4.2 観察できた反響と考察

オホーツク島
5 min readFeb 3, 2017

上記のインタビューの他に、本論文の執筆を行っている2017年1月時点で筆者の観察から得られた反響、成果についてまとめる。

メディアの運営によって得られた定量的な指標については、2016年9月1日のリリースから2017年1月17日までの期間において、ウェブサイトの累計PVが9,715、各記事のメッセージフォームから寄せられたメッセージが7件、facebookのいいね!が410、Twitterのフォロワーが440、Instagramのフォロワーが121となっている。facebook、Twitter、Instagramいずれも定期的に「いいね!」をしてくれる(SNSごとに異なる層の)閲覧者が一定数おり、少しずつファン層が形成できつつあるものと考えられる。

また定性的なものとして、facebook上で投稿がシェアされたり、その先でこれまで関わりのなかった人から好意的なコメントがなされたりすることは度々確認している。またメッセージフォームから届いたメッセージはいずれも元々の知人や、知人の知人程度のつながりの人からのものであった。これは設定したターゲットである「友だち、あるいは友だちの友だち」といった範囲と合致するものであり、適切にターゲットに届いているものと考えられる。またデザイン担当の鈴木さんが地元のイベントに参加した際、オホーツク島を知っているという人に複数遭遇し、そのいずれも好意的な意見だったという話をはじめ、4.1の事後調査などでも好意的な反響を得ることができている。

また「オホーツク島」を制作したことによって発生した大小様々な事象のうち、今後に繋がっていく大きな可能性をもつ、形になりつつあることとして、4.1に挙がっている、デザイナーの鈴木さんが具体的にオホーツクの農業生産者からの相談に繋がったこと、そして筆者がオホーツクのシンポジウムでの登壇を依頼されたことの2点が挙げられる。

前者については、2016年9月1日のリリース直後に、鈴木さんのもとへfacebookでこれまでつながりがなかった人から「酪農家2件で合同会社を運営しており、その商品や名刺、会社ロゴなどのトータルのデザインを仕事としてお願いさせて頂きたい」という連絡があったという。鈴木さんが後に詳しく話を聞くと、オホーツク在住の酪農家さんであり、自らデザインのセミナーに積極的に足を運ぶなど、地方にしては珍しい、デザインの重要性に対して理解のある人であったとのことであった。また鈴木さんも「やっぱりこの場所に貢献したいと思っている生産者さんたちだし、町を背負って外に出ていきたい、というのがすごく面白そうだなと思った」と話しており、熱意、理解等が非常に良い状態で合致する出会いが起こっていた。これはまさに、オホーツク島が掲げる「オホーツクにかかわる新しい活動を、うながし、つくり、つたえる」というビジョンにちょうど合致する流れであり、オンラインにうまく合致する人と出会い協働できる場を形成することができている、その芽生えの証明であると考えられる、最も理想とする反響、リアクションのうちのひとつであった。鈴木さんとも、今後の進捗に応じて「オホーツク島」上でも紹介していきたい、という話を進めている。

また後者については、北海道オホーツク海側地域のみならず全国的に見ても1980年代というかなり早い段階から、単に農産物を生産して出荷するだけでなく、自社で製造・販売まで行う、いわゆる六次産業化を進めていた「ノースプレインファーム(本社・北海道興部町)」社長の大黒さんからご連絡を受けたものである。以前から大黒さんとは共通の知人を通じて交流があり、3.1で記した事前調査もさせて頂いていた。大黒さんらが中心となって北海道オホーツク海側地域の六次産業化に取り組む生産者たちの組織「オホーツクテロワール」の広報活動がこれまでなかなかうまくいかなかった、という話を以前からお伺いしていた。2016年12月、大黒さんからご連絡を頂き、2017年2月11日〜14日の日程で北海道紋別市で開催される「もんべつ流氷まつり」にともなって開催される「北方圏国際シンポジウム」内でオホーツクテロワールの活動を紹介する時間を頂いており、その際にオホーツクに関して活動している若者の話が聞きたい、ということで登壇の要請があった。またもし可能であれば、オホーツクテロワールのこれまであまりうまくいかなかった広報活動を手伝ってほしい、という要請があった。オホーツク島と繋げていくのか、別の活動として新たに立ち上げるのか、何をどのように運営していくのかなど、具体的にどのような活動に繋げていくかは現在相談中であるが、こうした相談を頂けるようになっていることから、単にインターネット上の活動にとどまらず、オンラインを通したコミュニティ形成を通じて、オフラインである地域の理解ある大人たちの支援を受けることができ始めているものと考えられる。これもまた、オンラインのコミュニティからオフラインのコミュニティに影響をあたえることができ始めているとみなすことができると考えられ、前述の新たな問題解決≒創造の場の創出と合わせて、設定した研究課題に対して、わずか数ヶ月の活動なりにも、一定の可能性を示すことができているものと考えられる。

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