前編: US Top アクセラレータ「Techstars」を卒業したスタートアップのSeries A 到達率を調べてみた
YCombinator、AngelPad、Amplify、Alchemistなどスタートアップを支援するアクセラレータプログラムが数ある中で、プログラムの卒業生がどのくらいの割合でSeries Aまで到達しているのか?気になったので調べてみた。
<アジェンダ>
1.Techstarsの概要(前編)
2.Techstars卒業後のSeries Aの到達率(前編)
3.Techstars卒業生のExit率、Exit企業、Acquirer(買い手)の顔ぶれ (後編)
4.Techstars卒業生の資金調達額Top15の顔ぶれ (後編)
今回はUSのアクセラレータランキングのTop 5の常連で、アクセラレータの中で最も卒業生の近況について情報更新&公開が進んでいるTechstarsを対象にしました。

前編では、Techstarsの概要やプログラム卒業生のSeries A到達率について、後編ではTechstars卒業生のExit率、Techstars卒の代表的なスタートアップについて触れたいと思います。
1. Techstarsとは?
・連続起業家のDavid Cohen、著名VCのBrad Feldらが2006年に開始
・アメリカ中西部のコロラド州ボルダーに本拠地を構える
・US Top5に毎年ランクインする常連プログラム
・応募者からプロブラムに参加できるのは「1%」の合格者のみ
・毎回1,000社が応募して、スタートアップ10社がプログラムに参加
・プログラムは3ヶ月
・メンターやオフィススペースの利用が可能
・$100,000を Convertible Noteで出資、$20,000で6%の普通株を取得
(全プログラム参加者にTechstarsが一律に出資)
・バラエティー豊かなプログラムを提供
①各都市開催のプログラム(Boulder、New York、Boston、Austinなど)
②業界特化型(Retail、Music、Mobility、Metroなど)
③スポンサー企業特化型(Disney、Sprint、Barclaysなど)
・Techstars Venturesという$50Mn未満のMicro VCも運営

どのくらいの規模感でTechstarsが運営されているかをザックリとご紹介すると:
・2007年から96プログラムを提供
・96プログラムを通じて、1,025社が参加
・各プログラムの参加スタートアップ数は10社
・1,025社の累計調達金額は、$3,589Mn(約3,948億円)
・1社あたりの平均資金調達金額は$3.5M(約3.8億円)
2. Techstars プログラム卒業後のSeries A到達率は?
アクセラレータの良し悪しを判断するための1つの指標は、プログラムに参加した卒業生が、その後どのくらい順調に資金調達できたか?です。
一般的に、Tech系スタートアップでは創業からSeriesAまで平均4年かかると言われています。4年前くらいに起業したであろう「2013年末までの卒業生」と「2014年以降の卒業生」を分けて、SeedやSeries Aまでの到達率を比較してみました。
SeedやSeries Aの調達金額は、一昔前と現在では平均ラウンドサイズが異なるので、ザックリ感覚値で下記をSeedやSeries Aの定義としました。
①Seedの定義 = 創業から累計$1Mから$3Mの資金を調達済み
②Series Aの定義 = 創業から累計$5M以上の資金を調達済み
<わかったこと>
🌟卒業生のうち、Seed = $1Mから$3Mを調達できたのは、全体の56%
2006〜2013年にTechstarsのプログラムを卒業した346社の内、195社(56%)がSeed調達できているようです。プログラム参加企業の2社に1社はSeed調達できたことになります。

2006〜2013年卒の内、67%が累計$500K-1M、56%が$1-3M、35%が$3-5Mを累計で調達できたことになります。

🌟卒業生のうち、Series A($5M以上調達)に到達できたのは、全体の25%
2006〜2013年卒の346社の内、Series A = $5M以上調達できたのは85社(25%)でした(2014年以降卒に限ると僅か6%)。 プログラム参加企業の75%、実に261社は今日までSeries Aに到達できていない!とも言えます。

Techstarsのプログラムの合格率/通過率は冒頭で申し上げた通り1%なので、Techstarsに応募したスタートアップが創業4年後にSeries Aに到達する確率に至っては、応募10,000社に対して25社(0.25%)です。
毎日Techcrunchの資金調達のニュースをシャワーのように浴びて過ごしていますが、上記のデータからどんな企業でも資金調達できるわけではなく、Series Aまで行くにも相当狭き門を通ってきたことがわかります。
🌟卒業生のうち、$100M以上調達できるのは「1%」
また、Techstarsプログラムに参加した企業の内、何社が$100M以上を調達できるのか?その出現率も調べてみました。2006〜2013年卒では、 累計$5–10M(Series A相当)が25%、$10–20M(Series B相当)が17%、$20–50Mが8%と急激に出現率が低くなり、$100M以上調達しているのは346社中3社(Classpass、Digital Ocean、DataRobot)、僅か1%です。

🌟卒業生のうち、時価総額$1Bn以上 = ユニコーンの出現率は、0.3%
Digital Oceanは既に時価総額$1Bn以上のユニコーンになっているのでは?と噂されています。Digital Oceanをユニコーンとした場合、ユニコーンの出現率に至っては、346社中1社 = 0.3%です。くどいですが、プログラム応募100,000社に対して、1%の1,000社がプログラムに参加して、その内0.3%の3社がユニコーンになる確率です。
TechCrunchのUnicorn Leaderboardsによると、現在未上場で時価総額$1Bn以上のユニコーンが261頭います。仮に261社が全てTechstars出身だったとした場合、870万件の応募書類の中に261頭のUnicornが隠れていることになります。
Silicon Valleyでは、Snapchat、Pinterest、Stripe、Domo、Cloudera、Twilio、Cruise AutomationなどUnicornへのシード期に置ける投資実績が驚異的なVCであるSV Angelが非常に有名ですが、ユニコーンの出現率を今回調べて、改めてSV Angelの圧倒的なパフォーマンスを痛感してしまいました。。。
後編では、Techstars卒業生のExit率、調達金額Top15の代表的な卒業生について触れたいと思います。
Fin
