クラウドサービスの現状 2019 (前編)

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今年もBessemerがクラウドサービスの現状を紹介する「State of The Cloud 2019」レポートが公開された。そこで、前編ではこのレポートがクラウド/SaaS業界で人気を博している背景を紹介し、後編ではレポートに記載のある業界予測「2019 Predictions」をざっくり解説したいと思います。

このレポートが人気な理由は大きく2つあります。

その1:レポートを書いてるのはVC、そして、そのVCが超すごい!

IT業界にありがちな調査会社やソフトウェア会社によるレポートではなく、このレポートを書いているのは米国Top-Tier VC「Bessemer Venture Partners」

何を以ってTop-Tierか?
それはVCの「Track Record」に尽きるかと思います。

Early StageのVCにおけるTrack Recordとは、スタートアップの資金調達ラウンドをリード、取締役を派遣、継続的に出資先をExit(M&A、IPO)できる力を持ったVCの過去実績のことです。

そこで、直近のBessemerのExit実績を見てみると。。。SendGrid、Twilio、Shopify、Box、eloquaとお馴染みのロゴばかりですね! 継続的に実績を出しているVCがクラウド業界のトレンド、メトリクスをレポートで公開している訳ですから業界が注目する訳ですね。

◼️Bessemer Venture Partnersの直近のExit実績の一部抜粋(2008–2018)

その2: レポート作成に関わっているキャピタリストが半端ない

USの場合、どの業界にも「このキャピタリストが取締役のスタートアップは要チェックや!」っていうスターキャピタリストが存在します。

例えば、EC/小売業界ならForerunner VenturesのKirsten Greenがヒットを連発しています。Unileverが$1Bnで買収した髭剃りD2CのDollar Shave Club、Walmartが$3.3Bnで買収したJet.com、 最近Farfetchが$250Mnで買収したStadium Goodsなど枚挙にいとまがない。

そして、間違いなく「Byron Deeter」がクラウド/SaaS業界の顔でしょう。現在までに出資先の14社以上がユニコーンになり、内8社がIPOしています。Byronが取締役に入ってここ10年でExitした企業一覧(黄色ハイライト)は下記の通りですが、日本にも進出しているグローバルブランドが多いこと。。。

◼️Byron Deeter氏の直近のExit実績(黄色ハイライト)

そして、冒頭で継続的に結果を残すのが超一流とお伝えしましたが、現在Byronが取締役を務める”仕込み中”のユニコーン/ネクストユニコーン候補が下記です。ServiceTitanはValuationが既に$1.6Bnという報道がありますし、GainsightもValuationで$500Mnは突破しているでしょうから、この中から今年中にもExitが出てくる可能性が十分ありそうですね。

◼️Byron Deeter氏が現在取締役を務めるスタートアップ一覧

SaaS企業を創業経営者としてIBMにExitした実績を持つByron。起業家出身でキャピタリストとしても大きな成功を収めている彼が、今後どんなスタートアップに投資するか目が離せないですね!

後日、後編では2019年の業界予測を解説したいと思います!

Fin

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蓮沼 貴裕(Takahiro Hasunuma)

Monoful Venture Partners←コマツ←リクルートI 投資先は、Shipbob、Vesta Healthcare、Blacklane、Fishbrain、Dispatch(VEP)、Brickworks (b8ta)