ディスプレイの外のお話、例えば「店舗」

Osamu Ogasahara
4 min readOct 7, 2015

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飲食店の常識「回転率を高める」を覆す

インターネットのディスプレイの向こう側でトライアンドエラーを繰り返すことによって、得られた知見やロジックを、モノづくりに活かせるかもしれない。モノを通して新たな「インター」なつながりを見つけられるかもしれない。そうしたひらめきを与えてくれたのは意外にも飲食店の経営でした。

六本木にはネット系の企業が多く集まるということもあり、情報交換などをしやすい場所を作りたいと、数年前に10坪ほどの小さな立ち飲み屋を開店しました。気軽に立ち話 をしながら、この街らしい泡物を飲んでもらおう、というコンセプトで「awabar(アワバー)」といいます。開店当初はあまりお客さんも入らず、友人からは「なぜ急に飲食店を始めたのか」と不思議がられました。

そこでトライ&エラーを繰り返していたのは、お客さんの行動のアナリティクス(分析) でした。よくある来店・滞在・退店・同伴・客単価・再来店率などの分析だけではありま せん。awabar では開店当初から、例えば常連AさんとBさんは店内で会ったことがある かどうか、「もう一杯いかがですか?」と声がけをした時の注文率など、さまざまなシーンを想定した数字を取りながら、売り上げのアップにつながる評価軸、いわゆるKPI(重要評価指標)を探しました。よく飲食店では「回転率を上げる」ということが利益を生み出すための常識のように言われていたのですが、僕は端から疑っていたのです。オススメの飲み物の値段も、最初はあえて高めに設定しながら、徐々に下げてみるなどして、細かいデータをとってみました。そのデータから導き出した仮説は「回転率を下げれば利益が上がる」ということでした。飲食店の常識からすれば真逆の仮説です。そこでお客さんの滞在時間を延ばすために、お客さんとおしゃべりをするスタッフの数を増やしました。しかし、滞在時間は簡単には延びません。では、お客さん同士の会話を促したらどうかとスタッフに声をかけさせ ると、常連のお客さんが新規のお客さんと話してくれることが増え、徐々に当たり前になっていきました。その結果、立ち飲み屋としては滞在時間も長く、おおよそお客さんは 一時間半以上いてくれるようになり、結果的に来店単価も上がり、お店全体の売り上げ・ 利益ともに伸びました。
実は、ウェブサービスからすれば、滞在時間はよく使うKPIの一つです(サポートページの滞在が長いなど悪い知らせもあります)。こうした経験から、インターネットで得られてきた知見をリアルな世界に応用することで、世界は少しずつ変わっていくかもしれないという予感を手に入れたのです。

今では新たなKPIとし「笑顔」はつかえるだろうかと、画像認識を応用してお客さんとスタッフの笑顔の数をカウントする実験などを行い、ウェブでの知見の転用にとどまらない「行動・動作・環境変化のデータ化」を進めています(といっても無断で録画などはしていないですし、スタッフが笑顔の強要もしないのでご安心をw)。

明日は、この本を出すきっかけにもなったDMM.make AKIBAのお話。
「あのDMMが?」1,000回は言いすぎですが500回は言われたかな。
その意外性ゆえに一緒にやらせて頂けたのかなとおもっています。

たけしさんのコマーシャルを覚えてられる方もいるかもしれませんね。実は僕もレアキャラ的に対談ぽいのを撮っていただいたバージョンがありまして。カメラ回ししますよってところでたけしさんから「この人、誰?」って撮影止められたのは良い思い出ですorz
その後の緊張半端無かったです…
あ、そうそう、この撮影に使ってるバーカウンターは実際にDMM.make AKIBA内で営業していて、awabarと全く同じだったりします。

そろそろ予約してもいいかなぁって方はこちらで。

メイカーズ進化論・序章を一部Medium公開用に改変

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Osamu Ogasahara

㈱nomad 代表取締役 / ㈱ABBALab 代表取締役 / ㈱Cerevo 取締役 / awabarオーナー / DMM.make エヴァンジェリスト / さくらインターネット㈱ フェロー