手数料収入があればセンシング専用のSIMを無料にすることも可能かもしれませんね。そしてユーザー負担が月額500円未満なら今も支払われているサービスやコンテンツがあるのではないかなと。これには通貨のマイクロトランザクションによる1/100円の支払いなど他分野からの影響も大きくIoTが伸びれば実現するという話ではありませんし、こんな単純に数字を並べてなにが言いたいんだと訝しがられるかもしれませんが、真剣に検討していきたいと思っています。

そして、個人的なデータ(帰宅時間や持っている服の数、何を食べて、尿酸値がいくらだなんて生活習慣や体内変化のデータを積極的に人に知られたり改ざんされてもいいよって人はあまりいないですよね)であればあるほどセンシティブな扱いを求められ、セキュリティを担保しないPlatformやサービスは敬遠されるのではないかなと。こういった部分はMVNOとしてキャリアのモバイル・インフラとL2等直接つなげた閉域網(簡単に言うとインターネットに出る手前のネットワーク)にデータを一旦置くとか、先日発表させていただいたblockchainの実証実験を経て実用的だと判断できれば、そういった技術の活用でセンシング・データの連続性や非改ざん性の担保が出来るのかもしれないなとも考えています。

これらのサービス構想は数年前から代表の田中さんが「モノのtwitter」ってあると思うんですよねって言っていたのがヒントになっていて、こういう数年先のビジネスをまた一緒にやりたいねとさくらに出戻ることにしたのが5ヶ月前ということになります。少し時間がかかりましたが、さくらの一員として新たなサービス立ち上げを担っていけることが素直にうれしいです。

そういえば、ABBALab辞めたの?とか聞かれるのですが、辞めてません。どころか、そちらはそちらで次のチャレンジ始めてますので、興味あればご連絡ください(誰宛w)
すべて、ひとつながりなことだけど1社でやると時間かかることを分散してやっていっているつもりです。

最後に、ここ最近ではブロックチェーンへの取り組みで注目いただいたりしていますが、我々はブロックチェーンをbitcoinなどの仮想通貨技術やフィンテック分野に限った狭い技術とは捉えてはいません。きっかけとしては先ほどのIoT文脈でセンシングデータのトランザクション処理に必須だろうということで取り組み始めまして、現在では「改ざん困難な元帳ベースの分散型勘定システムが安価で安定的に運用可能な技術」の一つであり、その用途は汎く、例えばクラウド会計サービス基盤・スマートコントラクトの認証・シェアリングエコノミーでの貸借及び鍵管理…etc、さまざまな用途が出てくるであろうと考えています。その技術分野から見て1つの選択肢としてさくらインターネットのデータセンターリソースをご提供していけたらということで、まずは実証実験環境の無償提供を開始することを決めました。このキーワードも文頭で書きました「バズワード」−「誤解」=「本質」というのがまさに当てはまるのではないかなと感じています。ブロックチェーンの誤解を「引いて」いただくためにはこちらの記事がおすすめです。

では、良いクリスマスを。

あ、言い忘れてました。僕と一緒にさくらのIoT Platform 作ったり運営したりしてくれる人を絶賛募集中です。

【追記】
さくらの聖夜でお話したスライド公開しておきますね。

Osamu Ogasahara

Written by

㈱nomad 代表取締役 / ㈱ABBALab 代表取締役 / ㈱Cerevo 取締役 / awabarオーナー / DMM.make エヴァンジェリスト / さくらインターネット㈱ フェロー