かられすのむこう

just so colorless

寂しさはどこかから湧き出るように、世界から色が抜けていくように

視界がすこしずつ、うばわれていく、ような気がして、

気づけば鼻もうまくきかなくなってしまった

冷蔵庫をあけて、あの街で買ったいつかの チョコレートを砕けば

ほんの一瞬 ほんの一瞬 あの夜の熱気にむせ返る部屋が目の前に蘇る

大好きなあの子の横にいる。

えんじ色の帽子に真っ黒なヘッドフォン

彼は神様のように透き通った頬 を私の顔に近づけて囁いた

“Don’t worry, be happy”

彼はいつだってウィードの匂いがした

彼はいつだって神様のように、微笑んでいた

チョコレートが舌の上で溶けてなくなってしまうと

大好きなあの子も消えていなくなってしまった

あんなに神様のような子は ほかにいないのだ、

天から贈られてきたような、彼は、幻になってしまった

色のない部屋 ぼろぼろのチョコレート、やっぱり鼻はきかない

生と死を提示されて直観的に生、を選ぶように、

私はここにいたくない。

私は帰りたい。

彼のいたあの街に、帰りたい。

あの街を思い出すために少しずつ、食べていたチョコレートも、

もう、残りひとかけらだ。

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