音声認識型SaaS CRM 『Gong.io』がユニコーンになりそうな3つの理由

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“ミレニアル向けポップなブランディング”

先日Series BでBattery Venturesがリードし$40Mnを調達したGong.io、創業から4年で調達額は$68Mnに達した。 そこで、CRM領域の数多あるスタートアップの中でGong.ioが注目される理由を3つ書いてみました。

1.市場
2.創業者の原体験、プロダクト、成長スピード
3..バックアップしているVC

1.市場

米国のCRM市場規模は$25 Bn(2.7兆円)と巨大だ。CRMといえば、Oracle/Microsoft/Adobeの他、Salesforce.comが君臨している。「No Software」を掲げオンプレミス型のソフトウェアをSaaSで次々とリプレイスしていったSalesforceも気づけば創業から20年が経っており、Disruptされる側に立っている。

Salesforceが創業された1999年と比較すると、一般消費者の利用デバイスやコミュニケーション手段は様変わりした。slack、Hipchat、Teams、Facebookなど企業内でチャットコミュニケーションする機会は20年前と比較し確実に増えている。利用者のコミュニケーションデバイスや手段が変化する中、企業向けCRMはUIUX観点で十分に適応&変化してきただろうか。例えば、

・チャットが台頭する中、チャットデータをCRMに格納&データの中で価値がある部分を抽出して、アクションアイテムに転化するCRMはあるか?
・Amazon Alexaに話しかければタスクをこなしてくれる現在、音声認識によるデータ解析に積極的なCRMはあるだろうか?
・モバイルしか知らないミレニアル世代がファーストキャリアとして営業部署になだれ込む今、ミレニアル世代向けにゲーミフィケーションを駆使したCRMはあるだろうか?

時代のニーズに圧倒的に応えているCRMがパッと浮かばない中、ネクストsalesforceを待ち望んでいる人も多いはず。昨今のCRM領域における活発な資金調達状況から見ても、Next Unicornが出てくる機が熟していることが推察される。

“資金調達が活発なCRM領域、注目を浴びるスタートアップ一覧”

2. 創業者の原体験、プロダクト、成長スピード

そんな市場感の中、Gong.ioを創業したのがAmit Bendov氏。元々Batteryが出資したPanaya($230MnでInfosysにExit)とSiSence(Valuationは$900Mn)のSVP of Sales出身で、過去の実績が認められ今回の出資に至ったのだろう。

従来のCRMではSystem of Recordsの域を脱しず、営業担当が基本情報を入力し、マネジャーは営業担当毎の顧客数や売上目標達成度合いを把握するのみで、営業現場の改善に取り込む術がない状態だった。Amit氏をSVP時代に悩ませたのは、「何故案件を失注したのか、実際に顧客に対して営業担当が現場でどんな会話をしているのか」などリアルに起きている事象に対して、営業がCMRに入力した二次情報しか判断材料がないことだった。営業現場での一次情報を正しく入手できれば合理的な改善アドバイスができるが、その情報が全く得られない。

自らの長年の原体験を解決すべく創業したのがGong.ioだった。

“Dollar Shave Clubを意識したYoutube動画、顔がDSCの社長に似てる。。。”
“ミレニアル世代にドン刺さり、2600万回以上再生されたDollar Shave ClubのYoutube動画”

Gong.ioは、電話、ビデオ会議、テキスト経由で顧客との一次情報=会話をモニタリング、音声認識やNLPを駆使してデータを解析。成約率を上げるためのフィードバックを営業担当毎にカスタマイズ、営業担当がアクショナブルなタスクに落とし込んで情報提供することが可能なプロダクトになっている。プロダクトの機能紹介はBoaterさんのブログ(※1)が詳しいので興味のある方はぜひ読んでみてください!

“電話、メール、ウェブ会議経由の会話を分析、「売れる言葉」を教えてくれる”

時代のニーズを汲み取ったGong.ioは2015年の創業から2017年末までに100社の顧客を獲得、直近の1年は顧客数を3倍以上伸ばし、350社の顧客を保有するまでになっている。そして、1年間で離脱した顧客はほぼゼロ(※2)なこともSeriesBで$40Mnを獲得できた大きな要因であり、市場で注目されている理由だろう。

3. Gong.ioをバックアップしているVC

Gong.ioのSeries Bをリードしたのは手練れVCで名を馳せるBattery Ventures。Batteryといえば、ExactTarget、Intacct、Marketo、Yesware、Sprinklr、Gainsightへの出資実績が物語る通り、CRM/MA/CSなどEnterprise Applicationには非常に明るい。そんな Batteryが出資したこともあり、Gong.ioは注目を集めている。

Batteryの様なTop-tierは人脈があるため、Cクラス人材を自社ポートフォリオに引っ張れる力も持ち合わせている。例えば、 Batteryの出資先SprinklrのCFO Chris Lynch氏は、元々BazaarvoiceというスタートアップでVP of Financeとして活躍、2012年に会社をVal. $700MnでIPOに導いた。当時Bazaarvoiceの取締役で現在Sprinklrの取締役を務めるBattery VenturesのNeeraj Agrawal氏がSprinklrに引っ張ったのがChris Lynch氏だった。

過去の数ある成功企業の中から、Cクラス人材をポートフォリオのニーズにあわせて採用や紹介できる力を持つBattery Ventures。Enterprise Applicationで実績のある人材を引っ張ってきて、今後どのようにGong.ioの成長をサポートするのか楽しみですね!

長くなりましたがここまで読んで頂き、ありがとうございます!
Gong Gong!

※1 Boater.jpによるGong.ioの機能紹介
※2 Series Bを調達した際のTechcrunchの記事

Fin

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蓮沼 貴裕(Takahiro Hasunuma)

Monoful Venture Partners←コマツ←リクルートI 投資先は、Shipbob、Vesta Healthcare、Blacklane、Fishbrain、Dispatch(VEP)、Brickworks (b8ta)