ごく一部の濃いコミュニティの中で始まったムーブメントが、より多くの人に広がっていく流れは、人類史で数多く見られます。
例えば、仏教には大乗仏教と呼ばれる一派があります。大乗仏教は、一部の修行者コミュニティに限定されていた仏教(小乗仏教)に対して、より多くの人を乗せて悟りの世界に運ぶための教えとして説かれたものです。
大乗仏教の経典として、維摩経・般若経・法華経などが生まれました。維摩経は、「空」の思想や大乗菩薩、男女平等の思想を極めて戯曲的に描いた教えです。特に、誰でもブッダの智慧を得られること(大乗)を説く部分はしびれます。
翻って自分が身を置くWeb3.0を見てみても、同じような流れが発生するのではないかと思っています。
すなわち、一部の人達で熱量高く盛り上がりをつくる小乗仏教的Web3.0だけではなく、より多くの人を乗せる大乗仏教的Web3.0が広がっていく流れです。
インターネットの歴史や、仏教の歴史などを見ながら、Web3.0がどのように広がっていくのか、大乗的なWeb3.0がどうやってはじまるのかを考えていきます。
インターネットの歴史からWeb3.0を考える
現在、Web3.0は秘密鍵を自分で管理してアクセスすることが前提になっています。技術的な仕組みを理解し、自己責任で自分でデジタル資産を管理するリテラシーが求められます。この状態で誰もが利用できるかというと、まだまだ難しすぎると言えるでしょう。
「賢者は歴史から学ぶ」という言葉がありますが、我々も見習ってインターネットの歴史を見てみましょう。
ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)が普及する以前、個人がインターネットにアクセスするには自分で回線をつなぐ必要がありました。
そんな中、多くの人がインターネットにアクセスできるようになったきっかけは、当時、一般家庭なら誰でも契約していた電話回線をインターネットに接続するサービスをプロバイダが提供したことでした。ISPにより、誰もが簡単にインターネットにアクセスできるようになったのです。
日本中、世界中に普及した基盤から新たな世界に接続可能にすることで、誰でも簡単に新たなサービスを享受できるように広がっていったということです。
では、Web3.0は何を基盤として多くの人に広がっていくのでしょうか?
大乗Web3.0
現在、日本中の人たちが使う基盤として、スマホ、アプリが存在しています。これらはWeb2.0と呼ばれるものです。
このような基盤から簡単にWeb3.0世界にアクセス可能になるとしたら、インターネットのように爆発的に普及する可能性を秘めています。例えば、日本中の人たちが使うアプリの中で、簡単にWeb3.0にアクセスできたら、誰でもNFTを買えて、利用できる世界がやってきそうに思えます。
これまでのクリプトコミュニティ中心だったWeb3.0の小乗的世界から、誰もを乗せることができる大乗Web3.0の世界へ広げていくために、みんなが使うアプリ(Web2.0)からWeb3.0にアクセスできるウォレットが必要とされています。
Web3 starts with the wallet
NFTゲームを運営されるDEA社山田さんがおっしゃるように、Web3はウォレットからはじまります。
では、Web3ウォレットはどこからはじまるのか?
すでに、クリプトコミュニティにおいて、MetaMaskをはじめとするリテラシーの高い層向けのWeb3ウォレットが提供され、一部のアーリーアダプターではムーブメントが生まれています。
では、みんなを乗せられる大乗ウォレットはどこからはじまるのか?
その最有力候補として、日本中の人たちが使う基盤となっているアプリからWeb3.0にアクセスできるウォレットではないかと考えています。
つまり、9,000万人が使うLINEのようなアプリからウォレットを通して、Web3.0世界のNFTにアクセスすることが、大乗Web3.0を実現する方法ではないかと思っています。
大乗Web3ウォレットはWeb2アプリからはじまる。
Mahayana Web3 wallet starts with the Web2 App.