FemTech News vol.08 2019/10

10月のFemTechに関する記事をまとめました。
【米】男性用ヘルスケアDTCのHims、2020年にメールオーダー専門の調剤薬局を開設
【日】月額制卵子凍結サービス、法人向け福利厚生プログラムを開始
【米】数滴で母乳の健康を診断、検査センサー「MyMilk Labs」
【米】不妊治療の福利厚生を手がけるProgynyがIPO
【米】男性用ヘルスケアDTCのHims、2020年にメールオーダー専門の調剤薬局を開設
HimsはFDA承認を得た薄毛や勃起不全の治療薬などの通販サイトを運営するDTCスタートアップだ。今回、オフラインの調剤薬局をオハイオ州コロンバスに来年開設する。薬局はメールオーダーでのみ受け付け、今まで請負業者に外注していた業務の一部を内製化する。
ウェルネスブランドや通販サイトとしてこれまでブランドを確立してきたが、最近の変化はHimsがインターネットを超えたヘルスケアへの野心を抱いていることがわかる。昨年7月にはChief Medical Officerとして元Walgreens(全米第2位の薬局チェーン)の役員Pat Carollを迎え入れた。薬局を作ることにより、より多くの薬を調合し、配達時間を短縮するために金と時間を使う。
CEO兼創業者のAndrew DudumはHimsを2017年に立ち上げ、伝統的に「はずかしい」とされる薄毛や勃起不全などの状況に対し、うまくマーケティングを実施し、安価な薬を提供をすることで成功。例えば度々こういった薬にはラベルをつけず、抗うつ薬のZoloftのジェネリック薬であるとして候の治療薬として処方している。Himsを立ち上げた1年未満でHersという低用量ピルやヘアケア製品を取り扱う姉妹企業を立ち上げている。
Himsはよくメディアやある一定数の医師から医師とのコミュニケーション時間の少なさや挑発的な広告(男性器のような形をしたサボテンなど)について批判されている。こうした批判がある一方、Himsは薬のDTCにおけるリーディングカンパニーである。競合のRoは4月にそれぞれ8000万ドル超の資金調達を2回実施し、Himsは今年ユニコーンになっている。RecodeによるとHimsのバリュエーションは10億ドルだ。
Himsが薬局をオープンするにあたっては、法的なハードルを超えなければならない。Himsは州ごとに薬を発送するためにはそれぞれの異なる州の免許を持った薬剤師を雇う必要があるのだ。そうした複数の免許を持った薬剤師を見つけることは「銀色のユニコーンを見つけるかのようだ」とヘルスケア分野に長けた弁護士は言う。
潜在的な困難がありつつも、2020年3月末には薬局をオープンする予定。
【日】月額制卵子凍結サービス、法人向け福利厚生プログラムを開始
月額制卵子凍結サービス「Stokk(ストック)」を運営するステルラは法人向けの「Stokk for biz」の提供を始めた。
20代後半以降の結婚していない女性は、結婚後も働けるか、子供を産むタイミングはあるか、育児と両立できるかなど自分の仕事や会社を見つめ直す機会が多い。ステルラによると仕事とライフプランとの両立に不安を感じ、離職を考える女性は約5割。20代、30代の優秀な女性を雇用する企業にとって両立を支援することは、今後企業によって重要度が増す課題だ。
アメリカでは2014年にFacebookやAppleが卵子凍結の費用補助を福利厚生として導入し、その後多くの企業が同様のサービスを導入している。
「Stokk for biz」 では様々なサービス内容が含まれる。まず、卵子凍結を希望する女性社員に対し、情報提供からコンシェルジュによるケア、提携クリニックのマッチング、アフターフォローまでフルサポートで対応。また、女性の働きやすさ向上のための従業員・管理職向け研修などを実施し、職場の妊活への理解を促す活動も実施する。卵子凍結を利用しない従業員にも、日頃の体調不良や不妊治療中の体調を産婦人科医や不妊カウンセラーへ相談できるオンライン窓口も用意。社内事例の共有支援として、先輩社員をインタビューし、ロールモデルとして開示していくことで、離職防止に寄与する考えだ。
【米】数滴で母乳の健康を診断、検査センサー「MyMilk Labs」
イスラエルに本社を置くMyMilk LabsはRavid SchecterとSharon Haramatiが2014年に創業したスタートアップ。2人はワイツマン科学研究所で神経免疫学と神経生物学の博士課程にいたときに出会った。TechCrunchのピッチイベント、Disrupt Battlefieldで母乳検査センサー「Mylee」が発表された。数滴の母乳をスキャンしてその組成に関する情報を同社のモバイルアプリに渡す仕組み。予約価格は249ドル、小売定価は349ドルだ。
母乳は生後数日から数週間の間に初乳から成乳へと変わっていく。Myleeは乳の電気化学的な特性をスキャンしてそれらを同社の研究結果と対照し、変化の過程のどのあたりかを計算。分析結果に応じて母親には、乳の実際の日齢や週齢と対比して変化が遅いか早いかを告げる。デバイスの最初のバージョンは目下パイロット中のベータで、テストに参加した授乳相談員たちがこれまで500名の母親からの乳の標本をスキャンした。
すでに消費者向けの簡易な母乳検査キットがあり、母親は自宅で乳の少量の標本を採取してMyMilk Labsに送って分析してもらう。結果はアプリのに表示され、栄養パネルでは乳のビタミンB6、B12、Aのレベル、カロリー、脂肪のパーセンテージなどが表示され、母親の食生活のアドバイスもある。また母乳保育で一番の悩みである、乳房痛の対策も報告される。細菌などによる感染症が疑われたら菌種などにより最適の抗生剤が推奨される。
母乳で育児をしている母親のほとんどにとって検査キットは要らないと主張する医師もいるが、母乳による子育てに関しては母親の知識不足の不安もあるため、すでにLactation Labs、Everly Well、Happy Vitalsなど複数の企業が母乳検査キットを発売。HaramatiはDisrupt Battlefieldのステージで、将来は検査の一部をMylee自身ができるようにしたいと述べた。
【米】不妊治療の福利厚生を手がけるProgynyがIPO
大企業の従業員向けに、不妊治療などを福利厚生として提供しているProgynyは IPOの目論見書を9月27日に発表した。2019年の上半期、Progynyは1億340万ドルの売上高をあげ、純利益は404万 ドル。2018年上半期に比べ、売上高で4804万ドル、純利益で330万ドル上回った。
Progynyは健康とテクノロジーサービスを提供しており、中でもFacebookとMicrosoftは最大のクライアント。Progynyは妊活の悩む従業員にリソースを提供し、費用面を手助けする。従業員に対し、卵子凍結や体外受精に関するリスクや利点についての情報も提供している。
IPO申請がされるなか、投資家たちはIPOについて懐疑的な姿勢を保っている。デジタルヘルスカンパニーであるLivongo Healthも7月のIPO時の1株あたり28ドルから36%価格も落とした。
