キャッシュレス決済と仮想通貨決済は正反対の考え方でできている

Ryo Tanaka
Feb 2, 2019 · 5 min read
Photo by Matthew Kwong on Unsplash

最近日本でも話題になっているキャッシュレス決済。「〇〇ペイ」といったアプリが世の中にたくさん登場しました。

こうしたキャッシュレスの決済では、仮想通貨やブロックチェーンの技術が活用できるのではないか?というイメージを持っている方も多いかもしれません。

ところが、ブロックチェーン技術はこうした文脈で使われることは少ないです。仮想通貨やブロックチェーン技術はキャッシュレスでお金をやりとりできる仕組みなのに、なんで使われていないんでしょうか?

実は、キャッシュレス決済アプリと仮想通貨決済は正反対のモチベーションでできているからなんです。キャッシュレス決済とブロックチェーンは、一見、両者とも現金によらない決済ということで似たようなジャンルに思えて混同しがちですが、その目指すところは正反対であり、親和性は低いと考えられるのです。

キャッシュレス決済アプリは何をしたいのか?

キャッシュレス決済アプリは、多くの人に使ってもらうことによって、決済データをたくさん集めることを目指します。大量に集めた決済データを使って、ビジネスを作っていこうと考えます。

決済データが大量にあれば、ユーザの信用を数値化して、可視化することができます。決済データを元に、ユーザがどれくらいの支払い能力があるのかを判断する。

その上で、お金を貸したり、クレジット決済といった金融サービスを提供することを目指します。つまり、ユーザの決済情報を会社のお金に変えることを目指していると言えます。

データをお金に変えるという考え方は、非常にWEB2.0的であり、現在の王道といえるでしょう。

仮想通貨決済は何をしたいのか?

そもそもブロックチェーンは、非効率的で大量のトランザクションをつくるのには向かないので日常決済には向いてないのですが、その点は一旦置いておいて。Lightning Networkのようなセカンドレイヤー技術が広がれば、仮想通貨による日常決済も問題なくできるようになります。

実際にブロックチェーン上で仮想通貨決済というのはどういうものなのか、そのモチベーションについて考えてみましょう。

仮想通貨は、決済業者に自分の情報を売り渡すことなく、プライバシーを確保した支払いを可能にすることを目指しています。

ビットコインやイーサリアムといった主要な仮想通貨において、個人のプライバシーは非常に重視されます。

ブロックチェーンでは、そもそもデータを集める中央管理者が存在しません。プライバシー技術が十分に発展していくと、ブロックチェーン自体から決済データを集めることはできなくなるでしょう。

つまり、決済する人の情報を誰にも知らせることなく決済することが可能になります。これは、いまままでの仕組みでは実現できなかった新しい支払いのかたちです。

両者のモチベーションは決定的に違う

ユーザのデータを集めて便利なサービスを提供し、お金を得たいキャッシュレス決済。

ユーザデータを企業に売り渡すことなく、個人での管理を可能としたい仮想通貨決済。

似ているようで、実は全然ちがって見えてきませんか?

両者は別物であって、ユーザは自由に選択できるわけです。

利便性を重視するならばキャッシュレス決済を使えばいいし、プライバシーを重視するならば仮想通貨を使えばいい。

プライバシーを重視すれば、ユーザの利便性は下がってしまうし、利便性をとればプライバシーは失われる。プライバシーと利便性はトレードオフの関係にあるといえます。

便利なことに越したことはないけれども、全部のお金の流れが丸見えで、信用情報までわかっちゃうとなると、ちょっと監視社会っぽくてやだな〜と思う人も一定数存在しています。

例えば、中国ではQRコード決済アプリ「アリペイ」が「芝麻信用(ジーマ信用)」という仕組みを提供しています。これは、個人の支払い能力や返済履歴から信用スコアを算出し、スコアに応じて受けられるサービスが変わってくるというものです。日常のあらゆる情報がスコアリングされるとなると、ちょっとやだなと思う人も出てくるかと思います。

こうしたデータを集約してお金を生み出すWEB2.0のあり方に問題意識を持っている人も生まれています。

こうした考え方はWEB3.0と呼ばれ、静かにしかし着実に社会的なムーブメントになっています。

Web3時代の、新しい決済のあり方はどんなかたちになるでしょうか?

その答えは、これからの決済技術の進展と普及状況によって大きく変わってきそうです。ここから数年で、ぼくらは大きな変化を目にすることになりそうですね。


Aerial Partnersでは、クリプトユーザーが個人情報管理をできるようにするため、Web3時代の新たな「ブラウザ」を発明することを目指しています。

Aerialのメンバーと一緒に話してみたい、ブロックチェーン技術の社会実装に興味がある、という方はぜひ一度私たちとお話しにオフィスまで遊びに来てください!

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Ryo Tanaka

Written by

Crypto Business Developer. Bitcoin. ビットコイナー。元都庁官僚。Aerial Partners(事業開発MGR)←都庁(政策法務)。 法・政治・経済 / 金融 / 進化生物学/東洋哲学。https://alis.to/users/Ryahoo

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