台湾シビックテックの祭典「g0v Summit 2018」へ行ってきた

Ryohei Matsumura
Nov 1, 2018 · 13 min read

もうだいぶ月日が経ってしまいましたが、10月5日〜7日にかけて開催された、アジア最大のシビックテックの祭典「g0v Summit(ガブゼロ サミット)」の報告をできればと思います。

また、月日が経ったからこそ少し考える時間も出来たので、まだうまく言葉には出来てはいないのですが、そちらも合わせて紹介します。少し長いですが、お付き合いください。

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g0v Summitのメイン会場。会場がとても立派。

また、g0v Summitについては他の方もブログに書いておられますので、是非そちらも合わせてご覧ください。

最初に「g0v Summit」について少しだけここでも言及しておきますと、Code for Japanと同じく、Code for Allネットワークに属している台湾最大のシビックテックコミュニティ「g0v(ガブゼロ)」が主催する2年に1回のシビックテックの祭典です。

今回日本からは15名ほどが参加していたかと思いますが、皆が台湾のシビックテックにかける熱量に驚きを隠せませんでした。

今回は「1. 個人的に私が驚いたこと」、「2. 翻って日本はどうなんだろう」という、2点を中心にご紹介します。

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日本から参加したメンバーと台湾のLisaさん、Noahさん

驚きその1「みんなめちゃくちゃ若い。」

日本のCode for Japan Summitはどちらかというと30歳代後半から40中盤くらいまでの方が多い?のかなと思いますが、g0v Summitは、学生も多いし、20〜30歳前半が主な参加層のように見受けられました。

台湾語がわからない人の為にすべてのセッションで同時通訳が導入されていたのですが、その同時通訳スタッフも学生だというから驚きです…!

ちなみに、g0v コミュニティの属性のグラフがあったのですが、これも日本とは全然違って興味深いです。

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http://g0v.asia/ より抜粋

驚きその2「若いのに意識が高い。そして政治が近い。」

私が参加したセッションの一つに、「Why don’t you ask your mayor?」というセッションがありました。

セッションというよりは、台湾の政策について議論し合うワークショップだったのですが、私のチームで議論したのは「台湾には蒋介石の名前のついた道路や、記念館などがたくさんあるけど、それらを残すべきか、壊すべきかどうか?」というものでした。

すごーく政治的でかつ生臭い話で、これ日本だと議論が成り立たんのではないか、、というものですが、こういったことに慣れているのか、議論は非常に白熱していました。

面白いのは、一人ひとりに「役割」が割り当てられることで、それは退役軍人であったり、アーティストであったり、行政職員だったりして、それぞれの立場に立って議論する、ロールプレイングゲームのようなものでした。

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議論したものをチームごとに発表し、バトル! そしてみんなで投票します。

私はもちろん台湾語は話せませんので、同じチームの1人(クラウド系サビスのエンジニアと言ってました)に通訳してもらっていたのですが、後ほど「なぜあなたはg0vに参画しているのか?」と聞いてみました。

すると彼は、下記のようにさらっと答えてくれました。

私は大学に行かせてもらった。大学には国からたくさんのお金が出ている。だからそれを還元するために貢献しなければいけない。それにエンジニアは他の職業と比べて給料も高い。だから貢献をしたい。

かっこよすぎるぞ、台湾…!

ちなみに後日、台湾に住んでいる友人にこの話をしていたら、台湾はタクシーの運ちゃんも「◯△党」のキーホルダーをつけていたりして、タクシーに乗ったら政治の話をされる、という話も聞きました。

これらは中国との関係、地政学的な影響が大きいと思われます。

驚きその3「とってもオープンソース的であること」

「g0v」は政治との関わりも強く、実は「g0v」コミュニティ出身の「Audrey Tangさん」は台湾のデジタル大臣に就任されており、「g0v」コミュニティと政府の橋渡しをされているとのこと。

Audrey Tangさんはg0v Summitにも来られていて、その際の様子は下記に紹介されてますので、もしご興味があればこちらもご覧ください。
(ちなみに彼女は台湾で超有名なスーパーHackerとのこと…!)

で、何がオープンソース的であるのかと言うと、これだけのことをしている「g0v」ですが、法人化もされていない「コミュニティ」なんです。しかも「代表もいない」というから驚きです…!

台湾のシビックテックを語る際に外せない、「vTaiwan」というクラウド上で政策を議論するプラットフォームサービスがあるのですが、こちらもコミュニティ運営とのこと…。

逸話として、台湾のメディアが「g0v」にインタビューする際、特定の代表がいないため、メディアにHackpadのURLを送って、質問を書いてくれたら、みんなで回答するから、という対応を取ったそうです。(当時の話なので、今はわかりませんが)

そして、もちろんコミュニティなので、お金をもらっているわけではなく、皆が自分が必要だと感じているからこそ、ボランタリーにコードを書いたりしている。

草の根の活動から始まった「g0v」の、すごく非中央集権的なオープンソース的な哲学を感じた瞬間でした。


翻って日本考その1「CivicTech」と「GovTech」

さて、ここからは翻って日本について考えたこと、です。

「g0v Summit」へ参加して感じたこと、それはうまく説明できないのですが直感的にとても「CivicTech的」だと感じたことです。

表題の「CivicTech」も「GovTech」もまだまだ新しい言葉で、明確な定義は無いかと思います。

ただ、ここで敢えて定義すると、

のように一般的には?定義されているのかなと思います。

この台湾で感じた違和感を顕著に感じたのは、ちょうどまさにこの答えとなるようなセッション「Plurality of civic tech: from Taiwan to the world and back」に参加できたことです。

このセッションの登壇者「Mg Leeさん」は、様々な国のシビックテックを見られてきた方で、Code for AmericaOGP(Open Government Partnership)、TICTeC(The Impacts of Civic Technology Conference)、そしてg0vを比較されてました。

その比較評価となる軸は下記の4つです。

・Political relations(Resistant <-> Collaborative)
・Governance Model(Communal <-> Organizational)
・Goal(Politics <-> Governance)
・Method(Action <-> Idea)

たとえば、みなさんが一番よくご存知のCode for Americaは、下記のとおりで、「政府型」というラベルが付いていました。

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Code for America 「政府型」

OGPは「外交型」。

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OGP 「外向型」

TICTeCは「学者型」。

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TICTeC「学習型」

最後にg0v。

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g0v 「何型?」

さて、翻って我々日本はどうなのか。まだ答えが出るほど大きな方向性は無いかと思いますが、一番近いのは「Code for America」の「政府型」、つまり「GovTech的」な”シビックテック”になるのではないか?と思います。

これはどれが良い悪いの話ではなくて、自分たちの街、社会をテクノロジーで良くしていくという「同じ山」を登る上で、どのルートから山を登るかの違いであり、それぞれの環境下で発展してきた結果論であるとも言えます。

だから全然「GovTech的」でもいいのですが、僕が当初シビックテック、Code forに関わった際に期待していたことの一つがまさに台湾で形になっているんだなあと痛感した瞬間でもありました。

翻って日本考その2「今僕自身ができること」

とっても長くなってきましたが、せっかくなので僕自身が何をできるのだろうかと考えてみました。

1つ目に、もっと「CivicTech的」なことが出来ないか、というものです。

でも、「CivicTech的なこと?」って何だろう?

その答えの一つは、g0vのウェブサイトに記載がありました。

g0v is a decentralized civic tech community from Taiwan.
We advocate transparency of information and build tech solutions
for citizens to participate in public affairs from the bottom up.

すごーく意訳すると、下記のようなものです。

g0vは台湾の非中央集権的なシビックテックコミュニティであり、草の根から公共的な問題を解決する市民参画を促進するために、情報の透明化とテクノロジーを活用した解決策を提唱している

なるほどー、と正直この文章に唸ってしまいました。
つまり、「市民参画を促進する」ことに特化しているんですね。確かにここでは詳しくは話しませんが、「vTaiwan」も「Watchout」も、本当にそう。

そしてそれらは確かに「ボランタリーな市民活動」であり、誰もが認める「CivicTech」なんだろうと。

日本ではどういうことが出来るのかはまだ検討中ですが、市民側アプローチとしての「CivicTech的」なことをやりたい!と考えています。
こちらは私が所属するCode for KOBEでも議論できたらと思いますし、何か形にしたいと思っています。
これが1つ目です。

2つ目に、今私が仕事として所属しているNPO法人コミュニティリンクはまさにCode for Americaのような、シビックテックの行政側アプローチ「GovTech的」なことを仕事にしている法人です。
(ちなみに法人WEBサイトには大した情報載ってないですが…)

コミュニティリンクは10年前から「まちづくり×IT」をやっている法人であり、GovTech方面を推進する立場としては申し分無いからこそ、その知見をもっと外に共有できないかと考えています。

今は神戸市の方と一緒に「Urban Innovation KOBE 〜スタートアップと行政職員が協働する新たな地域課題プロジェクト〜」を始めとして、様々な形でオープンガバナンスの推進等を行っています。

私はもともと民間のスタートアップでエンジニアとして働いていましたが、やはり自治体との仕事は民間の論理ではうまくいかない暗黙知がたくさんあると感じています。

別にみんながみんな、”シビックテック”を仕事にする必要はないと当然ながら思っています。が、もう少しこういった職業が日本に増えてもいいのではないかと考えています。

そういう意味で、うまく知見を共有できればと思っています。

ただ、例に漏れず非常に忙しいというか、見方によっては紛うことなきブラック企業なので(笑)、わざわざそういったメソッドを体系化する時間は取れそうにありません…。

そこで、短期でもいいですし、もちろん長期でもいいですし、一緒に働くのが早くていいんじゃないか!、という結論に至りました。

まさかの採用オチかよ!ですが、色々考えた結果、僕自身が日本のシビックテックのために出来ることだと本気で考えています。

もし興味がある方は私のFacebookまでご連絡ください! 本当にお待ちしています!

g0v Summit 太謝謝你了!

本当はこんなに長い文章書くつもりは無かったのですが、珍しくスラスラ書くことが出来たので、現時点では自分の中で納得できていることなんだと思います。

こんな素晴らしい考える機会を与えてくれた「g0v Summit」へ本当に感謝です。

今思えば、自分ではそんなつもりは毛頭無かったのですが、今回台湾へ行くことで、日本のシビックテックを第三者的に見る機会に恵まれました。

「まちづくり」の世界でよく言われることとして、「自分の街のことは当たり前になり過ぎてわからない」という格言?がありますが、まさにそんな状態だったようにも思います。

この素晴らしい機会を、熱い台湾のg0verの仲間たちと出会える機会を、次回の2020年のg0v Summitにはもっともっとたくさんの日本のシビックテッカーにも感じて欲しいと心から願います。

是非次回にご一緒しましょう!

最後にLisaさん、Noahさんには渡航前から現地台湾でも非常にお世話になりました。台湾がこんなに楽しかったのもお二人のおかげです。またお会いできることを楽しみにしています!

太謝謝你了!

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