本当の自分がやりたいこと、とは?
佐々木正悟
51

ドーナツと自分

どう考えても、「本当の自分」というのは存在しない。それは、ある種のまやかしみたいなものである。

言い換えれば、ドーナツの穴なのだ。「ドーナツの穴」というのは、たしかにそこにある。しかし、それはドーナツがあるからこそ存在しうるものだし、またドーナツの形状の変化によって、穴の形も変わってしまう。概念的にその逆は起こりえない。

「自分」というものは、ようするに他者ではないものだ。つまり、定義自体が他者に寄っている。その意味で、もともとあやふやなものなのだ。だから、いろいろなものがそこに流れ込んでくる。1時間前まではまったく考えもしなかったことを、「これが本当に自分がやりたいことなんだ」と感じることもある。

だからこそ。大きな決断は時間をかけた方がいい。ラブレターは一晩寝かし、本は何度も推敲する。ポイントは、多様な情報に触れることだ。そうすれば、少しはマシな決断ができるだろう。