4.5 デジタルレジデント、クリエイティブ・クラスの再定義

第二章で定義した「デジタルレジデント」という集団の捉え方に関して、またフロリダが定義し提唱してきた「クリエイティブ・クラス」という階層に関して、実践や事後調査の結果を踏まえ、改めて筆者の考えを整理する。

筆者はデジタルレジデントに関し、1990年前後生まれの世代に多くみられる、インターネット(オンライン)と現実(オフライン)の コミュニケーションを同じ地平で捉えている人々による集団である、という定義を行った。世代論ではない、という旨を述べたが、改めて捉え直すと、デジタルレジデントは上記のような、オフラインでの交流と同じように、オンライン上で知り合った人と共通の興味に対して意見交換を行ったり、場合によっては共同で制作を行ったりすることができるという特徴を持つ人々であると考える。もちろん第二章で述べたように、これまでのデジタル環境の変化を踏まえて考えると、1990年前後生まれの世代に数として多いということが考えられるが、この世代以外にも上記のような特徴を持つ人々は多数いるものと考えられる。

そして前述のように、絶対数としては北海道オホーツク海側地域に関係する人々の中にはデジタルレジデントが少なかったとしても、少数のデジタルレジデントが中心となり、インターネットを通じてコミュニティを形成し、デジタルレジデントではない人たちも巻き込んでコミュニティを広げていく、ということが、調査の結果から明らかにされた。ここではデジタルレジデントが中心となって地域の資産を掘り起こし、インターネット上で共有することにより、インターネット上を起点としたコミュニティの形成・拡大を図ることが可能であることが理解できる。

そうした点を踏まえて、デジタルレジデントという集団を定義づけ、その特徴と役割について明示することは、2017年現在のメディア環境において大きな意味があると考える。

またクリエイティブ・クラスに関して、一連の活動と事後調査の結果を踏まえて筆者の観点から考える。

そもそもクリエイティビティとは、第一章で述べたようにフロリダは、非常に多面的な意味を持つ ものであり、職業などに関係なく生来誰にでも備わっているものであるとしており、クリエイティブ・クラスについてはおおまかに職業で大別を行い、クリエイティブ・クラスの集合が経済効果をもたらすと述べている。しかしこちらも第一章で述べたように、筆者は川喜田の述べている「創造とは問題解決であり、創造性とは問題解決能力のことである」という考え方を支持したい。つまりこの考え方に沿って筆者のクリエイティブ・クラスに対する捉え方を述べると、クリエイティビティとは問題解決能力のことである。オホーツク島では、例えば、家業の木材特殊加工業で働く中で、自社ブランドを宣伝するためにInstagramを運営している人や、首都圏の百貨店の社員かつ自営業の息子として、文章を書くという活動を通して自己の立場を考える人の活動を取り上げている。これらはそれぞれ、創造と問題解決が切っても切れない関係にあることを示しており、そうした状況の中で創造によって問題を解決している、あるいはそのアプローチを図っているものであると考えられる。

これらを踏まえると、高いクリエイティビティを持つ階層であるクリエイティブ・クラスとは、フロリダが述べたような単に経済効果をもたらす人々ではなく、組織や地域など様々な環境に潜む隠れた資産(シーズ)を見つけ、それを活かしたモノやサービス、企画や場などをつくる能力が高い人々であると同時に、同様に様々な環境に潜む問題(ニーズ)を発見し、総合的に問題を解決する能力が高い人々、あるいは解決に向けた行動を起こす能力が高い人々であると筆者は考える。


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