ソフトウェアエンジニアとアメリカ

Kazuki Sakamoto
7 min readDec 20, 2017

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あるいは都合のいい意見の見つけかた

なぜソフトウェアエンジニアはアメリカに行くことにこだわるのでしょうか?

と、主語を大きめに設定することで反感を買うであろうことは重々承知ですし、ほとんどの人にとっては無関係な情報とか言われるわけなのですが、わたし自身を含めて、今現在、日本で働くことよりも、他の国で働くことよりも、アメリカで働くことを選択している人がいるのは事実です。不可抗力かもしれませんし、他の選択肢が考えられないくらい、その選択肢を選んでよかったと言えるかもしれません。というか、理由なんて人それぞれですよね。

しかしながら、いかに他の選択肢が考えられないくらい、その選択肢を選んでよかったと言える、ほどの事由を結論として書いたところで、所詮「ソフトウェアエンジニアならもっと気軽にアメリカ移住を考えたほうがいいよ」の二番煎じにしかなりません。ちょっと方向を変えてみます。

お金の話

ソフトウェアエンジニアとして働くということは、技術をお金と交換している、と言えます。言えますよね。同じ交換なら、より金額の高いお金と交換してもらった方が効率がいいわけです。いいですよね。

なんとも都合のよいことに、Hiredのデータがこの意見を支えてくれます。

2016 AVERAGE SOFTWARE ENGINEER SALARY ADJUSTED FOR COST OF LIVING IN SF

最高値 $198K はアメリカです。この結果では、アメリカでソフトウェアエンジニアをなりわいとするのはわるい話ではない、むしろベストである、と言えます。

しかし、伝説的なソフトウェアエンジニアがわりとそこらへんにいるはずの、シリコンバレーが $134K なので、このまま話を続けるのは非常に都合がわるいです(上図ではSF BAY AREA)。メルボルンで $150K 相当の金額をもらうほうが効率いいわけですから。ビザ的にも、オーストラリアの方が楽でしょう。アメリカ、ピンチです。

シリコンバレーでもお金的に問題ない、いや、むしろベストである、と言ってもよくなるような、そんな都合のいいデータはないのでしょうか?

それがね、あるんです。

The Center for Opportunity Urbanism (COU) Standard of Living Index 2nd Annual Edition

Estimated Real Pay Per Job, cost of livingを考慮して調整した収入ランクです。群を抜いてぶっちぎり1位のSan Jose、まさにシリコンバレーです。シリコンバレー、1位だったんです。

(シリコンバレーの位置や範囲は、人やコンテキストによって異なるため、同定することが難しいのですが、グーグルの巨大オフィスはSan Joseに建設される計画ですから、San Joseもシリコンバレーと言ってしまっても差し支えないでしょう。シリコンバレーの観光名所として有名なThe Tech MuseumもSan Joseです。)

HiredデータでのSF BAY AREA、なんであんなに低かったんでしょうか。

おそらく18位のSan Franciscoが足を引っ張っているのでしょう。

シリコンバレーもしくはサンフランシスコでソフトウェアエンジニアとして働いて、いかに高額の給与を手に入れても、サンフランシスコに住むことで、高いcost of livingに翻弄されるだけ、ということになります。お金の話では、住む場所としてはサンフランシスコは避けるのが定石となります。通勤時間を削るため、都市部に住むのが好き、などquality of lifeをあげる明確な理由があれば別ですが。

(外食の回数を減らすなどなど、cost of livingの影響を減少させる方法もあります。「サンフランシスコでの生活費は高いか(あるいはTop Ramen賛歌)」参照)

いずれにせよ、シリコンバレー、もしくはテキサス、ワシントンなども含めて、現時点では、ソフトウェアエンジニアとして働き、技術をお金に交換するのであれば、アメリカで働くのが効率がいい、と言ってしまってもいいのではないでしょうか。

いったいいくらもらえるかって?

H-1Bのデータを検索できちゃいます。あくまでポジションに対するベース給与レンジですが。

Search H1B LCA Petitions に会社名とポジションを入れるだけ。気になるあの人のベース給与レンジがわかってしまうわけです。公開情報だったのです。怖いですね。検索した結果をはてブに書いたりしないように。

「ベース」給与なので、これにボーナスとかRSUもしくはストックオプションなんかが加算されるので、実際いくらもらってるかというと、もっともらってます、ってことです。Glassdoorもサインアップして検索すると、詳細を知ることができるでしょう。

2018年から、税金も下がります(条件により上がる人もいます)。

引用で終わります。

Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of other’s opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary. — Steve Jobs

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