Report | くるり『THE PIER』

久方ぶりに前へ出た苦味、歯ぎしり。前作『電圧の坩堝』にも苦味はあったけれど、どちらかと言うと祈りのようでした。対して『THE PIER』は歩き出して苦味で笑うような、喜びの音楽アルバムになってます。悲しみの時代に生まれた、強い音楽。

ここにはない、かつてあったもの。自分が触れたことのない過去や知ることのない未来を歌うには、どうすればいいのでしょうか?同じ時代生きる人達へ届けなければならないと同時に、共通認識・ノリに頼ってはいけない。説明や習慣に頼ることなく音楽のみで届けることは簡単ではありません。しかし、くるりは困難なチャレンジをしている数少ない音楽家です。チャレンジの結果はまだ分からないけれど、とても心強く魅力的です。

よりどりみどりな音楽性だけでなく、身の回り(事務所独立、音楽を聴く環境)も研ぎ澄まさなくてならない今という時代は、幸か不幸かくるりを更にタフにしている気がします。言葉にならない笑顔を見せてほしかった頃が懐かしくもありますが、大きな出来事・変化に見舞われている愛なき世界において、今のくるりは新しいボブマーレーのようです。これからも歩みを共に出来る事を祈って。

Amazon , Tower Records


Originally published at river2001.com on October 27, 2014.

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