「深夜の馬鹿力」のこと

初回投稿のテストもかねて


TBSラジオでやっている伊集院光のラジオ「深夜の馬鹿力」が昔から大好きでして。無人島になにかひとつ、モノではなくてコンテンツを持っていけるとしたら、このラジオ番組にしたいというくらい好き。

TVのバラエティ番組では人当たりのいい博識タレントとして認知されている伊集院光だけど、このラジオではえげつない下ネタも頻繁にぶち込んでくるし、時事に(あくまで笑いを多めに盛り込みながら)けっこう攻撃的な意見もかましてくる。

でもなにより魅力的なのは、「日常に潜む、まだ名前がない価値」を発見して、誰にも頼まれていないのに実践して、面白い話にしてくれるところだ。

たとえば、オフの日にひたすらiPhoneの地図アプリを駆使して行う、自転車でのバッティングセンター巡りのエピソードであるとか、アニメや映画のデブキャラのフィギュアだけを集めて家に飾る趣味であるとか、そういったことを真夜中に唐突に話しだすのだ。

番組の中で伊集院光が試みていることは、ちょっと額縁をすげ変えれば、アートや、デザインや、社会学の文脈で語ることもできるようなことがとても多い。だけど本人はあくまで芸人としてのスタンスでそれをやっている。むしろ芸人だから、面白いことをやるためには大変な体力と根気とトライ&エラーが必要なことも、よくわかっている。単にサブカル的なポーズをとっちゃうのが、なにより寒いんだということを知っているし、人に伝えたときに面白くなければエピソードごと切り捨てるシビアさを本人が持っている。だからオンエアされる話の内容はとても鮮明で、気づきにあふれている。

こうやって書いていくとすごく教養がある番組みたいだけど、いわゆるライフハック的な要素は微塵もない。それは投稿するハガキ職人たちも当然わかっているみたい。なんせ「ベッキーが言いそうな言葉」というお題で、ものすごい数の回答が集まる番組だから。

毎週月曜深夜に投下される「深夜の馬鹿力」は、あくまで実生活には無益なものだけど、「ものすごく精密なゴミ」なんだな。

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