ゲーム用トークンの注意点

re_nkym
6 min readSep 25, 2018

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この数ヶ月において弁護士との相談や金融庁の方々と面談させていただく機会が何度かあり、DApps(特にゲーム)用のトークンの扱いについていくつか注意すべき点についてお話することができました。

今後、ブロックチェーンの技術を用いたゲームが増えていき、健全な発展をしていくためにはこうした情報を共有するのが有益であるという思いからいくつか紹介していきます。

ゲーム用トークンは仮想通貨なのか

ゲーム用のトークンであったとしても、ゲーム内の設計によってはトークンは資金決済法上の仮想通貨に該当する可能性が高いです。
まず、トークンとは独自に発行することができるデジタル通貨であり、それらにゲーム用のアイテムという用途があったとしても不特定の者に対して広く使用できるのであれば資金決済法上の仮想通貨と扱われ、これを法定通貨によって売買、他の仮想通貨と交換する場合には、仮想通貨交換業の登録が必要となります。

ただし、NFT(非代替トークン)の場合はそれぞれのトークンに対して独自の価値があり、トークンを複数枚持っていたとしてもその価値はあるトークンのN倍とはならないため、もはや通貨としての性質を有しないとして、資金決済法上の仮想通貨には該当しないといった議論もあります。

NFTであれば全て仮想通貨に該当しないのか

ゲームのアイテムとしてトークンを考えてみると、多くの場合キャラクターや装備品といったものがトークンとして発行されると考えられます。

仮想通貨に該当するトークンをユーザーに販売する場合は基本的に仮想通貨交換業の登録が必要になりますが、発行したNFTが先述の理由から仮想通貨に該当しない場合は仮想通貨交換業の登録は不要です。
ただしNFTが仮想通貨に該当するかどうかは一律の判断ができるものではなくそれぞれのスキームによりますので専門家の方々と相談したうえでスキームを検討する必要があります。

たとえば、ゲーム用のアイテムで「鉄の剣」というトークンを発行したとします。同様にして、鉄の剣と実態としてはほぼ全く同じで管理番号のみが異なる「鉄の剣2」というトークンを発行します。
これを繰り返していって「鉄の剣」と同等のものを発行し続けた場合、それぞれ異なるものではあるが実態としては同じものとみなされます。

そのため、こうした一連の「鉄の剣」はNFTではあるものの仮想通貨に該当すると判断される可能性があります。

ガチャ(loot box)は賭博かどうか

日本においてはゲームのマネタイズ方法としては「ガチャ」によるものが大部分を締めています。
しかし、仮想通貨との間で交換が可能なトークンに対してガチャを用いてしまうと賭博に該当してしまう可能性があります。

賭博に該当する3要件は

①偶然の勝敗によること
②財物・財産上の利益を賭けること
③財物・財産上の利益の得喪を争うこと

となっています。

これまでゲームのアイテムというのは特定のゲームの中でしか活用することはできず、換金性は持っていませんでした。
また、大半の場合においてゲームのアイテムの財産権はユーザーにはなく全てゲームの運営をしている事業者が持っていました。

ブロックチェーン上のトークンの場合、トークンの財産権はユーザーにあるため処分や譲渡はユーザーが自由に行うことができます。そして、トークンは他の仮想通貨との交換を通じて換金性を有することになるので③に該当します。

ガチャやルートボックスは結果が偶然性に左右されるためこの方法を採用した場合は①に該当します。

最後に、こういったガチャやルートボックスを引くのに法定通貨や仮想通貨などが必要となってくると、②に該当します。

このように、これまで用いられていたガチャスキームをそのままトークンに対して適用してしまうと、それは賭博とみなされる可能性が生じます。
賭博を行える場を開帳することは法律で禁じられているため、ゲームの運営としてこのような場を提供するのは控えることが望ましいと言えるでしょう。

上述の通り、仮想通貨を通じた交換が可能なトークンが対象となるガチャの場合は賭博の要件を全て満たす可能性があるため実施は慎重にすべきと判断できます。
もちろん偶然性を用いずにトークンを定額で販売した場合、それは賭博には該当しません。ただし、定額で販売する場合でも販売物が実態としてもNFTであるか(それぞれ固有の価値を持つか)が重要で、もしそれが仮想通貨に該当し、法定通貨による売買や他の仮想通貨との交換を行う場合は仮想通貨交換業の登録が必要となります。

また、ゲームアイテムを後からトークン化し仮想通貨と交換なものにする場合、ユーザーにその事実をプレスリリース等で伝えた上でガチャをさせてしまうと、ユーザーが当該アイテムについて「将来的なトークン化(換金が可能になること)を見越して」課金できてしまうことになり、賭博に該当するリスクを生じさせることになります。

※個別の事例についてはスキームによるところが大きくなります。実施内容の是非については法律の専門家の方々と相談した上で実施していただくことを推奨しております

健全な発展を目指して

ゲームに対してガチャやルートボックスによる際限のない課金に対しては批判の声は現在でも少なくありません。
ブロックチェーンのゲームにおいては、実際にゲームアイテムが仮想通貨を通じて換金可能となる場合もであることから、課金が過熱化し今以上に消費者保護の観点は重要なものとなっていくでしょう。

今後も業界が健全な発展をし、世界中の人たちにブロックチェーンのメリットを広めていけるよう、私たちUniqysプロジェクトでは様々な取り組みを行っていきます。
ブロックチェーンの価値をより多くの人に届けることができる時代に向け、これからも一緒に考えていきましょう!

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