3.2 目的・要件定義

オホーツク島
5 min readFeb 3, 2017

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このメディアの最初の目的は、北海道オホーツク海側地域に関する、クリエイティブ・クラスに属する人々を紹介するメディアを制作することにより、当該地域に関するクリエイティブ・コミュニティをインターネット上から形成することである。この対象を選ぶ際、対象がクリエイティブ・クラスに属するかどうかの判断は、筆者を中心とする運営に関与するメンバーによって行うものとする。

こうした目的を満たすために必要な要件として、前述した本研究の目的やクリエイティブ・クラスの集積に必要な条件などを踏まえ、下記4つの要件を定義した。

  • 「クリエイティブ・クラス」の活動を促進する条件 ( 技術の集積 / 才能の集積 / 高い寛容性 ) を担保すること
  • 多様なコンテンツによってメディアに価値 ( ブランドイメージ、信用、社会関係資本など ) が蓄積すること
  • 不特定多数が運営に参加し、閲覧することができるが、不特定多数により活動を妨害されることがないこと
  • 特定の地域にフォーカスするものの、実際に住んでいるかどうかなど、コミュニティ参加者の活動がその地理的条件に制限されないこと

そのうえで、このメディアが目指す方向を一言でまとめたビジョンを制作した。

オホーツクにかかわる新しい活動をうながし、つくり、つたえる。

明治期の開拓から現在に至るまで100年程度の歴史しか持たない北海道オホーツク海側地域において、昭和期の人口増加と現在に至る人口減少を経て、これからもこの地域を愛し、この地域に生き続けていくためには、これまで地域になかったような活動、これまでの活動を活かしたさらなる活動を起こし続けていく必要がある、と筆者は考えている。そのためには、現在この地域に根深くあると筆者が感じている「余計なことをしない」という考えや、さらには「新しいこと、目立つことをしている人は非難されてもやむを得ない存在である」といった意識、傾向に従うのではなく、新たな活動の後押しをし続けること、後押しする人を増やしていくこと、そして実際に我々も活動を起こしていくこと、その活動を可能な限り有効な手段で発信していくこと、そしてさらに新たな活動の後押しを行うこと、というサイクルがこの地域に形成される必要がある。このメディアはそうしたサイクルの中核にあるものになるべきであり、強い意志を持ってそのような存在となるように制作していく、という思いがこの文言には込められている。

また、こうした目的、要件、ビジョンを適切に達成していくため、このメディアの当面の具体的なターゲットを下記のように定めた。

「北海道オホーツク海側地域在住者+出身者+関心のある人」のうち、クリエイティビティと発信力と寛容性の高い1000人
≒ 私たちの「友だち」、あるいは「友だちの友だち」

このターゲット設定は、基本的にインターネットを通じてこの地域にかかわるクリエイティブ・クラスを集めるためのものである。まず筆頭には、インターネット上でクリエイティブに活動するデジタルレジデントを集めたい、という考えがある。しかしこの地域にかかわるデジタルレジデントは非常に少ないと筆者は感じている。

北海道オホーツク海側地域は、市町村別まで公開されている総務省の最新のデータ(2015年)において、大学進学率が37.2%と、都道府県別の同年データ45位の鳥取(42.0%)、46位の長崎(41.3%)、47位の沖縄(39.8%)などと比べても圧倒的に教育水準が低い地域である。そうした背景もあってか、筆者を含む世代の学生時代は「インターネットは悪いものである」という認識がよく広まっていた。そのためこの地域に関わる人々の中には、基本的にデジタルレジデントに属する人々はほとんどいないと予測される。

そうした予測をもとに、デジタルレジデントほどではなくとも比較的インターネット上のコミュニケーションに抵抗が薄く、クリエイティブなものづくりに取り組むクリエイティブ・クラスを中心に、インタビューして記事化するこの地域の関係者に声をかけ、主にインターネットを介した人づてでコミュニティが広がっていくことを目指すこととした。

なお、「インターネット地域メディア」という文言を添えたのは、このメディアにとってあくまでインターネットが本当の「活動の場」であり、当該の地域に関する情報をインターネットで共有し、インターネット上のメディアによって地域コミュニティに影響を与えていく、という形態のメディアを表す筆者の造語である。

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オホーツク島

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