今月の注目5社：チャットボット型AIカスタマサポート / DM郵送サービス 他 - USスタートアップの資金調達ニュース <2017年7月編>

Business向けスタートアップの中から、USのTop-Tier VCが7月に出資したスタートアップを5社ピックアップして紹介します。

<Business向け>
1. AdaSupport: AIを活用した、チャットボット型カスタマーサポート
2. PebblePost: オーディエンスデータをもとにしたDM郵送サービス
3. Node: 見込み顧客の抽出&メッセージを自動生成するサービス
4. Workato: SaaSアプリ間のAPI接続の自動化による、WF統合ツール
5. Convoy:トラック輸送業者と企業のマッチングサービス

1. AdaSupport: AIを活用した、チャットボット型カスタマーサポート

創業当時はカスタマサポート案件を人力で対応、学習データを蓄積。現在では月間200万件の問い合わせを自動でボット対応している。AdaSupportを導入しているShopifyでは、3,000の個別問い合わせ案件の6,000以上の質問にボットで回答。自動回答の対象外だった190件をコールセンターのカスタマサポートにエスカレーションした。顧客満足度を維持しながら、9対応の一次切り分けをボットに移行できたことにより、大幅なコスト削減に繋がったようです。

Digital Geniusなど先行者がおり、チャットボッドxカスタマサポートというレッドオーシャンな市場の中で、競合より多くの学習データをどのように、そして、いかに早く獲得していくのか？気になります。

創業: 2016年
本社: Toronto, Ontario
累計調達額: $2.5Mn (Seed $2.5M, 2017/7)
投資家: Bessemer Venture Partners, Version One Ventures

2. PebblePost: オーディエンスデータをもとにしたDM郵送サービス

デジタルマーケティングによる顧客獲得競争が激化に伴い、PCやスマホ上でユーザ訴求するのは非常に難しくなってきている。一方、Direct Mailなど物理的な郵便物はユーザが自発的に手元で受け取り確認するので、オンライン広告より確実にブランドメッセージを届けることができる！と啓蒙しているのがPebblePost。同社は、サイトの訪問履歴、ページ遷移、ショッピングカートへの商品移動などのオンラインデータをもとに、オフライン上の行動履歴をもとにDirect Mailを郵送するサービス。会員制のサイトであれば特定会員にDMを郵送、非会員制サイトや非ログインユーザへはIPアドレスから郵便番号を特定して、マスでDMを郵送する。サイト上で関連した商品を実際に見ているユーザに対して、短期間にDMを郵送するのでレスポンス率も高いとのこと。

今後、Marketing AutomationやCRMツールに、PebblePostのようなオフライン広告の反響データが取り込まれていくことで、オフライン広告がオンライン広告などにどれだけ寄与しているか=アトリブーション分析が進みそうですね。

創業: 2014年
本社: New York, NY
累計調達額: $65Mn (Debt, $27M, 2017/7)
投資家: RRE Ventures, Greycroft Partners

3. Node: (営業向け) 売上見込みが高い顧客を抽出してくれるサービス

創業からSeries Aまでの2.5年の間ステルスモードだったため、未だにサイト上では詳細機能の説明がない。

・どのようなデータを利用して、見込みの有無を見極めるのか？
・顧客へのアプローチタイミングを何のデータをもとに見極めるのか？
・顧客毎に自動生成されるメッセージの精度は、どれくらいカスタマイズされているのか？

など、気になることが多い。。通常、企業のTop営業は上記のようなプロセスを新規や既存顧客に対してキメ細く実施している。今後、個人の営業の勘に頼っていたプロセスがデータドリブンなフォローアップに変わることで、個人の暗黙知から形式知へ、形式知から営業部署全体の組織知に昇華されることで、営業プロセスの標準化が進みそうですね。導入するソフトウェアの質の差異が企業の売上に直接的に影響する日がすぐそこまで来ているかもしれません。

創業: 2014年
本社: San Francisco, CA
累計調達額: $18.3Mn (Series A, $10.8M, 2017/7)
投資家: Avalon Ventures, NEA, Canaan Partners

4. Workato: アプリ間のAPI接続の自動化による、企業内WF統合ツール

SalesforceなどSaaSアプリが企業の様々な部門に浸透する中で、マーケティングやセールスなどフロント部門がIT部門に対してツール間連携を依頼するケースが増えてきている。例えば、マーケティング部署において、顧客対応の優先順位付けするために、リードスコアリングを実施したいとする。その場合、顧客のデータが様々なアプリに散らばっているケースがよくある。そんな時に、Workatoでは、SurveryMonkeyにあるアンケート調査結果、Marketoにあるキャンペーン参加時の結果、Salesforceにあるセミナー参加履歴など、様々なSaaSアプリを連携して統合、One Single View of a customerを持つことで、顧客のリードスコアリングというタスクを実施することを可能にする。

このような単純なツール間連携をIT部門への依頼することなく、また、マーケなどフロント部門に開発スキルを求めることなく、ワークフローを簡単に機械的に構築することを可能にするのがWorkatoだ。ツール間の論理的なフローを、機会学習アルゴリズムに基づいて対話式で提案するので、フロント部門でも連携パターンを選択するだけで簡単にSaaSアプリ間連携が実現できる。

Forrester社によれば、iPaaS(Integration Platform-as-a-Service)カテゴリーでリーダーのポジションにあり、Microsoft、Berkshire Hathaway、Box、Salesforce、IBM、Ciscoなどを顧客に抱えるWorkato。Salesforce、Workday、Zendesk、SlackなどのSaaSアプリと連携できる1,000以上のConnectorを顧客へ提供している。

SaaSアプリが企業のフロント部門にも普及する中、こういったSaaSアプリを機械的に連携してくれるシステムのニーズも確実に拡大していきそうですね。

創業: 2013年
本社: Cupertino, CA
累計調達額: $16Mn (Series A, $10M, 2017/7)
投資家: Storm Ventures, Workday Ventures, Salesforce Ventures

5. Convoy: トラック輸送業者と企業のマッチングサービス

Uber for Trucking。発送を依頼する企業(Shipper)とトラック会社(Carrier)をマッチング。Shipperへの提供価値は、明朗な見積もり、貨物のリアルタイムの配送状況を確認、そして、貨物のPick-up&Drop-off時にアラート通知を受け取ることができる点。価格や質の不透明性が高い業界において、ConvoyがShipperから評価されている点でしょう。一方、CarrierはJobの獲得、Job完了後24時間以内に支払いを受け取ることができるのがConvoyに登録するメリットになっている。往路は満載、復路は貨物がほとんどがなく空の状態で発地まで戻るトラックも多い中、随時Jobを提供し復路の搭載率をあげてくれるConvoyの存在は大きい。

創業2年で、Unilever, Anheuser-Busch, and Niagara Bottlingなどが顧客におり、10,000社以上のトラック会社がConvoyに登録している。LinkedInを創業したReid Hoffman、Bill GatesのPrivate FundであるCascade Investments、エンジェル投資家としてMarc Benioff、CEOがAmazonの元社員でJeff Bezosからも投資を受けるなど、超一流の投資家が揃っているのもConvoyの特徴。

Trucker PathやTransfixなど競合もおり、UberもOttoを買収してトラック業界に参入する中、この業界からは目が離せません。

創業: 2015年
本社: Seattle, WA
累計調達額: $80.5Mn (Series B, $62M, 2017/7)
投資家: YC Continuity Fund, Cascade Investments (Bill Gates), Mosaic Ventures, Reid Hoffman&Simon Rothman (Greylock Partners), Bezos Expeditions(Amazon CEO), Marc Benioff (Salesforce CEO)

Fin